リック・ドム リック・ドム[シュトゥッツァー]

リック・ドム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/22 22:11 UTC 版)

リック・ドム[シュトゥッツァー]

雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』に登場(型式番号:MS-09R)。

ジオン残党軍のガブリエル・ゾラが搭乗していたリック・ドムを強化改造したもの。頭頂高は18.6m[22]。固定武装が大幅に増強され、機体正面にウインチユニット、肩部の上部にミサイルポッドを、後部に機雷投下ユニットを装備する。なお、「シュトゥッツァー」とはドイツ語で「伊達者」の意味。

本体のベースはリック・ドムといわれているが、そのデザインはほとんどドム・トローペンと同じで、本機の模型作例もまずトローペンに基づく仕様で作られていた[23]ものの、シュトゥッツァーとして発表される際のラフ画で足首はトローペンのものではないと指摘されており、ホバーユニットを外した足首やリック・ドムIIの足首が指定されている。カラーイラストではホバーユニットを外した足首となっている[24]が、作例の足首はリック・ドムIIのものを選んでおり、足首はジャンクとして回収したリック・ドムIIのものと解説している[25][注 9]。なお、作例ページではベースを「ドムF型」としている。

リック・ドム(サンダーボルト版)

漫画・OVA『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場(型式番号:MS-09R)。

関節部にはシーリングが施されている。バックパックはザクIIと共通で、肩アーマーはドム・トローペンを髣髴とさせるデザインや配色になっている。また、脚部やリア・スカートのスラスターが装甲上面に露出しており、首や胸部には動力パイプが追加されている。

武装はジャイアント・バズの他にMMP-50マシンガンを装備。ヒート・サーベルの代わりにヒート・ホークを装備する。これらはすべてバックパックに装着可能。

かつてサイド4であった暗礁宙域「サンダーボルト宙域」で活動するリビング・デッド師団に数機配備され、フィッシャー・ネス曹長の乗機は長距離ビーム砲「ビッグ・ガン」を運用する。ムーア同胞団との決戦の際には救援を求めてセイレーン機動艦隊に保護され、同師団の生き残りを救うことになる。

リック・ドムII

諸元
リック・ドムII(ツヴァイ)
RICK DOM II(ZWEI)
型式番号 MS-09R-2(MS-09RII)
頭頂高 18.6m
本体重量 45.6t
全備重量 79.9t
装甲材質 チタン・セラミック複合材
出力 1,219kW
推力 21,000kg×5(後腰部)
2,500kg×2(背部)
(総推力)110,000kg
センサー
有効半径
5,400m
武装 360mmロケット・バズーカ
胸部拡散ビーム砲
ヒート・サーベル
シュツルムファウスト
90mmマシンガン
超大型ヒート・サーベル(ギー機)
搭乗者 カリウス・オットー
ギー・ヘルムート
リリア・フローベール
ギュスター・パイパー
ユイマン・カーライル
アイロス・バーデ
その他 姿勢制御バーニア×9

OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』および『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場。デザインは出渕裕[27]。なお、型式番号は「エムエスぜろきゅうアールツー」と読む[28]

リック・ドムから、スラスターやジェネレーターをチューンナップした機体[29]。リック・ドムとは製造工程があまり変わらないことから生産ラインを引き継いで量産化されたものの、戦争末期であったことから実戦参加した機体はごくわずかであったとされる[30]統合整備計画のもとに再設計された機体であり、宇宙空間に適した機能や形状がなされているとされる[31]。後に同型の機体がドライセンの開発母体となった[32]

宇宙におけるジオン公国軍の脅威として連邦軍におそれられた名機とされるが[28]、量産が間に合わず実戦参加は一部に留まっている[33]

武装・装備
ジャイアント・バズーカ[30] / ジャイアント・バズ[31]
砲の形状と弾体が改良され、対艦攻撃にも有効なモデルを装備する[30]
ヒート・サーベル
『0080』では設定されておらず、『0083』登場時にバックパック左側に装備する形で描き足されている。
サイド6に配備されていた機体には装備されていなかったが、戦後の残党が使用した機体に装備されていたとする資料もみられる[31]
拡散ビーム砲[31]
出力向上により、目くらましだけではなく近接攻撃にも使用可能となった[30]
スツルムファムスト[30] / シュツルム・ファウスト[31]
ザク用に開発された装備を使用可能[30]
プロペラントタンク
宇宙空間での長距離行動用として通常装備される。これにより、リック・ドムと比較して200%の航続距離を誇る[30]
劇中での活躍
『0080』では、第1・2話に登場。前述の緑色の機体はコロニー用、通常カラーの機体は宇宙用とどちらもジム・コマンドを相手に戦った。
『0083』では、舞台が宇宙に移ってから多数が登場。多くがMMP-80・90mmマシンガン(後期型)を使用している。一方、ドムより出力向上しているはずの胸部ビーム砲を使用する場面は無い。なかでもアナベル・ガトーの腹心、カリウスの機体が代表的であり、彼はこの機体単機でガトーを追ってきたジム部隊を撃退している。
『夢のマロン社 「宇宙の旅』では、一年戦争中の宇宙世紀に迷い込んだマロン社の宇宙船ガブスレイ号(SD体型)を宇宙で攻撃しているほか、前述のリック・ドムII陸戦用がジャブロー攻略戦に参加している。
漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』では、外宇宙用に外装・脚部・ランドセルなどが変更された機体が登場。アクシズに配備され、主にラカン・ダカランが搭乗した。
ゲーム『機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク』では、ギー・ヘルムートが搭乗。マルコシアス隊がレムリア隊と合流した際に受領しており、ソロモン防衛戦の際にドム・グロウスバイル用の超大型ヒート・サーベルが装備される。ア・バオア・クー防衛戦でのペイルライダーとの戦闘で大破し、ギーも戦死する。
漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』では、0090年のネオ・ジオン軍に所属する3機が登場。ミナレット奪取作戦に参加するが、防衛システムの多数の機銃の掃射を受け損傷、撤退する。
『0080』にて緑色に塗られた機体がコロニー内部で登場。ゲーム作品では地上でも運用可能という解釈は珍しくなく、ゲーム『機動戦士ガンダム0079カードビルダー』では、緑色の当機を地上用機としている。なお、初期の『スーパーロボット大戦シリーズ』では「ドムII」と呼ばれていた。また、OVA『機動戦士SDガンダム Mk-IV』収録の『夢のマロン社 「宇宙の旅』では、地上で運用されている機体が登場し、ホバー走行している描写がある(特典映像では「リック・ドムII陸戦用」という名称で紹介されている)。

プロトタイプ・リック・ドムII

諸元
プロトタイプ・リック・ドムII
PROTOTYPE RICK-DOM ZWEI[34]
型式番号 YMS-09R-2[34]
全高 18.5m[34]
本体重量 45.3t[34]
全備重量 79.4t[34]
装甲材質 超硬スチール合金[34]
推力 20,500kg×5[34]
2,500kg×2[34]
総推力:107,500Kg[34]
武装 ジャイアント・バズ[34]
ラケーテン・バズ[34]
90mmマシンガン[34]
シュツルムファウスト[34]
ヒート・サーベル[34]
搭乗者 アナベル・ガトー

機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』Blu-Ray Box特典のピクチャードラマ「宇宙の蜉蝣2」に登場。

リック・ドムIIの試作型[34]。外観はドム・トローペンに酷似しているが、脚部の防塵フィルターはない。各種試験終了後はア・バオア・クーのドックに格納されるが[34]、終戦直後に公国軍残存艦隊が集結したカラマ・ポイントで、逆上してアサクラ大佐座乗のチベ級重巡洋艦に向かって発砲するシーマ・ガラハウ中佐のゲルググMを止めるため、アナベル・ガトー少佐が搭乗して出撃する。ただし、背部のヒート・サーベル以外の武装は装備していない。


注釈

  1. ^ 機動戦士ガンダムΖΖ』第1話「プレリュードΖΖ」のクワトロ・バジーナの解説より。
  2. ^ ドムは陸戦用ではあるものの、その基本設計は良好であったため、空間戦闘用として再開発された[6]
  3. ^ ただし、このプランそのものはゲルググが本命であり、他の計画はそのつなぎに過ぎなかった。そのため、ゲルググの開発完了に伴い、他の機体の生産設備はゲルググのものに切り替えられた[8]
  4. ^ 開発の折には地上用機体の生産ラインを転用可能であったため、そのコストは低く抑えられた[9]
  5. ^ ドムでは熱核ジェット・ロケットエンジンが導入されていたが、それに代わって純ロケットを採用したと記述している資料もみられる[2]
  6. ^ 12機撃墜の内訳は、アムロのガンダムが9機、カイのガンキャノンが1機、スレッガー・ロウセイラ・マスGファイターがそれぞれ1機である。
  7. ^ 正しくは「怪盗リュックサック」。1971年のバラエティ番組『テレビはこれだ!ドラマが3つも』内の第2部「大活劇カンチョーマン」に登場。
  8. ^ ザクと比較して接近戦の脆さが顕著だったともいわれる[20]
  9. ^ ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』の公式サイトでも、外観からリック・ドムIIがベースとして利用されていたと思われている[26]
  10. ^ 一方、ドワス改がリック・ディアスの原型になったとする媒体もみられる[37]
  11. ^ 小松左京のSF小説・映画『さよならジュピター』に同名の宇宙船が登場する。

出典

  1. ^ a b c d e f 『MG 1/100 リック・ドム』バンダイ、1999年10月、組立説明書。
  2. ^ a b c d e f g 『ガンダムセンチュリー』みのり書房、1981年9月、銀河出版、2000年3月(復刻版)、40頁。ISBN 4-87777-028-3
  3. ^ a b c d e f 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日初版発行、52-53頁。(ISBN 4-89189-006-1)
  4. ^ a b c d 『講談社のポケットカード8 機動戦士ガンダム モビルスーツコレクション』(1982年)
  5. ^ a b 『B-CLUB VISUAL COMIC 機動戦士0080 ポケットの中の戦争 VOL 2』バンダイ、1989年9月、ISBN 4891890479
  6. ^ 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション(2) ジオン軍MS・MA編』講談社、1984年4月30日、2006年7月(復刻版)、17頁。ISBN 978-4063721768
  7. ^ a b c 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日初版発行、42頁。(ISBN 4-89189-006-1)
  8. ^ a b 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション(2) ジオン軍MS・MA編』講談社、1984年4月30日、2006年7月(復刻版)、72-73頁。ISBN 978-4063721768
  9. ^ 「040 リック・ドム」『機動戦士ガンダムMSV COLLECTION FILE 宇宙編』講談社、1999年11月。(ISBN 4-06-346550-0)
  10. ^ a b c 『1/144 フルカラーモデル リック・ドム』バンダイ、1988年7月、組立説明書。
  11. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日初版発行、120頁。(ISBN 4-89189-006-1)
  12. ^ 映画秘宝』関係者の中にいたガンダム野郎編「第4章 脱出 そして、ディープ・ガンダムの世界へ あなたの疑問に素早く回答! 『機動戦士ガンダム』なぜ?なに?質問箱 リック・ドムの"リック"ってどんな意味?」『ガンダム・エイジ ガンプラ世代のためのガンダム読本』洋泉社、1999年4月9日、ISBN 4-89691-379-5、209頁。
  13. ^ 『ガンダムエース』2012年3月号、角川書店、525頁。
  14. ^ a b 『SDガンダム ジージェネレーション ウォーズ 公式コンプリートガイド』バンダイナムコゲームス、2009年9月、396頁。ISBN 490237224X
  15. ^ a b c d 『マスターグレード MS-09RS シャア専用リック・ドム』付属説明書、バンダイ、2003年1月。
  16. ^ a b c 『マスターグレード MS-09R リック・ドム』付属説明書、バンダイ、1999年10月。
  17. ^ 『機動戦士ガンダム モビルスーツ開発秘録』竹書房、2009年7月2日、178-180頁。ISBN 978-4-8124-3869-5 
  18. ^ 『SDガンダム GGENERATION-F.I.F パーフェクトガイド+MS名鑑』ソフトバンク パブリッシング、2001年7月、191頁。
  19. ^ 『HG ドム試作実験機』解説書、バンダイ、2016年2月。
  20. ^ 一目でわかるアムロとシャアの軌跡 2024.
  21. ^ 『マスターグレード MS-14A「ゲルググ(アナベル・ガトー専用機)」』説明書、2003年2月。
  22. ^ 『機動戦士ガンダムMS大全集2013』(アスキー・メディアワークス、2012年12月、50頁。ISBN 978-4048912150
  23. ^ 『ADVANCE OF Ζ 〜ティターンズの旗のもとに〜 Vol.1』メディアワークス、2003年5月、ISBN 978-4-84-022399-7[要ページ番号]
  24. ^ 『ADVANCE OF Ζ 〜ティターンズの旗のもとに〜Vol.2』メディアワークス、2003年12月、25頁。ISBN 978-4-84-022589-2
  25. ^ 『ADVANCE OF Ζ 〜ティターンズの旗のもとに〜Vol.2』メディアワークス、2003年12月、87頁。ISBN 978-4-84-022589-2
  26. ^ リック・ドム[シュトゥッツァー]”. 『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』公式サイト. バンダイナムコエンターテインメント. 2022年10月6日閲覧。
  27. ^ 『出渕裕メカニカルデザインワークス 1』ムービック、2000年8月、24頁。(ISBN 978-4896014907)
  28. ^ a b 昼MSリックドムII 2021.
  29. ^ 『1/144 リック・ドムII』バンダイ、1989年5月、商品パッケージ。
  30. ^ a b c d e f g 『1/144 リック・ドムII』バンダイ、1989年5月、組立説明書。
  31. ^ a b c d e 『HGUC 1/144 リック・ドムII』バンダイ、2004年1月、組立説明書。
  32. ^ 『データコレクション3 機動戦士ガンダム~一年戦争外伝~』メディアワークス、1997年3月、21頁。ISBN 4-07-305840-1
  33. ^ 昼MSリックドムII0083 2021.
  34. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p Special - 機動戦士ガンダム0083 新作ピクチャードラマ「宇宙の蜉蝣2」”. 機動戦士ガンダム0083. 創通・サンライズ. 2016年1月29日閲覧。
  35. ^ 「U-97 ドム・バインニヒツ」『ガンダムウォー 新世紀の鼓動』バンダイ、2001年2月、収録カードの記述。
  36. ^ a b 『電撃ホビーマガジン』2000年11月号、メディアワークス、62頁。
  37. ^ アナハイム・ラボラトリーログ 第4回矢立文庫、2017年2月20日。
  38. ^ 皆河有伽『総解説ガンダム辞典Ver1.5』講談社、2009年8月、171頁、ISBN 978-4063757958
  39. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 関西リョウジ『機動戦士ガンダムUC プリズマティック・モビルズ part2』角川書店、2016年7月、138-139頁。ISBN 978-4041046685


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