「集団自決」記述検定問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 06:19 UTC 版)
林は文部科学省が2006年度の歴史教科書検定で沖縄戦の記述について「集団自決」は日本軍の強制ではないという方向の修正を行い、その根拠として林の著書「沖縄戦と民衆」を挙げられたことに対して、確かに「赤松隊長から自決せよという形の自決命令は出されていないと考えられる」との一文があるが、これは事件当日に自決の軍命令が出ていなかったことを書いたのであって日本軍による強制とは違う次元の話。島民は事件発生前から日本軍によって「敵の捕虜となるのは恥なので自決すべき」「捕虜は裏切り者だから殺されて当然」「島民は軍に全面的に協力し、軍が全滅した時は島民も死ぬべき」等の指示をされており、追い詰められた場合には自決することを強いられていた。このような日本軍による強制や誘導とその過程が集団自決問題の本質であるとして、軍による強制がなかったとした文科省の検定を批判した。 藤岡信勝は、「集団自決に軍命令があった」と歴史教科書に記述されたのは、「鉄の暴風」とそれを引用した文献が集団自決は守備部隊長の命令と書いたからであって、この命令が無かったのであれば教科書の記述は直されなければならないと述べている。そして日本軍の強制や誘導によって引き起こされたとされる島民の精神状態は、戦争末期には沖縄諸島に限らず日本全国で同じ状態であったこと。これは日本軍だけでなく社会全体がそのような意識であり、メディアでは朝日新聞が特に責任があること。林の説は「日本軍を悪逆非道に描き出すという目的」があり、当時の時代潮流の責任を日本軍にだけ押しつけようとするもので成り立たないと批判している。
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