「義務的な互恵的利他行動」仮説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 08:19 UTC 版)
「言語の起源」の記事における「「義務的な互恵的利他行動」仮説」の解説
イブ・ウルベク は、もう一つの標準的なダーウィン理論―「互恵的利他主義」—に訴えて言語が進化するのに必要な異常なほど高いレベルの意図的な誠実さを説明している。「互恵的利他主義」は、「あなたが私の背中を掻いてくれたら私はあなたの背中を掻いてあげます」という原則で説明される。言語を扱う際には、これは「あなたが私に正直に話してくれたら私もあなたに正直に話します」ということになる。標準的なダーウィンの互恵的利他主義はしばしば互いに影響しあう個体間で生まれる関係だとウルベクは指摘する。しかし、言語がコミュニティー全体に広まるために必要となる互恵主義は個人の選択にまかされているどころか普遍的に強いられる必要があった。言語が進化するためには社会が全体として倫理規定に従っていなければならないとウルベクは結論している。 この説を批判する者は、いつ、どのように、誰に「義務的な互恵的利他行動」が強いられることがどうして可能であったかをこの説は説明できないということを指摘する。この欠点の救済策として様々な提案が申し出られてきた。さらなる批判として、互恵的利他主義に基づいているとどうしても言語が働かないというものがある。会話が行える集団の中でヒトは、返答として聞き手が価値ある情報を提供しない限りは情報を保留するということは全くない。それに反して、彼らは社会的に価値のある情報を世界に宣伝したがっているようであり、返答として自分の考えを述べることのない聞き手にその情報をふれまわる。
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