はらだしとは? わかりやすく解説

はらだし

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/08/11 03:37 UTC 版)

はらだし腹出し[1]は、大きなに手足がついたような姿の日本妖怪作家佐藤有文の妖怪関連の書籍に多く登場している。

概要

夜中に現われ、をすすめると喜んで飲み、こっけいな踊りを始める。その踊りを見た人には良いことがあるといわれる。他の多くの妖怪のように、人間を困らせることはしない[2]。陽気な性格で、悲しんでいる人間を慰めることもある。悩んでいる人間が酒でもてなすと、腹踊りをしてその悩みを消し去り、希望をわかせる[1]などとも解説されている。

別の説では、古くてぼろぼろのに住む妖怪とされる。一見すると普通の人間の姿だが、様々なものに化けることができ、特に自分の腹に顔を作り出して人を脅かすことが好き[3]。しかし実際には、道に迷った人を寺に泊めるなど親切な性格で、吹雪の中で迷った人を暖かい部屋で御馳走でもてなしたこともあるという[4]

以上のような解説は江戸時代の書籍や伝承資料などには確認されておらず、情報の出典が不明のため、その解説は佐藤有文などによる創作ではないか[5]平成以降((2000年~)には指摘されている。

はらだしであると紹介された絵画

山東京伝歌川豊広画『浮牡丹全伝』より「伯州船上山古寺之怪(はくしゅうふねのうえやまふるでらのかい)」

佐藤有文は、原典不詳の妖怪を描いた絵画(人間の頭から手足が生えている形状のもの)をはらだしとして紹介している。また、はらだしの仲間であるとして絵巻物土蜘蛛草紙』に描かれている顔の大きな尼の妖怪の絵を図版として掲載している[2]

粕三平の著書『お化け図会』では、1809年(文化6年)刊行の読本『浮牡丹全伝』(山東京伝著、歌川豊広画)の口絵に描かれた腹に顔を持つ妖怪[6](画像参照)を示し、古寺で腹に顔を作って人を脅かす「はらだしの妖怪」という解説がなされている[7]が、同図は『浮牡丹全伝』に登場する船上山の古い寺にあった百鬼夜行絵巻の古画が現実化して登場した姿を描いたもの[8]である。なお、粕による同書の解説文中には佐藤有文の名も挙げられており、佐藤の書籍が参考資料として使われていることは明らかであるが、佐藤有文は同図を書籍の「はらだし」の図版としては使用してはいない。

脚注

[ヘルプ]
  1. ^ a b 佐藤 1987, p. 103
  2. ^ a b 佐藤有文 『いちばんくわしい日本妖怪図鑑立風書房〈ジャガーバックス〉、1972年、144-145頁。全国書誌番号:45006658
  3. ^ 竹内義和・聖咲奇 『世界の妖怪全百科』 小学館〈コロタン文庫〉、1981年、69頁。ISBN 978-4-09-281062-4
  4. ^ 妖怪探検隊編 『日本の妖怪大百科』 勁文社〈ケイブンシャの大百科〉、1985年、137頁。
  5. ^ と学会 2007, pp. 227-229
  6. ^ 山東京伝 「浮牡丹全伝」『山東京伝全集』第17巻、山東京伝全集編集委員会編、ぺりかん社2003年(原著1809年)、29頁。ISBN 978-4-8315-1035-8
  7. ^ 粕三平編著 『お化け図会』 芳賀書店1973年、182頁。NCID BN0895133X
  8. ^ 『図説 妖怪画の系譜』 兵庫県立歴史博物館,京都国際マンガミュージアム河出書房新社〈ふくろうの本〉、2009年、76-77頁。ISBN 978-4-309-76125-1

参考文献

関連項目

  • 桃太郎伝説シリーズ はらだしがキャラクターとして登場している。

はらだし

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 16:15 UTC 版)

新桃太郎伝説」の記事における「はらだし」の解説

3枚の舌をもつ黄色コンニャクのような妖怪。はらだしは種族名本名里吉言葉語尾に「っちゃ」をつける。サルカニの村南にあるはらだしの里に住んでいたが「お腰につけたきびだんご」をトカゲのしっぽ勘違いしており、それと引き換え桃太郎仲間に加わる。近い種族である妖怪びろーん言語研究していたため、理解することができる。

※この「はらだし」の解説は、「新桃太郎伝説」の解説の一部です。
「はらだし」を含む「新桃太郎伝説」の記事については、「新桃太郎伝説」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「はらだし」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「はらだし」の関連用語

はらだしのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



はらだしのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのはらだし (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの新桃太郎伝説 (改訂履歴)、桃太郎電鉄シリーズの登場人物 (改訂履歴)、桃太郎伝説外伝 (改訂履歴)、地獄先生ぬ〜べ〜の登場人物 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS