アメリカ合衆国における経営判断の原則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/06/09 14:06 UTC 版)
「経営判断の原則」の記事における「アメリカ合衆国における経営判断の原則」の解説
ここでいう一定の基準を満たした主張とは、取締役の善管注意義務違反、忠実義務違反もしくは誠実義務違反、または、取締役の決定に合理的根拠がないことの主張、が含まれる。裁判所は合理的根拠を有するかどうかの判断を取締役の誠実義務の一部として分析することが多い。 本原則の効果として、会社の取締役会に有利な強い推定が認められることから、取締役会の構成員が、結果として会社を害することになってしまった決定について責任を問われる可能性が低くなる。端的に言えば、本原則は、単に適切ではない経営上の判断によって取締役会が法的手続に訴えられないようにするために存在する。デラウェア州の最高裁判所によれば、もし会社の取締役が必要な情報を得た上で、その会社の最大の利益になると正直に信じて行った場合には、裁判所は何が経営上の判断として正しいか、そうでないかについて、裁判所自身の見解を持ち出さない、ということになる。 この原則の根拠としては、本来リスクがあるビジネスの世界で、日常的に訴訟を起こされる不安があるとすれば取締役の判断に影響を与えることになるが、そのような不安なしに取締役がリスクをとれるようにする必要がある、と裁判所が考えていることが挙げられる。 本原則による推定は、原告によって覆すことができる。典型的には、買収防衛策の採用などにあたって、前提となる脅威の認識が不合理であるとの主張、認識した脅威と釣り合わない対抗手段であることの主張などが認められた場合があり、そのほかにも、経営者が選んだ選択肢を株主に強要するものである、との主張が認められた場合には本原則の推定を覆すことができる。 本原則を満たすためのガイドラインとしては、判決において、取締役は、業務において自己の利益と反する状況に巻き込まれず、必要な情報を得た上で、誠実に会社の最大の利益のために行動すべき、ということが指摘されている。
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