おおかみに蛍が一つ付いていたとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 趣味 > 現代俳句一覧 > おおかみに蛍が一つ付いていたの意味・解説 

おおかみに螢が一つ付いていた

作 者
季 語
 
季 節
夏 
出 典
前 書
 
評 言
ぶっきらぼう野太い俳句。まさに金子兜太らしい金子兜太だからできる俳句おおかみという巨大な存在感。そこにぽつんとくっついている。「付いていた」という言い方から、誰かが語りかけている印象があるが、それは兜太自身の声ではない。むしろ、この句を読んだ瞬間誰かの声が自分の声になっている自分呟いている。まるで、今、見てきたかのように
 おおかみ日本では古来から「大神」。そして絶滅していった。一方螢火「たましい」もいまにも絶滅しそうである。助け求めるように絶滅したおおかみくっついている。そしておおかみ大神となり、たましいである日本の外へ連れ出す、その直前一瞬
 この現実から切り離されたような一コマは、絵本一ページのようでもある。この不思議な感覚は、が夏の季語、が冬の季語、という俳句決まりごと影響しているかもしれない。もちろん絶滅したニホンオオカミ現存するとの組み合わせ不思議さ醸しだしているが、俳句をつくる者に刷り込まれてしまったは冬のものとい決まりごとと、夏の象徴であるとの同時存在がこの俳句不思議な印象与えている。それは、宮崎駿映画千と千尋の神隠し」の四季の花が同時に咲いているシーン異様さに似ている。(ちなみにこの映画では、一つ一つ花の名がわかるように描かれており、その結果季節の花が同時に咲く不自然さからそこが異界であることがわかる演出になっている。)
 金子兜太多くの句を作っているが、これほどストレートで、これほど難解で、これほど心に残ってしまうものは、この句を置いてないであろう。この句の裏にある憂いている兜太の根幹の部分感じたい一句である。

写真提供:Photo by (c)Tomo.Yun
 
評 者
備 考
 



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「おおかみに蛍が一つ付いていた」の関連用語

おおかみに蛍が一つ付いていたのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



おおかみに蛍が一つ付いていたのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
現代俳句協会現代俳句協会
Copyright(C) 現代俳句協会

©2024 GRAS Group, Inc.RSS