“clock and wave”
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/17 09:27 UTC 版)
「体節 (脊椎動物)」の記事における「“clock and wave”」の解説
体節形成の機構は古くから議論されてきたが、未だに明らかでない部分もたいへん多い。そのような中で重要視されるモデルが、1976年に提唱されたクロックアンドウェーブフロント(clock-and-wave front)モデルである。未分化な沿軸中胚葉に一定の周期を持った時計機構が存在し、それを停止させる機構(wavefront)が前方からやってくるために一定間隔で分節ポイントが生じるとしたものだったが、現在このモデルは分子レヴェルで説明されている。 clock…Notchシグナル関連遺伝子群やhairyによる。未分化な沿軸中胚葉細胞は個々にNotchシグナルの活性振動を持っている。これはNotchが発現するとそれによりhairyやL-Fng(Lunatic Fringe)の転写が活性化されることに起因している。このときHairyは強力な転写抑制因子として働き、自らとL-Fngの転写をも抑制する。さらにL-FngはNotchの発現を抑制してネガティヴフィードバックをかけるため、結果としてNotchやその関連遺伝子の活性振動が生まれる。個々の細胞で生じるこの振動が互いに同調することで、ホールマウントでは見かけ上波のような発現として観察されるのである。 wave…FGFシグナルによる。FGFは尾芽領域から沿軸中胚葉にかけて広く発現しているが、体節の生じる領域では発現が減少している。体節形成が進み尾芽が伸長するに従って、沿軸中胚葉に対するFGF発現領域は一定の速度で後退するため、前述の“clock”の振動は一定時間で前から順にFGF発現領域から外れることになる。ここから外れた中胚葉ではnotchやhairyの発現振動が停止し、これらの発現領域のちょうど後方で分節が生じて体節が形成されることが確認されている。
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