21cm Mrs 18 21cm Mrs 18の概要

21cm Mrs 18

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/25 08:49 UTC 版)

21 cm Mörser 18
射撃状態の21 cm Mrs 18
種類 臼砲
原開発国 ドイツ国
運用史
配備期間 1939年 - 1945年
配備先 ドイツ国
関連戦争・紛争 第二次世界大戦
開発史
製造業者 クルップ
製造期間 1939 - 1942年
諸元
重量 16,700kg (36,817lbs)
全長 6.51m (21.35ft)
銃身 6.07m / 29口径長

砲弾 separate-loading cased ammunition (6 charges)
口径 211mm (8.30in)
砲尾 横スライドブロック
反動 二重の液圧式駐退復座機
砲架 箱形砲座
仰角 -6°から+70°
旋回角 16°(輸送状態)
360°(砲座状態)
初速 550m/s (1,804ft/s)
有効射程 16,725m (18,290yds)
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一般的に榴弾砲に分類されることが多いが、ドイツ語の名称が示すとおりドイツ軍ではMörser臼砲)に分類されていた。

概要

21 cm Mrs 18は、第一次世界大戦で使用されていた21cm Mrs 16の後継としてクルップ社が設計した。

Mrs 18とは1918年に生産開始、もしくは部隊配備した臼砲であることを意味するが、これは、大口径火砲ヴェルサイユ条約により新規開発と保有が禁じられていたカテゴリーの兵器であったため、第一次世界大戦中に既に生産開始されていた、という欺瞞工作として命名されたものである[1]

この砲はヴェルサイユ条約破棄と再軍備宣言を行った後に最初に大量生産された火砲の一つである。

1941年には、帝政ドイツ時代のカノン砲であった15cm K 16砲身部を当砲の砲架部に結合させた暫定カノン砲が製造されている。これは、戦時賠償としてベルギーに引き渡されていた15cm K 16を1940年ベルギー侵攻後に接収したものから製造したもので、「15cm Kanone in 16 Mörserlafette(臼砲架台搭載15cm カノン砲16型)」として主に沿岸砲として使用された。

1942年には砲架を共通のものとして砲身のみを新規に開発した17cm K 18 カノン砲が制式化されたため、以後は野戦砲としてはK 18への置き換えが進められたが、固定配備の沿岸砲などとしてはその後も使用され、1943年には少数ながら生産も再開されている。

特徴

21 cm Mrs 18の特徴は、駐退復座機砲身と上部砲架に二重に設置して、反動を大きく抑えていることである。また、その重量を考慮して、下部砲架には砲全体を砲架ごと360度回転させるための旋回板(砲を左右に旋回させる際は、これによりジャッキのように砲全体を接地面から持ち上げて旋回させる)を備えていることも大きな特徴である。

上述のように「臼砲」の名称は便宜的なもので、実態としては榴弾砲に分類される火砲であるが、ドイツ軍では再軍備宣言の後もMörser臼砲)に分類されたまま装備・運用された。

運用

当砲は第833重砲兵大隊(カール自走臼砲を運用した部隊として知られる)を始め上級司令部直轄の重砲兵大隊で用いられた。実戦での運用例としては、1942年6月のセヴァストポリ要塞攻囲戦において要塞砲への攻撃に用いられ、マキシム・ゴーリキーI号砲台のうち南砲塔の破壊に貢献したことが挙げられる。

口径21cmの砲弾の破壊力は絶大であったが、その大重量故に長距離運搬時には砲身を外して砲架と砲身部の2つに分割して輸送する必要があり、砲を設置する際にも地盤が安定した場所を選ぶ必要があった。水平射角を確保するためには非常にしっかりとした台座の構築が必要であるなど、移動と砲撃の準備を行うのにかなりの手間がかかった。ドイツ軍では装軌式の砲牽引車、それもこのような大型大重量の砲を牽引できるものが不足しがちであったため、輸送には大きな困難が伴った。また、輸送状態から射撃状態にするためには砲身を砲架に結合する作業が必要なため、大きな吊り下げ能力のあるクレーン車などの支援車両が必要であったことも運用の難しいものとなった原因である。

大口径の砲弾と装薬の輸送・装填にも多くの人員が必要であり、総じて野戦で活用するための機動的な運用には不向きであった。

また、大口径砲であるので威力は非常に大きかったが、射程は17km程度と、他国の大口径火砲と比較して短射程であったため、赤軍ML-20 152mm榴弾砲A-19 122mmカノン砲などに射程外から撃破されることも多かった。このため、1942年には製造中止となり、野戦用の重榴弾砲としては小口径化されながらも射程を約2倍に延長した17cm K 18に交代していった。


  1. ^ これはMrs 18に限ったことではなく、8.8cm高射砲 FlaK 18なども同様である
  2. ^ この構想が最終的に実現したものが、海軍砲として開発された38cm ロケット臼砲(ドイツ語: Gerät562:562号機材)を搭載した「38cm突撃(戦車)臼砲ティーガー」、通称「シュトルムティーガー」である。
  3. ^ 38(t)戦車の派生型の一つである15cm自走砲、Sd.Kfz. 138/1とは異なる


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