「荷塘月色」より
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朱自清の作品は名文が多いことで知られるが、「荷塘月色」は一篇の詩を思わせるような美しい文章であり、中国の高校の教科書にも収録されている。この作品は、1925年7月すなわち彼が精華学校大学部にて教鞭をとっていたときに執筆された。執筆の3か月前、同年4月には、上海において蔣介石が率いる中国国民党による中国共産党に対する弾圧事件(四・一二事件)が起こっている。以前には五四運動にも参加し、愛国心の強かった朱は、この現実に憤慨し、かつ苦悩する。本作品冒頭の一文「這幾天心裡頗不寧靜。」(ここ数日気持ちがどうにも落ち着かない。)は、この現実の悲惨さと、朱の苦悩を示している。しかし対照的に、作品に描かれる蓮池は、月明かりに照らされ、静寂の中にある。「荷塘四面,長著許多樹,蓊蓊鬱鬱的。路的一旁,是些楊柳,和一些不知道名字的樹。沒有月光的晚上,這路上陰森森的,有些怕人。今晚卻很好,雖然月光也還是淡淡的。」(蓮池の周りにはたくさんの気がうっそうと生い茂っていて、道の傍らには数本の柳と名前のわからない木が数本植わっている。月明かりのない夜はこの道は薄暗くて近寄りがたい。しかし、今晩はいい雰囲気である。月明かりはまだ淡くあるけれども。)
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