太陽の子エステバン 概要

太陽の子エステバン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/08 18:17 UTC 版)

概要

1982年制作のSF冒険アニメで、1話28分、全39話である。アニメーション制作はスタジオぴえろ。第7話からフランスのDICとの共同制作となり、当初なかったSF要素の強いメカニックを登場させる路線変更が行われた[2]。日本では1982年6月29日から1983年6月7日にかけてNHK総合で放送された[1]。フランスではアンテンヌ2の子供向け番組・Récré A2内で1983年9月28日より放送された。

1998年4月6日から1999年1月4日にかけてNHK衛星第2テレビジョン(NHK BS2)で再放送された際には、フランスからプリントフィルムを逆輸入して音声を再アフレコしている。これは、オリジナルVTRをNHKが契約切れと共に消去してしまい、権利元のMK COMPANYも原版を紛失してしまったためであり、主人公エステバン以外の声優はすべて変更されている[注釈 1]

新作企画

2008年にフランスで『Les mystérieuses cités d'or』の新作の企画が発表された[3]アングレームBlue Spiritによる制作で、TF1系列の子供向け番組・TFOUにて2013年に、第2シーズンが2016年に放送された。

ストーリー

16世紀マゼラン隊の世界一周から10年後。スペインバルセロナで育った少年エステバンは、10年前に彼を難破船から救った航海士メンドーサの誘いで、その時行方不明になった父の手掛かりでもある黄金都市を探しに新大陸(現・中南米)へ旅立つ。自分と同じペンダントを持つインカの少女シアやムー大陸文明の英知を受け継ぐ少年タオと出会い、共に旅を続けるが、彼らは黄金を狙って先住民を蹂躙するスペイン人や、黄金都市の真の宝であるムーの「大いなる遺産」を狙うオルメカ人の陰謀と闘うことになる。

登場人物

  • 声優は初回放送時 / BS放送時

主要人物

エステバン
声 - 野沢雅子
主人公。12歳。
幼少の頃、太平洋を父親とともに漂流していたところを、マゼラン探検隊航海士だったメンドーサによって助けられる。父親はエステバンをメンドーサに託したあと高波にさらわれてしまう。エステバンは不思議な「黄金のペンダント」をぶら下げていた。
幼年期はスペイン・バルセロナの大司教ロドリゲス神父のもとで過ごす。それから十数年後。港町の酒場でメンドーサに再会したエステバンは、育ての親である神父の死をきっかけに自らの生い立ちを知ることになり、希望の地「新大陸」へと船出した。彼が祈ると雨や嵐が鎮まり太陽が現れるというので「太陽の子」と呼ばれている。ストーリー開始当初は高所恐怖症だったが、徐々に克服していく。
シア
声 - 小山茉美 / 佐久間レイ
ヒロイン。11歳。
インカ神官パパカマヨの娘。
父とともにインカの村プーナで暮らしていたが、7歳のときにピサロの襲撃に遭う。その後、イスパニア王女マルガリータのもとへ贈られた。
数年後、スペインの港町バルセロナでエステバンと出会い、故郷の新大陸へ旅立つことになった。
エステバンと同じ「黄金のペンダント」を胸に下げている。
タオ
声 - 堀絢子 / くまいもとこ(第5話 - 第39話)
13歳。
一夜にして滅んだ超文明「ムー」の子孫であり最後の生き残り。父と死別して以来、独りで太平洋のガラパゴス諸島の一島に暮らしていた。
ある日、島の予言どおりに現れたエステバンたちの前に現れ、シアをさらって「キープ」の秘密を解読させる。
伝説の太陽の船「ラ・ムー号」を手にしたタオは、エステバンたちとともに東方の新大陸を目指すことになる。
先祖から受け継いだ知識を活かし、遺跡の謎を解いたりカラクリを作ったりする。また、家宝である「ムーの事典」と「黄金の壷」を持つ。
グイン
声 - 植竹真子 / 斉藤祐子(第7話 - 第39話)
タオの可愛がっているオウム。
メンドーサ
声 - 佐々木功 / 内田直哉
28歳。
魔のマゼラン海峡を三度にわたってくぐり抜けてきた歴戦の船乗り。赤子のエステバンを嵐の海から救い上げた。
一等航海士として「エスペランサ号」に乗船していたが、バルセロナの酒場で出会った少年がエステバンだと知り、彼を幻の黄金都市「エル・ドラード」の眠る新大陸の冒険へ導くことになる。
当初はエステバンたちを黄金都市の手がかりとしてしか見ていなかったが、徐々に保護者的な心情が芽生えていく。
ペドロ
声 - 肝付兼太 / 中村大樹
メンドーサの子分。ノッポ。
サンチョ
声 - 青野武 / 桜井敏治
メンドーサの子分。太っちょ。

スペイン

ピサロ
声 - 富田耕生 / 堀勝之祐(第8話 - 第10話・第19話)
リマ総督。
幼少のシアをさらい、スペインにいる「マルガリータ王女」への贈り物にしようとした。しかし、シアが「黄金都市」の手がかりが記された「キープ」を読むことができると知り、ゴメスに命じて本国から連れ戻させる。
ゴメスなどに命じて執拗にシアたちをつけ狙う。
ゴメス
声 - 納谷悟朗 / 玄田哲章(第1話 - 第4話・第7話 - 第12話・第14話 - 第16話・第20話・第32話・第34話 - 第39話)
スペイン軍司令官。
冷徹・有能な指揮官で、ピサロ総督の右腕として仕えていたが、任務にことごとく失敗。副官ガスパルとともにピサロの軍から離反する。
大コンドル奪回のために、エステバンたちと協力してオルメカ人を撃退した。
ガスパル
声 - 内海賢二 / 納谷六朗(第2話 - 第4話・第7話 - 第12話・第14話 - 第16話・第20話・第32話・第34話 - 第39話)
ゴメスの忠実な副官。
ペレス
声 - 鎗田順吉滝口順平 / 糸博(第1話 - 第4話)
エスペランサ号の船長。
グルーチョ
声 - 石丸博也 / 仲木隆司(第8話 - 第9話)
ピサロ配下のスペイン兵隊長。
ルカス
声 - 藤城裕士 / 小形満(第19話)
ピサロ配下の青年将校。
ナスカの町で黄金を剥奪する任務に従事していた。エステバンたちの乗った黄金の大コンドルが砂漠に飛び去っていくのを目撃し、ピサロとともにナスカ高原に駆けつける。
アンドレス
声 - 嶋俊介 / 星野充昭(第19話)
ピサロ配下の軍人。
ドクトル
声 - 嶋俊介 / 納谷悟朗(第24話 - 第27話・第31話・第35話)
本名フェルナンド=ラゲール。通称「ドクトル」(博士)。
マリンチェとともにエステバンをつけ狙うスペイン人の学者。
ロドリゲス神父(リヨレンス神父)
声 - 高木均 / 鈴木清信(第1話)
バルセロナ・カテドラルの神父。エステバンの育ての親。
マゼラン
(第1話)
若き船乗りだったメンドーサに航海術と情熱を教えた。
マルガリータ王女
(第1話)
スペインの王女。
ピサロから贈られた、シアを侍女として傍に置いていた。

インカ

トハカ
声 - 中尾隆聖 / 柴本浩行(第8話 - 第9話)
インカの村の青年。
他の村人たちと一緒にツンベスの砦に囚われていたところを、メンドーサとエステバンたちに助けられる。
アポ
声 - 千葉順二 / 槐柳二(第8話 - 第9話)
インカの村の長老。
トハカと一緒に捕らえられていた。
パチャ
声 - 辻村真人 / 野本礼三(第10話)
ツンベスの地下神殿の神官。
黄金都市の在りかをピサロに喋らなかったために、長い間神殿に閉じ込められていた。
神殿を訪ねて来たエステバンたちをピサロの軍から逃がすため、神殿を支えていた巨大氷柱を溶かす仕掛けを発動、自らは神殿と運命を共にした。
クラカ
声 - 北村弘一 / 川久保潔(第12話 - 第14話・第16話・第20話)
老いたる峰(マチュ・ピチュ)の町を治める王。
ワイナ
声 - 玄田哲章 / 宇垣秀成(第11話 - 第12話・第14話・第16話)
クラカに仕える老いたる峰の町の戦士。ジャガーの毛皮を被っている。
クラカの命令でエステバンたちを町まで案内した。
ケチャ
声 - 辻村真人 / 園部啓一(第11話 - 第12話・第14話・第16話)
クラカに仕える老いたる峰の町の戦士。
ワイナと同様にエステバンたちを護衛する任務を授かる。
ユパンキ
声 - 石丸博也 / 藤城裕士(第12話・第14話 - 第15話・第20話)
黒ワシ砦の守備隊長。
クラカの命令で、老いたる峰の入り口にある要塞を死守していた。
マユカ
声 - 千葉耕市 / 八木光生(第13話・第20話)
各地の村々を放浪していた物知りの老人。エステバンの両親のことと思われる物語を語った。
ヤクーナ
声 - 上田みゆき / 潘恵子(第13話)
クラカの王宮に住む召使の女性。
エステバンたちの身の回りの世話をするためにクラカから遣わされる。
チュシ
声 - 三田ゆう子 / 小田木美恵(第13話)
老いたる峰の町に住む女の子。
町に現れたエステバンをビラコチャの使いとして畏れていた。しかし、気さくなエステバンを見て打ち解ける。
ロカ
声 - 小原乃梨子 / ?(第13話)
チュシといっしょにいた男の子。
マユカの居場所を知っている友達のイラマをエステバンに紹介する。
イラマ
(第13話)
ロカの友達。
マユカが老いたる峰にいることをエステバンに教える。
パパカマヨ
声 - 辻村真人 / 北村弘一(第31話 - 第33話)
シアの父。
プーナの長だったが、用事を済ませて戻ってくると、村はスペイン人に襲われ、娘のシアはピサロにさらわれたあとだった。
その後、黄金都市を探し求めて各地を放浪の末、マヤに「新しい太陽の村」を築く。
4年後、成長したシアと再会するが、黄金都市の秘密を示したパパカマヨはオルメカ人の矢傷が元で急逝する。
パト
(第11話・第14話・第20話)
シアが幼いころに飼っていたコンドル。11話で村に戻って来た彼女と再会、20話ではマヤへ向かう一行を子供たちと共に見送った。

湖の部族

ラナ
声 - 信沢三恵子 / 浅田葉子(第16話)
トトラの村サバルの娘。
パチャ・ママの生け贄に捧げられるためにウルブ族にさらわれたが、逃げ出して倒れているところをエステバンたちに助けられた。
サバル
声 - 藤城裕士 / 中村秀利(第16話)
ラナの父親。
湖の村「トトラ」の長。さらわれた娘を助けてくれたエステバンたちを歓迎する。
クルガ
声 - 加藤治 / 大友龍三郎(第16話 - 第17話)
巨人ウルブ族の一人。
大地の女神パチャ・ママの生け贄に湖の村からラナをさらう。ラナが逃げ出したために再び村を襲うが、失敗して一族から追放される。

アマゾネス

サバ
声 - 池田昌子 / 潘恵子(第21話 - 第22話)
アマゾネスの国の女王。
太陽を呼んだエステバンを太陽の子として王国に歓迎する。
チルカ
声 - 岡本茉利 / 西村ちなみ(第22話)
サバに仕えている少女。
女王のお気に入りで、エステバンたちの代わりに雨の神の生け贄にされそうになる。
オムロの陰謀にいち早くから気づいていた。
パウラ
声 - 上田みゆき / 安達忍(第21話 - 第22話)
アマゾネスの国の女戦士。
女王サバの信任の厚い人物であり、アマゾネスたちの隊長として部隊を任されている。
オムロ
声 - 花形恵子 / くじら(第21話 - 第22話)
アマゾネスの国の魔女。
雨の神と交信できる巫女として人々から恐れられている。しかしそれは、ムーの力「気圧計」を使って雨の降ることを予測していただけだった。
国を乗っ取ることに失敗したオムロは、敵対関係にあったセイバン族とアマゾネスの国を滅ぼそうとするも、エステバンたちに阻止される。
ローダ
声 - 滝沢久美子 / 村上はるみ(第21話 - 第22話)
アマゾネスの一人。
オムロと共謀して女王を追放しようと目論むが失敗する。

マヤ

マイナ
声 - 麻上洋子 / 池澤春菜(第30話 - 第34話・第39話)
オルメカの奴隷にされていたマヤの少女。
ワナコチャの恋人。パパカマヨを父親のように想って世話をしていた。
ワナコチャ
声 - 井上和彦 / 梁田清之(第31話 - 第35話・第37話・第39話)
マヤの村「新しい太陽の村」の勇敢な青年。
マイナの婚約者。オルメカ人に追われていたエステバンたちを間一髪のところで助けた。
チホルトウン
声 - 長堀芳夫 / 永野広一(第33話 - 第35話・第37話)
マヤの村の酋長。
オルメカ打倒のために訪れたワナコチャの申し出を断るが、その後、近隣の酋長たちとともにワナコチャの軍に加わる。
トラスシンゴ
声 - ? / 小室正幸(第25話)
マヤの「聖なる泉の村」の酋長。
マリンチェの友人。
マリンチェ
声 - 吉田理保子 / 勝生真沙子(第24話 - 第27話・第31話・第35話)
スペイン人ドクトルらと行動をともにしている女性。
「聖なる泉の村」の酋長トラスシンゴの友人。
新大陸の人間。ドクトルやテテオラとともに徒党を組んでエステバンたちをつけ狙う。
テテオラ
声 - 富田耕生 / 梁田清之(第24話 - 第27話・第31話・第35話)
マリンチェの忠実な僕である巨漢。
ドクトル一味に加わってエステバンたちの冒険の妨害をする。

オルメカ

本作ではオルメカ人は太古にムーとの戦争で共倒れになったアトランティスの末裔とされている。生殖能力を失っており、滅亡回避のために他民族の若い細胞を集め、老化を遅らせる薬の効果を最大限発揮できる気候を作るために黄金都市の「大いなる遺産」を狙っている。

メトナル
声 - 大木民夫 / 辻村真人(第29話 - 第32話・第34話 - 第39話)
オルメカ族の首長。
高度な文明と圧倒的な科学力で、近隣のマヤの村々を脅かしていた。
カルメク
声 - 玄田哲章 / 梅津秀行(第29話 - 第32話・第34話 - 第39話)
首長メトナルに仕える側近。
メトナルに次ぐ、オルメカ人ナンバー2の貴族。黄金都市に侵入して「大いなる遺産」を奪った。

黄金都市

黄金都市神官
声 - 高木均 / 千葉繁(第37話 - 第39話)
黄金都市の扉を守っている神官。
代々その役目は神官の家系が担ってきたが、現在は、病死した先代の遺志を受け継いで別の人物が成り代わっていた。
その人物とは、嵐の海で生き別れになったエステバンの父だった。
太陽の紋章を持ったエステバンと再会を果たすも、その素性を隠したまま「大いなる遺産」の暴走を食い止めるために大地の裂け目へと姿を消した。

その他


注釈

  1. ^ VTR映像で原版が制作されていた“前回までのあらすじ”、次回予告、解説コーナー「ドクトル順平のなるほど!百科」(出演は早稲田大学教授・寿里順平)など現存しないために割愛されている。
  2. ^ 但し、原作から用いたのは歴史・地理的背景や主要人物程度であり、SF要素等はアニメオリジナルである。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l 太陽の子 エステバン”. 株式会社ぴえろ. 2022年9月27日閲覧。
  2. ^ 「路線変更の思わぬ効果……『太陽の子エステバン』第18話「大コンドルの秘密」より」『アニメージュ1983年2月号
  3. ^ 「太陽の子エステバン」 フランスで新テレビシリーズ企画”. アニメ!アニメ! (2008年11月16日). 2022年9月27日閲覧。
  4. ^ いつかどこかであなたに会った”. NHK みんなのうた. 2022年9月27日閲覧。






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