βバレル型膜孔形成毒素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 04:35 UTC 版)
「膜孔形成毒素」の記事における「βバレル型膜孔形成毒素」の解説
β-PFTはほぼβストランドベースのドメインで構成されており、β-PFT単量体が集合してβバレル多量体を形成する。ロイコシジン、Etx-Mtx2、エロリジンなどの多くのタンパク質ファミリーの多様な配列を含む。X線結晶構造解析によると、α溶血素とパントンバレンタインロイコシジン の構造は関連している。同様に、エロリジンとクロストリジウムε毒素とMtx2はEtx/Mtx2ファミリーと関連する。 β-PFTには、害虫の防除に商業的に可能性のある化学物質が多い。これらの毒素は強力で、かつ限られた範囲の標的昆虫に対してのみ高度に特異的であり、安全な防虫剤として活用できる。 Etx/Mtx2ファミリーの殺虫性物質には、ヒト疾患の媒介となる蚊を防除できるLysinibacillus sphaericus由来のMtx2とMtx3 、ならびに、農業上の害虫防除に有益なBacillus thuringiensis 由来のCry15、Cry23、Cry33、Cry38、Cry45、Cry51、Cry60およびCry74がある 。 Toxin-10ファミリーの殺虫性毒素は、エロリジンとEtx/Mtx2毒素と全体的な構造に類似性を示すが、特徴は異なる。これらの毒素はすべて、頭部ドメインとより大きな尾部ドメインを特徴とする。尾部ドメインは、伸長したβシートで構成される。Toxin_10タンパク質の頭部ドメインは、レクチンのような、炭水化物結合ドメインの特徴を示す。Toxin_10タンパク質の、唯一報告されている自然界の標的は昆虫である。Cry36 とCry78を除いて、Toxin_10毒素は2成分毒素として作用すると見られている。Toxin_10タンパク質のBinAおよびBinBは共に、Lysinibacillus sphaericusのBin殺蚊性毒素で作用する。Toxin_10 Cry49は、イエカ属(Culex)蚊幼虫に対するその活性についてCry48と共依存する 。そしてBacillus thuringiensis Toxin_10タンパク質Cry35は、aegerolysinファミリーCry34と相互作用してWestern corn Rootwormを殺す。この毒素のペアは、SmartStaxコーンなどの昆虫抵抗性植物に含有されている。
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