ベルマーク運動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/10 01:28 UTC 版)
概要
商品の包装紙やパッケージにつけられた「ベルマーク」を切取り、学校・団体ごとに集めて財団に送ることにより、1点あたり1円がそれぞれの団体のベルマーク預金になり、貯まった預金で自分の学校・団体の設備品などを購入できる。貯まったポイントで商品と交換すると勘違いされることがあるが、あくまでも預金で購入するシステムである。さらに、この設備購入代金の1割がPTAからの寄付金となり、僻地にある学校などの援助に役立てられる。
マークは協賛会社と呼ばれる企業の製品パッケージなどに印刷してあるが、使用済みインクカートリッジの回収やグリーンスタンプのように商品にマークがついているのではなく、「ベルマーク点数」と交換する仕組みのものもある。これらの商品には食品、文房具、日用品といった家庭品が多く、2000年以後は保険会社やエプソン、キヤノン、ブラザー販売が使用済みインクカートリッジ回収で協賛している。2011年には、紙容器のリサイクル回収で日本テトラパックが参加した。2019年には小学生がベルマークの型抜き装置を考案し特許を取得した[1]。
ベルマーク運動への参加登録は、幼稚園、学校や公民館などに限られ、個人や企業での参加登録はできない。学校・団体ごとにマークを集めてベルマーク教育助成財団に送付すると、1点1円換算で預金化され、それぞれの口座に貯まる。貯まった預金を利用して協力会社(≠協賛会社)から自分の学校などの設備や教材を購入することができる。協力会社は楽器や自転車のメーカー・事務機器メーカー・書籍取次店・スポーツ用品メーカーなどで、参加学校・団体には年に2回、各社の主な取扱商品を掲載した「お買いものガイド」が送られる。以前は、消耗品が購入できないという規則があったが、今は協力会社が扱っている商品であれば何でも購入できる。
購入代金の10%が、協力会社からPTAなどに戻され、ベルマーク財団に寄付されるのもベルマーク運動の特徴である。これが「援助資金」としてプールされ、僻地学校や特別支援学校など、援助を必要としている子どもたちのために使われている。
1990年代後半から、バブル崩壊に加え、教育施設の設備の充実や少子化が進んだことから、協賛会社の撤退が相次ぎ、運動は弱体化したが、2007年から再びマークの年間集票点数は増える傾向にある。2006年には大学や短期大学などこれまでPTAがなかったため参加できなかった学校や、公民館や生涯学習センターなどの社会教育施設にも参加資格が拡大された。また点数収集についても、リサイクル教育を兼ねた方法として、エプソン、キヤノン、ブラザーのプリンターの使用済み純正インクカートリッジ(1個あたり5点)、トナーカートリッジ(1個あたり50点)と交換したり、テトラパック製の乾かした紙パック[注釈 1]と交換でベルマーク点数証明書を付与したりしており、web店舗での商品購入などネット販売でマークを提供するスマイルピース(イーイーアイ。2014年終了[2])が協賛し、広がりをみせている。一方、援助の面では1998年からベルマーク預金を直接援助資金に寄付することができる友愛援助の制度ができ、日本国外や災害も対象になっている。東日本大震災では「緊急友愛援助」の寄付呼びかけが行われている。
2013年9月17日、一般社団法人ウェブベルマーク協会が設立され、ネットショッピングのアフィリエイトで支援金を生み出す方法が新たに導入された[3]。支援先の学校を選ぶことで、被災地以外の学校への支援(自分の子どもが在籍する学校など)も可能である[4]。
集計方法
最低限必要な作業は以下の2点のみである。その他の作業は各学校が独自で行っている作業であり、例えば「切り方に決まりはなく形通りに切る必要もつながっているマークを切り離す必要もない」「セロハンテープで台紙等に一枚一枚きれいに貼り付ける作業は不要」[5]である。
- 商品のパッケージに付いている「ベルマーク」をハサミで切り取る。
- 会社別に点数が書かれた指定袋に入れ必要事項(枚数・点数など)を記入する。
ウェブベルマークの場合、利用者が貯めたポイントは毎月、指定した学校のベルマーク預金口座に自動加算される[4]。
注釈
- ^ アルミ包装無しは、1㎏あたり20点、アルミ包装有りは、1㎏あたり40点
- ^ 昭和17年から24年に岩瀬郡湯本村(現:天栄村)の湯本小学校に勤務
- ^ 学習帳、文房具、粘土など、教育用品の一部が対象
- ^ 紙容器回収としては初協賛。
- ^ 現東洋紡と三菱レイヨンによる合弁事業。現在は前者の東洋紡により継承。
- ^ 加盟当初から現在のファミマルKITCHENおむすび商品のみが対象。
- ^ 主に「バスボン」「サボンドール」(現在は生産終了)の両ブランドが中心。
- ^ 2019年現在はプチシリーズの主要商品のみが対象。
- ^ 一部旧雪印ブランド分含む
- ^ 自社の経営危機によるもの(のちに倒産)。現在はエア・ウォーターグループの日本海水子会社。
- ^ 損保会社としては初協賛。
- ^ 但し参加商品のうち「おべんとクン ミートボール」等の一部商品は業務用として参加。
出典
- ^ 小5がベルマーク型抜き装置で特許取得
- ^ 株式会社イーイーアイ 会社案内2014年 1月 ベルマーク運動と連動したボランティアポイントプログラム「スマイルピース」を終了
- ^ “ウェブベルマーク運動、本日9.17より始動。~ふだんのお買い物で、東北の被災校支援を。”. 博報堂 HAKUHODO Inc.. 博報堂. 2023年12月6日閲覧。
- ^ a b “ベルマーク”. zen-p.net. 一般社団法人 全国PTA連絡協議会. 2023年12月6日閲覧。
- ^ 【ベルマークへようこそ!】
- ^ “「ベルマーク運動」の創始者とされる「渡辺ユキ」氏・・・]”. レファレンス共同データベース (2018年1月26日). 2018年1月28日閲覧。
- ^ “ベル運動創設のきっかけをつくった 全へき連顧問・渡辺ユキさんご逝去”. ベルマーク財団 (2005年12月6日). 2017年11月11日閲覧。
- ^ a b 声優・関俊彦「ベルマーク1200万点突破 伊勢・小俣小 全国11校の一つ 地域と一体で収集」中日新聞2016年5月3日付朝刊、伊勢志摩版18ページ
- ^ あいおいニッセイ同和損害保険が113万点を財団に寄贈(ベルマーク教育助成財団)
- ^ a b c d 朝日新聞1985年10月22日朝刊p.15
- ^ a b 朝日新聞1990年10月23日夕刊p.15
- ^ 朝日新聞1995年10月25日朝刊p.29
- ^ 2002年8月16日 朝刊p.10
- ^ 毎日新聞2012年4月30日p.27
- ^ a b 中央防災会議「災害被害を軽減する国民運動の推進に関する専門調査会」(第12回) 議事録 https://www.bousai.go.jp/kyoiku/keigen/undousuishin/pdf/kokuun12-giji.pdf
- ^ 朝日新聞1988年09月30日朝刊p.16
- ^ 読売新聞1978年10月30日朝刊p.5
- ^ 読売新聞1978年11月8日朝刊p.4
- ^ 読売新聞1977年9月17日朝刊p.5
- ^ 「ベルマーク」は勘弁!母たちの切実な叫び PTAで今なお続く、途方もない手作業 東洋経済ON LINE 2015年7月2日
- ^ 読売新聞1980年4月7日朝刊p.5
- ^ 読売新聞1984年6月22日朝刊p.8 ソッポ向かれるベルマーク
- 1 ベルマーク運動とは
- 2 ベルマーク運動の概要
- 3 沿革
- 4 参加校・団体
- 5 個人による寄贈
- 6 参考文献
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