工業高等学校
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/21 08:54 UTC 版)
美術系の学科
工業高等学校の中にはデザイン、アート、イラスト、映像(動画)、インテリアなど美術(工芸)を専門とする美術系の学科もあり、芸術高等学校の美術科に近い教育内容を提供している。
例えば、東京都立工芸高等学校では「マシンクラフト科」、「グラフィックアーツ科」の工業系2学科に加え、「アートクラフト科」、「インテリア科」、「デザイン科」の美術系3学科を設置している。
男女比の傾向
公立の高校では原則男女の制限はない。[注 3]機械や電気、情報など工業系の学科では男子が多く集まるのに対し、デザイン、イラストなど美術系の学科は女子が多く集まる。私立高校では男子校として募集している高校も多い。
学科数(学校数)と生徒数の推移
文部科学省の学校基本調査によれば、工業科の学科数(学校数)、工業科で学ぶ生徒数および全高校生に占める比率は次のようになっている(学校基本調査[1]および毎年度刊行される『文部科学統計要覧』[2]より引用)。
生徒数のグラフの色は、は5年ごと、はその他の年のデータを示す。
表の見方
- 学科数(全日・定時):工業科を全日制課程と定時制課程をそれぞれ1と数えたときの学科数。総合学科や普通科の工業専攻コースは含まれていない。
- 学校数(比率):上記の学科数から全日制・定時制併設校の数を差し引いた実際の学校数、および全高等学校に占める比率
- 生徒数(比率)とグラフ:工業科に在籍する生徒数、および全高校生に占める比率とそのグラフ。
年度 | 学科数(全日・定時) | 学校数(比率) | 生徒数(比率)とグラフ | 男子 | 女子 | 全日制 | 定時制 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
昭和30年度(1955年) | 394 | - | 237,328人(9.2%) | - | - | 167,970人 | 69,358人 | |
昭和35年度(1960年) | 644(全397・定247) | - | 323,520人(10.0%) | 320,775人 | 2,745人 | 239,868人 | 83,652人 | |
昭和40年度(1965年) | 925(全654・定271) | - | 624,105人(12.3%) | 614,233人 | 9,872人 | 524,247人 | 99,858人 | |
昭和45年度(1970年) | 923(全657・定266) | 715校(14.9%) | 565,508人(13.4%) | 550,570人 | 14,938人 | 491,237人 | 74,271人 | |
昭和50年度(1975年) | 918(全680・定238) | 736校(14.9%) | 508,818人(11.8%) | 490,742人 | 18,076人 | 464,676人 | 44,142人 | |
昭和55年度(1980年) | 852(全648・定204) | 686校(13.2%) | 474,515人(10.3%) | 456,243人 | 18,272人 | 444,571人 | 29,944人 | |
昭和60年度(1985年) | 838(全649・定189) | 685校(12.6%) | 478,416人(9.3%) | 459,940人 | 18,476人 | 447,193人 | 31,223人 | |
平成 2年度(1990年) | 840(全656・定184) | 690校(12.5%) | 486,132人(8.7%) | 459,943人 | 26,189人 | 454,032人 | 32,100人 | |
平成 7年度(1995年) | 841(全664・定177) | 695校(12.6%) | 414,946人(8.8%) | 382,374人 | 32,572人 | 394,653人 | 20,293人 | |
平成12年度(2000年) | 797(全633・定164) | 662校(12.1%) | 364,000人(8.8%) | 330,709人 | 33,291人 | 343,227人 | 20,773人 | |
平成13年度(2001年) | 790(全627・定163) | 657校(12.0%) | 355,193人(8.8%) | 322,486人 | 32,707人 | 334,179人 | 21,014人 | |
平成14年度(2002年) | 783(全624・定159) | 651校(11.9%) | 343,883人(8.8%) | 311,904人 | 31,979人 | 322,989人 | 20,894人 | |
平成15年度(2003年) | 778(全621・定157) | 648校(11.9%) | 329,991人(8.7%) | 298,785人 | 31,206人 | 310,246人 | 19,745人 | |
平成16年度(2004年) | 776(全620・定156) | 645校(11.9%) | 317,492人(8.6%) | 287,118人 | 30,374人 | 298,371人 | 19,121人 | |
平成17年度(2005年) | 766(全610・定156) | 635校(11.7%) | 302,196人(8.4%) | 273,164人 | 29,032人 | 284,546人 | 17,650人 | |
平成18年度(2006年) | 757(全604・定153) | 628校(11.7%) | 289,958人(8.3%) | 261,789人 | 28,169人 | 274,414人 | 15,544人 | |
平成19年度(2007年) | 726(全581・定145) | 613校(11.5%) | 278,827人(8.2%) | 251,998人 | 26,829人 | 264,650人 | 14,177人 | |
平成20年度(2008年) | 700(全567・定133) | 587校(11.2%) | 271,968人(8.1%) | 245,941人 | 26,027人 | 258,595人 | 13,373人 | |
平成21年度(2009年) | 683(全555・定128) | 575校(11.1%) | 267,289人(8.0%) | 241,777人 | 25,512人 | 253,927人 | 13,362人 | |
平成22年度(2010年) | 669(全548・定121) | 565校(11.0%) | 266,667人(7.9%) | 240,801人 | 25,866人 | 252,917人 | 13,750人 | |
平成23年度(2011年) | 656(全541・定115) | 557校(11.0%) | 263,856人(7.9%) | 237,909人 | 25,947人 | 250,328人 | 13,528人 | |
平成24年度(2012年) | 648(全535・定113) | 550校(11.0%) | 263,557人(7.9%) | 237,517人 | 26,040人 | 250,363人 | 13,194人 | |
平成25年度(2013年) | 637(全527・定110) | 542校(10.9%) | 260,559人(7.9%) | 234,797人 | 25,762人 | 248,182人 | 12,377人 | |
平成26年度(2014年) | 636(全525・定111) | 540校(10.9%) | 258,001人(7.8%) | 232,360人 | 25,641人 | 246,578人 | 11,423人 | |
平成27年度(2015年) | 632(全522・定110) | 校 | 254,521人(7.7%) | 228,739人 | 25,782人 | 243,826人 | 10,695人 |
一学年当たりの生徒数は約10万人(2005年頃)であり、大学理系(工学部および理学部の学生数は約8万人)とほぼ同数で、工業高専のほぼ10倍に当たる。また、工業科併設校を含めた学校当たりの平均規模は、学年当たり生徒数130人となる。
大学進学の増加や高校授業料の無償化などにより志望する生徒は年々減少している[3]。
おもな設置学科
多くの工業高等学校で設置されている学科には、次のようなものがある。学科の分類は、現行の『高等学校学習指導要領解説(工業編)』の科目分類を参考にした。このほかにもさまざまな学科があるが、詳しくは「工業 (教科)#工業に関する学科」を参照。
大分類 | 小分類 | 学科の例 |
---|---|---|
機械系 | 機械関係 | 機械科 |
電子機械関係 | 電子機械科 | |
自動車関係 | 自動車科・自動車工学科・自動車整備科 | |
電気・電子・情報技術系 | 電気関係 | 電気科・電気工学科・電気通信科 |
電子関係 | 電子科・電子情報科 | |
情報技術関係 | 情報技術科・情報科学科・情報システム科 | |
建築・土木系 | 建設総合 | 建設科(建設工学科) |
建築関係 | 建築科 | |
設備工業関係 | 設備工業科・建築設備科 | |
土木関係 | 土木科 都市工学科 | |
化学・材料系 | 化学工業関係 | 工業化学科(化学工業科) |
環境関係 | 環境化学科・環境工学科 | |
材料技術関係 | 材料技術科・材料工学科 | |
セラミック関係 | セラミック科(旧・窯業科) | |
繊維・インテリア・デザイン系 | 繊維関係 | 繊維科・紡織科 色染科 |
インテリア関係 | インテリア科 | |
デザイン関係 | デザイン科 |
特色のある工業科を設置する普通科高校・総合学科のある高等学校
- 科学・技術科(東京工業大学附属科学技術高等学校)
- 科学工学科(神戸市立科学技術高等学校)
- 薬業科、薬学科、くすり・バイオ学科(奈良県立御所実業高等学校他)
- 航空科(日本航空高等学校、日本航空高等学校石川、北陵高等学校の3校)
- 航空産業科(愛知県立小牧工科高等学校)
- 鉄道科(昭和鉄道高等学校)
- 運輸科(岩倉高等学校)
注釈
- ^ 通常は各種工具と機材を自腹で揃えて参考書や動画を見ながら練習するか、有料の講習会を受講する。
- ^ 宮城県立高等学校学区制度などを参照。
- ^ 全校生徒全員男子の公立工業高校も存在。
出典
- ^ 東京都教育委員会. “都立工業高等学校の名称変更について|東京都教育委員会ホームページ”. 東京都教育委員会ホームページ. 2022年8月5日閲覧。
- ^ UNESCO (2008年). “Japan ISCED mapping”. 2015年10月31日閲覧。
- ^ a b c d e 工業高校って必要ですか? - NHK
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