「Tsunami」の国際語化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 00:12 UTC 版)
「津波」の記事における「「Tsunami」の国際語化」の解説
英語文献において、tsunami という語が使われた例は、現在のところ『ナショナルジオグラフィックマガジン』1896年9月号に掲載された明治三陸地震津波を報じるエリザ・シドモア執筆の記事 "The Recent Earthquake Wave on the Coast of Japan" が最古とされている。 しかし、一般的に tsunami の初出作品として知られているのは、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が1897年(明治30年)に出版した著作集『仏の畠の落ち穂』(Gleaming in Budda-Fields) の中に収録された「生神様」(A Living God) である。濱口梧陵をモデルにした「生神様」では、地震後に沿岸の村を飲み込んだ巨大な波を "tsunami" と現地語の日本語で表現した。 その後、1904年の地震学の学会報告にはじまり、地震・気象の学術論文等に限られていた。元々英語圏では "tidal wave" という語が使われてきたが、この語は本来潮汐 (tide) による波を指し、地震による波にこの語を使うのは学問的にふさわしくないとされ、現在では tsunami が用いられる。研究者の間では "seismic sea wave"(「地震性海洋波」)という語が使われることもあったが、あまり一般的ではなかった。1946年、アリューシャン地震でハワイ諸島に津波の大被害があった際、日系移民が "tsunami" という語を用いたことから、ハワイでこの語が使われるようになり、被害を受けて設置された太平洋津波警報センターの名称も1949年には Pacific Tsunami Warning Center とされたことから、アメリカ合衆国ではこの語が広く用いられるようになり、その後、1968年にアメリカの海洋学者ウィリアム・G・ヴァン・ドーン (William G. Van Dorn) が学術用語として使うことを提案し、国際語化した。 「ツナミ」は学術用語として広く国際語になっていたが、スマトラ沖地震による津波が激甚な被害をもたらしたことが世界中に報道されたことを契機に、一気に各国の言語で一般語になった。
※この「「Tsunami」の国際語化」の解説は、「津波」の解説の一部です。
「「Tsunami」の国際語化」を含む「津波」の記事については、「津波」の概要を参照ください。
- 「Tsunami」の国際語化のページへのリンク