フォトダイオード 材料

フォトダイオード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/02 21:36 UTC 版)

材料

フォトダイオードに使用される材料は、検出に使用する光の波長により異なるものが使用される。これは、入射した光が電子と正孔を励起する必要があるため、材料のバンドギャップが光の波長のエネルギー以下である必要があるからである。 一般に使用される材料は以下のとおりである。

材料 波長/nm
シリコン 190–1100
ゲルマニウム 400–1700
インジウム・ガリウム・ヒ素 800–2600
硫化鉛 <1000–3500

バンドキャップが広いため、シリコン製のフォトダイオードはゲルマニウム製のフォトダイオードより低ノイズであるが、ゲルマニウム製のフォトダイオードは約1 µm近い長波長まで使用することができる。

トランジスタやICは半導体で作製され、pn接合をもっているため、全ての能動素子は潜在的にフォトダイオードとなる可能性がある。特に、小電流に敏感な素子は、光電流が流れるため照明下では正しく動作しない。ほとんどの素子において、これは予期できないものであり、そのため、素子は不透明なパッケージに封入される。パッケージはX線や高エネルギーの放射に対しては不透明ではないため、これらの放射により、ほとんどのICは光電流が流れることにより正常動作をしなくなる。

特性

フォトダイオードの重要な特性としては以下のものがある。

受光感度
この値は光伝導モードで使用する場合の、入力光のパワーと生成する光電流の比であり、A/Wの単位で表される。受光感度は、量子効率としても知られており、入射した光子と光電子効果で生成されたキャリアの数の比であり、この場合単位無しの量となる。
暗電流
光伝導モードで使用している場合に、光の入射が無い時にフォトダイオードを流れる電流。暗電流は、バックグラウンド放射による光電流と、半導体接合を流れる逆方向電流がある。暗電流はフォトダイオードを光の強度を評価するために使用する場合は、校正の要素として考えなければならない。また、この電流はフォトダイオードを光通信システムに利用する場合、ノイズ源となる。
雑音等価入力
(NEP) 光電流を作り出すために必要な最小の光パワー、1ヘルツのバンド幅を持つrmsノイズ電流に等しい。関連する特性に「比検出度」がある。これはNEPの逆数(1/NEP)で、「固有比検出度(specific detectivity)」 (
フォトダイオードの回路図記号

PN接合型のフォトダイオードは、フォトレジスタCCD光電子増倍管の様な他の光検出器と同じ用途に使用される。

フォトダイオードは、コンパクトディスクプレイヤー、煙検出器ビデオテープレコーダテレビリモコンの受信装置の様な一般用途の電子素子に利用される。

カメラの露出計光度計)、無線時計(あたりが暗いと、表示部を暗くするもの)、街灯の様な他の一般用途のアイテムにおいては、原理的に両者とも利用可能ではあるが、光検出器の方が良く使用される。

フォトダイオードは科学的用途や工業的用途における光強度の正確な測定において利用される。フォトダイオードはフォトレジスタより線型的な応答を示す。

これらは、様々な医学的用途に広く使用される。例えば、(シンチレータと一緒に)断層X線写真器や、(免疫試験の様な)検体を調べる装置の検出部がある。また、血液中のガス濃度検出器にも使用される。

PINダイオードはpn接合ダイオードより高速で高感度である。そのため、光通信システムや光制御に利用される。

PNフォトダイオードは極端な低光量の測定には使用されない。代わりに、高感度が必要であれば、アバランシェ・フォトダイオードCCD光電子増倍管が使用され、天文学分光器暗視装置光波測距儀などが用途としてある。

光電子増倍管との比較

光電子増倍管と比較した場合の利点は

  1. 照射された光に対して出力電流が高線型性を示す。
  2. シリコンの場合、190 nmから1100 nm、他の材質の場合、長波長に対して、応答を示す。
  3. ノイズ
  4. 機械的ストレスに強い
  5. 低コスト
  6. 小型、低重量
  7. 寿命
  8. 高い量子効率、約80 %
  9. 電圧を必要としない

光電子増倍管と比較した場合の欠点は

  1. 面積が小さい
  2. 内部利得がない(アヴァランシェ・フォトダイオードは除くが、この場合でも、光電子増倍管の利得108と比較して、102 – 103程度の利得しかない)
  3. 全体的に見ると感度が低い
  4. 光子の数を数えるには、特殊な方法が必要。通常、冷却したフォトダイオードと特殊な電子回路を用いる。
  5. 応答時間が遅い

pn接合とpin構造フォトダイオードの比較

  1. i層のため、PINフォトダイオードは逆バイアス(Vr)の印加が必要である。Vrは空乏層幅を広げ、電子・ホールペアの大量の生成を可能とし、バンド幅の増加による容量を減少させる。
  2. Vrはノイズ電流ノイズも増加させ、S/N比を悪化させる。したがって、逆方向バイアスは、高バンド幅用途や広いダイナミックレンジが必要な用途に使用するべきである。
  3. PNフォトダイオードは、低光量への用途に適切である。これは、PNフォトダイオードはバイアスを印加しない動作が可能であるためである。

  1. ^ 空港の手荷物検査や輸出入貨物の検査用






フォトダイオードと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「フォトダイオード」の関連用語

フォトダイオードのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



フォトダイオードのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのフォトダイオード (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS