アメリカ合衆国における納本制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 09:39 UTC 版)
「納本制度」の記事における「アメリカ合衆国における納本制度」の解説
アメリカ合衆国では、著作権法により納本制度が定められている。 著作権法407条により、合衆国国内で発行されるあらゆる著作物は、最良版の完全なコピーを2部、議会図書館の著作権局に無償で納付しなくてはならない。ただし、著作物が5部未満しか発行されていなかったり、各複製物に通し番号が付与されるような貴重なものである場合や、議会図書館著作権局長が特に認めた場合に限り、完全な納付は免除される。納付を怠った者には罰金を科す規定も存在する。 英米法の著作権は、イギリスが印刷出版物の複製の権利(コピーライト)は排他的特権をもつ書籍商組合による登記によってはじめて保護されるとする制度をとっていた歴史から、長らく著作権保護には国家に指定された機関による登録が必要とされる方式主義をとってきた。1870年に制度化されたアメリカの納本制度が当初から有効に機能してきたのは、方式主義のもとで議会図書館著作権局に著作権登録の仕事を担わせ、著作権の保護登録と引き換えに著作権局を通じて議会図書館への無償納本を義務付けてきたことに大きく拠っていると考えられる。1989年に同国がベルヌ条約に加盟し著作権法を改正したため、著作権は著作物の創作時に発生するとする無方式主義に変更されており、以降は登録が著作物保護に必須の要件ではなくなっている。
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