ポンド (質量) ポンド (質量)の概要

ポンド (質量)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/26 08:30 UTC 版)

ポンド
pound
記号 lb
度量衡 ヤード・ポンド法
質量
SI 0.453 592 37 kg(常衡、定義値)
由来 人間が1日に消費する大麦の重さ
語源 ラテン語 pondus(重さ)
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ヤード・ポンド法の質量の単位には他にグレーン (grain; gr)、オンス (ounce; oz)、トンton; 英トン、米トン)などがある。現在では、1ポンド = 16オンス = 7000グレーンと定義されている。なお、1グレーンは、常用ポンドでもトロイポンドでも、同じ質量である。

記号

単位記号は lb である[3]。日本の計量法でも lb である[4]。イギリスなどの通貨単位ポンドは同一語源(ラテン語で重さを表す pondus)で、多くの言語で同じ名称だが、記号は異なる。日本ではの漢字を当てていたことがある。

重量ポンド(lbf)のことを単に「ポンド」と呼ぶこともあるため、重量ポンドではなく質量のポンドであることを明示するためにlbmという記号が使われることもある[5]

アメリカ合衆国においてもポンドの記号は通常 lb だが[6][7]、"#"が使われることもある[8]。「パウンドサイン」(pound sign)とは"lb"のことではなくて、イギリスでは"£"を、アメリカでは"#"のことを指す[9]。転じて、電話機の"#"ボタンも「パウンド」と呼ばれ、例えば"#77"は"pound seven seven"のように読む[8]

英語の文章中に複数形の"lbs"という表記がされる場合、pounds(/paundz/、パウンズ)と発音する[10](エルビーエスとは読まない)。

記号 lb の由来

古代ローマではこの単位を天秤の意味の「リーブラ (libra)、複数形は librae」と呼んでおり、これがポンドを表す記号“lb”の由来である。また、通貨の単位のポンドの略号“£”もlibraの最初のl(エル)の大文字 L の飾り文字に由来する。「○○リブラの重さ」を“○○ libra pondus”と言い、このことから“pondus”がリーブラの別名となった。常用ポンドの記号「lb av」はlibra avoirdupois の略である。

様々なポンド

同じ「ポンド」という名称で、少なくとも4種類の異なる質量の単位があった。このうち、トロイポンドと薬用ポンドは同じ値である。

  • 常用ポンド (avoirdupois pound) または国際ポンド (international pound) - 常衡
  • トロイポンド (troy pound) - トロイ衡
  • 薬用ポンド (apothecaries' pound) - 薬衡
  • メートルポンド (metric pound) - メートル法

現在では単に「ポンド」と言えば常用ポンドのことを指す。これはイギリスにおいても同じである。ただし、オンスについては、常用オンス(ounce (avoirdupois)、28.349 523 125 グラム)とトロイオンス(troy ounce、31.103 4768 グラム)の両方が法定されている[注釈 2]

起源

歴史的には、メソポタミア地方で大麦1粒の重さを元にグレーンが定められ、その倍量単位としてポンドが定められた。使用法としては、人間が1日に消費する食糧としての単位であり、1ポンドの製粉によって焼かれたパンが1日分の主食量に相当する。


注釈

  1. ^ RELEVANT IMPERIAL UNITS, CORRESPONDING METRIC UNITS AND METRIC EQUIVALENTS[1]、"Mass"、pound の欄。
  2. ^ RELEVANT IMPERIAL UNITS, CORRESPONDING METRIC UNITS AND METRIC EQUIVALENTS[1]、"Mass"、ounce (avoirdupois)の欄、troy ouncepoundの欄。
  3. ^ RELEVANT IMPERIAL UNITS, CORRESPONDING METRIC UNITS AND METRIC EQUIVALENTS[1]、"Mass"の欄に掲げられていない。
  4. ^ RELEVANT IMPERIAL UNITS, CORRESPONDING METRIC UNITS AND METRIC EQUIVALENTS[1], Exceptions (e) the use of the troy ounce for transactions in precious metals.

出典

  1. ^ a b c d RELEVANT IMPERIAL UNITS, CORRESPONDING METRIC UNITS AND METRIC EQUIVALENTS”. legislation.gov.uk. The Units of Measurement Regulations 1995. 2014年5月17日閲覧。
  2. ^ 計量単位令 別表第7 e-Gov法令検索
  3. ^ pound (noun) weight 4” (英語). Oxford Advanced Learner's Dictionary. 2022年8月24日閲覧。
  4. ^ 計量単位規則”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2014年5月17日閲覧。 別表第六(第2条関係) 質量 ポンドの欄
  5. ^ Fletcher, Leroy S.; Shoup, Terry E. (1978), Introduction to Engineering, Prentice-Hall, ISBN 978-0135018583, LCCN 77-24142, https://books.google.com/books?id=tyohAQAAIAAJ. :257
  6. ^ 米国語辞書の例: weight” (英語). Merriam-Webster. 2022年8月24日閲覧。
  7. ^ Kelechava, Brad (2018年6月19日). “US Customary System Conversions” (英語). ANSI blog. 2022年8月25日閲覧。
  8. ^ a b William Safire (1991年3月24日). “On Language; Hit the Pound Sign”. The New York Times. オリジナルの2022年5月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220504010315/https://www.nytimes.com/1991/03/24/magazine/on-language-hit-the-pound-sign.html 2011年5月21日閲覧。 
  9. ^ pound sign” (英語). Oxford Advanced Learner's Dictionary. 2022年8月24日閲覧。
  10. ^ McKerrow, R. B.、片山, 寛(日本語) 『英語発音学』上田屋書店、1903年2月13日、141頁。doi:10.11501/869894NDLJP:869894https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/869894/85 
  11. ^ Barbrow & Judson 1976, 8. Refinement of values for the yard and pound..
  12. ^ 計量単位令”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2014年5月17日閲覧。 “附則1...平成5年11月1日から施行する” 別表第7 項番2
  13. ^ a b Barbrow & Judson 1976.
  14. ^ a b фунт”. プログレッシブ ロシア語辞典(露和編). 2022年4月5日閲覧。


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