名探偵コナン紺青の拳

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2024/04/29 10:21 UTC 版)

概要

第19作『業火の向日葵』以来、4作ぶりに怪盗キッドが登場し、すでに原作・テレビアニメの「怪盗キッドvs京極真」^[5]でも彼と対決した経験を持つ京極真が、初めて劇場版のメインキャラクターに据えられた作品である^[6]^{[注 2]}。このため、公開間近の2019年3月30日と翌週の4月6日には本放送枠で同エピソードが再放送された^[8]^[9]。

山口勝平は本作でもキッドを工藤新一と兼任しているが、本作に登場する新一はキッドが変装した姿であり、本物の新一の出番は極めて少なく、冒頭の解説を除けば台詞は1つだけであった。

鈴木園子は第11作『紺碧の棺』以来、実に12年ぶりに本格的なメインキャラクターに据えられている^{[注 3]}。園子と京極の恋愛描写も本作の物語の軸の一つとなっていて、原作やテレビアニメでも普段から京極が左眉横に貼っている絆創膏の秘密が本作で明かされることとなる。

キッドと同様に、中森警部も4年ぶりの登場となるが、本作での出番はエピローグのみとなっており、本作以降は2018年8月13日に死去した石塚運昇の後任として石井康嗣が担当する^{[注 4]}。また、中森以外の日本の警察関係者のレギュラーは登場していない。本作の事件に直接関わるレギュラーキャラクターは6名（コナン、キッド、園子、京極、蘭、小五郎）のみであり、今までは必ず何らかの形で事件に関わっていた少年探偵団も灰原哀以外は全く関わっていない^{[注 5]}。

本作より新一と毛利蘭は恋人同士になっており、原作及びテレビアニメの時系列として、本作は「紅の修学旅行」^[10]より後に起きた出来事であることが本編中でも言及されている。

物語の舞台は19世紀のロンドンという空想の世界であった、第6作『ベイカー街の亡霊』を除けば、シリーズ初の海外となり、ポスターイラストの背景にはシンガポールのマリーナベイ・サンズが描かれている^[6]。

オープニング映像は第20作『純黒の悪夢』以降の演出を踏襲しており、本作ではキッドのアイテムであるトランプがあしらわれたデザインとなっており、クレジットは英語（アルファベット）表記から日本語表記に移行する形で表示されている。解説されるのは新一がコナンになった経緯と本作のメインとなるキッド、京極、園子の紹介であり、阿笠博士のアイテムや灰原の紹介は省略されている。キャストクレジットについては京極役の檜山修之が追加され、園子役の松井菜桜子が『純黒の悪夢』以来にクレジットされている。

2019年4月13日に放送されたテレビアニメ第936話「フードコートの陰謀」は本作のスピンオフに位置づけられており^[11]、本エピソードの中でも映画の本編と同様コナンは急用で北海道に行っていることになっていた^{[注 6]}^[12]。

サブタイトル「紺青の拳（フィスト）」は「キッドが狙う宝石の名前」のため、登場人物の台詞ではなく固有名詞がそれになった。

脚本は推理作家の大倉崇裕が手がけており、前々作『から紅の恋歌』以来2作目の執筆となる。劇場版の監督として初めて女性が起用された^[13]。

公開後の2020年 3月3日、シリーズ開始当初から音響効果を担当してきた横山正和が逝去^[14]。本作が遺作となった。

本作のガイドブックとなる「名探偵コナンシネマガジン2019」が2019年4月10日に発売され^[15]、小説版は小学館ジュニア文庫から2019年4月12日に発売された^[16]。

劇場版シリーズの定番となっているエンディング後の次回作の予告は、今作でも放映された。エピローグ終了後に夜景越しの満月と銃の照準が映し出され「届け、遥か彼方へ」という赤井秀一役の池田秀一の声が流れた後^[17]、次回作の製作および2020年 GW中の公開が決定した旨の字幕による予告映像が流れ、のちに次回作は、名古屋を舞台に赤井家がメインとなる『緋色の弾丸』であることが明らかになった。

脚注

注釈

^ 厳密には本作のオリジナルキャラクターの大半が英語でのやり取りで、作中の大部分を占めている。
^ 厳密には京極は前々作『から紅の恋歌』が初登場だが、その時は園子の回想シーンで描かれたのみだったため、本編に登場する意味では本作が実質的に初登場となる^[7]。また、原作・テレビアニメで登場して以降は、園子の絡みで名前だけは過去の劇場版作品でも何度か言及されていた。
^ 第11作から本作までの間でも『業火の向日葵』にて、鈴木財閥の令嬢らしくテレビ番組に出演してゴッホの絵画『ひまわり』の展示を堂々と世間に発表するなど、本作や11作目ほどではないが、目立った活躍を見せていた劇場版もある。
^ そのため中森が登場するより前に、エンディングテロップで石井の名前が表示された。
^ 過去の作品の例外として『紺碧の棺』は、自分達は一連の事件そのものには直接関わらず、コナン、蘭、園子が頼親島に取り残された時に無事を祈っているが、本作は彼らに何があったのかも全く知らない。
^ そのため、コナンはこの回に起きた事件と全く関わっておらず、少年探偵団の歩美・元太・光彦の3人の各想像として描写されるのみで^[12]、主人公のコナン本人は直接には未登場という異色な内容となっている（言い換えれば、本作の彼らとコナンとは逆の立場になっている）。また、本作には全く登場しない警視庁捜査一課からも目暮警部、高木渉、佐藤美和子が登場している。
^ 日本を出国するためにはパスポートが必要だが、江戸川コナンという戸籍は存在せず（つまり偽名であるため）、元の姿でないと出国できないため。
^ 京極と園子を襲ったチンピラ達もレオンの差し金であった。
^ 英語では、船を女性として扱う。
^ なお、脚本を担当した大倉によると、原作者の青山剛昌による命名で、相談してわずか3秒で返答が来たという^[19]。
^ 新一としての小五郎の呼び方は第2作『14番目の標的』で（本人に直接ではなく蘭に）「小五郎さん」、「おじさん」で、後者はコナンの時も本人をそう呼んでいる。なお、コナンは呼び方についてこだわりはなかったらしく、モノローグで「そういえば蘭の前では（「おっちゃん」と）呼んだことなかったな」といっている。
^ 「おっちゃん呼び」については、博士や灰原など自らの正体を知っている者に使っている（第2作『14番目の標的』、前作『ゼロの執行人』など）。
^ コナンを確保する際は、日没時に阿笠邸から毛利探偵事務所へ帰宅するときを狙い、彼を油断させるため蘭に変装していた。
^ 河北の両親は在米日本人で、彼女自身も11歳までアメリカに住んでいた。
^ その後、事情を知った園子が次郎吉に相談し、改めて鈴木財閥が京極のスポンサーとなったため、京極は大会に再エントリーできた。
^ 森永は一部英語の指導も担当している^[21]。
^ 第七回国際声優コンテスト「声優魂」のインターナショナルカテゴリーで優秀賞を受賞した在日アルゼンチン人^[22]^[23]。
^ 公開時は絵コンテ協力としてクレジット。
^ 同劇場版で、エイベックス系所属アーティストが担当するのは初めて。なお、過去には実写テレビドラマ版の主題歌をエイベックス系のアーティストが担当している。
^ 当劇場は前作「ゼロの執行人」において最も観客動員数が多かった劇場であり、その感謝の気持ちとして設置された。
^ 同時に『北斗の拳』とのコラボとして同作の主人公・ケンシロウ役の神谷明がナレーションを担当するバトルムービーが公開され^[51]、変則的な形式ではあるが初代・小五郎役だった神谷は、第13作『漆黒の追跡者』以来10年ぶりに劇場版『名探偵コナン』への出演を果たした。
^ いずれもコナンの着ぐるみは事前に高山みなみが録音した台詞しか喋れないため、それ以外の発言はすべて司会に耳打ちして代弁してもらうという形式になっている。
^ こちらのコナンの着ぐるみは事前に高山みなみが司会者たちへの台詞も合わせて録音していたため、耳打ちを介さない無難なやり取りが行なわれている。
^ 怪盗キッドプラザは京都ロフトでも5月25日から6月30日までの期間限定で開催された。
^ 本編自体のカットはエピローグを含めてされなかったが、エンドロールは早送りの簡易的な放送で締められた。
^ なお、本来ならば、放送日は第24作『緋色の弾丸』の公開当日であったものの新型コロナウイルスの感染拡大により公開は延期となったが^[107]、本作のテレビ放送の延期・変更はされなかった。