むしんろん 【無神論】
(atheism英)神の存在を否定する哲学上または宗教上の立場。また、その説。注意すべきは汎神論・理神論・不可知論などと混同してはならない。古代ギリシアの自然哲学者は宇宙や自然を物質をもとにして説明しようとしたため、無神論的になった。これを徹底したのが唯物論だ。一八世紀の唯物論は人間機械説を生んで神の存在を否定し、一九世紀になるとマルクスの史的唯物論が現れ、理論的に深まった。この間には宗教界の堕落も無神論をあおり立ててしまった。現代では実存主義思想の一派にもこれがあり、人間は自己自身によって存在するのだから、矛盾や苦悩の解決には神を立てず、自ら努力すべきだとの人間中心論である。仏教は人間が開悟して仏に成るとの人間基本説だから、無神論とされるが、阿弥陀仏や大日如来などは有神論的である。→ 有神論
- むしんろんのページへのリンク