白 白の色料

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/17 02:26 UTC 版)

白の色料

100%の反射率を持った「理想的な白色」の物体は実在しない。米国パデュー大学は2021年9月16日、同大学が開発した硫酸バリウムを含む塗料が太陽光の98.1%を反射する性能を有し、ギネス世界記録に認定されたと発表した[2]

現在、ほぼ理想的な白色物質として利用されているのが硫酸バリウムのほか酸化マグネシウムであり、これらは可視光線のほぼ全領域にわたって99%以上の反射率を示す良好な白色素材である。工業的にはチタン白・二酸化チタンが多用される。鉛白は油絵具に使われる。

炭酸カルシウム Calcium Carbonate

炭酸カルシウム系顔料としては、白亜大理石ムードン胡粉などがある。油性の媒材 (Binder) においては、屈折率の関係で透明になってしまい、白色顔料としては使用出来ない。

鉛白 White Lead

古代から使用されてきた白色顔料で、現在では油彩用顔料として使用されている。油彩のモデリング等において活躍する。組成は塩基性炭酸鉛 2PbCO3Pb(OH)2である。成分である触媒として作用し、展色材である乾性油の酸化重合を促すこと、絵具化に際して要求される油量が少ない為油の影響を受け難いこと等の理由で乾燥性が良い。塗膜の上塗り及び下層に対する接着性が良く、亀裂の発生も少ない。この性質は、鉛白の結晶が板状であり、塗膜に層状に配列することによると考えられる。カドミウムイエローやウルトラマリン ブルーなどと混合しても大抵は問題を起こさないが、硫黄化合物と混合すると黒変の可能性がある。毒性があるので、長期にわたる皮膚などからの摂取には注意を要する。水性絵具では硫黄成分を遮断できないので、水性絵具には適さない。

クレムニッツ白として有名な鉛白は、クレムニッツ法によって得られる。しかし絵具化するとチューブの中で粗粒となる。また、白色度も最高ではない。新しい製法として、1955年頃から電気分解法が日本で採用されるようになった(三井金属)。99.998%という純度の高い電気鉛を使用し、電解液中に炭酸ガスを吹き込み、電気分解を連続操作で行うなど、近代設備でコントロールし製造する。この鉛白は均質で白色度も高い。国産鉛白絵具を支える顔料である。White Lead[3] とも言われる。

亜鉛華 Zinc White

亜鉛華は、ヨーロッパでは中世から知られていたが、工業的に生産されるようになったのは1830年代である。絵画用として使用されるようになったのはこれよりさらに時代が下がる。油絵具では乾性油と反応し塗膜に亀裂、剥離を起こすことがある。酸化亜鉛 ZnO。

リトポン Lithopone

リトポンは1874年頃、イギリスでジョン・オアが初めて作り特許を取得した。開発当初は黒ずむ傾向が強かった為、絵画用としては普及しなかった。現在ではこの欠点も改善されている。硫化亜鉛と硫酸バリウムの混合物。

チタン白 Titanium White

1920年代から本格的に工業生産されるようになった。白色顔料中で屈折率と着色力は最も大きい。現在では塗料用白色顔料としては最も大量に生産されており、光触媒としての活用も盛んである。酸化チタン、二酸化チタン TiO2


  1. ^ 千々岩 英彰『色彩学概説』東京大学出版会 2001年4月 ISBN 4130820850
  2. ^ 太陽光の98.1%を反射」ITmedia(2021年9月21日配信)2021年9月23日閲覧
  3. ^ 『絵画材料事典』ラザフォード・J・ゲッテンス・ジョージ・L・スタウト著 森田恒之訳 美術出版社 1999年6月 ISBN 4254252439
  4. ^ 『ウィズダム英和辞典』三省堂、2007年
  5. ^ 晋書』巻二十五(輿服志)
  6. ^ 武田佐知子『古代国家の形成と衣服制』(吉川弘文館、1984年)140頁、180頁注10
  7. ^ 井上光貞・関晃・土田直鎮・青木和夫校注『日本思想大系 律令』351-358頁。服色条は354頁(岩波書店、新装版1994年、初版1976年)
  8. ^ 内田正俊「色を指標とする古代の身分の秩序について」『日本書紀研究』第19冊(塙書房、1994年)15頁
  9. ^ 『古事記』中巻、倭建命が東征の帰途足柄の坂で遭った神が白鹿(岩波文庫版123頁)で、『日本書紀』では信濃国の山中とする(巻第7、景行天皇40年是歳条。新編日本古典文学全集版380-381頁)。伊吹山で遭った神が白猪(『古事記』125頁)で、『日本書紀』では大蛇とする(『日本書紀』同条、382頁)。倉野憲司校注『古事記』岩波書店(岩波文庫)1963年。小島憲之・直木孝次郎・西宮一民・蔵中進・毛利正守校訂・訳『日本書紀』1、(小学館・新編日本古典文学全集 2)、1994年。
  10. ^ 『日本書紀』巻第25、白雉元年2月戊寅(9日)条。新編日本古典文学全集版380-381頁。小島憲之・直木孝次郎・西宮一民・蔵中進・毛利正守校訂・訳『日本書紀』3、(小学館・新編日本古典文学全集 4)、1998年。
  11. ^ Heller, Eva, Psychologie de la couleur, effets et symboliques, Pyramyd. pp. 136–37
  12. ^ コトバンク白星
  13. ^ 米川明彦編『日本俗語大辞典(第3版)』東京堂出版 2006年 295頁
  14. ^ David and Michigo Young (2005), The Art of the Japanese Garden, p. 64
  15. ^ 関口晴利『囲碁ルールの研究』文芸社、2007年
  16. ^ 長谷川五郎『オセロの勝ち方』河出書房新社、2001年5月


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