『伊藤整の世界』・『小林秀雄論』
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「亀井秀雄」の記事における「『伊藤整の世界』・『小林秀雄論』」の解説
亀井秀雄は最初の作家論『伊藤整の世界』(講談社、1969年)で伊藤整の詩を分析し、少年期の実存的な言語体験を描き出しながら、伊藤整の「書く」動機や、伊藤整自身の文学論の構造を明らかにした。 この方法はその後の亀井秀雄の作家論の基本となり、『小林秀雄論』(塙書房、1972年)では、小林秀雄の若い頃の小説の分析を通して彼の言語体験の特徴を明らかにし、小林の批評方法はこの言語体験をマルクス主義によって理論化したものであると論じた。 亀井が『小林秀雄論』を書いたころの文学史の通説は、昭和初期の文学をプロレタリア文学―マルクス主義文学と、反プロレタリア文学―新興芸術派とに図式的に分け、そして小林秀雄を反マルクス主義の代表的な批評家と位置づけていた。それに対し亀井秀雄は、日本のプロレタリア文学―マルクス主義文学運動におけるマルクス主義はレーニン主義と見なすべきであり、その観点からすると、小林秀雄のほうがより本質的にマルクスの『経済学批判』や『哲学の貧困』などを読み込んでいると捉えている。
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