アオギリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/20 06:02 UTC 版)
利用
庭木、公園樹、街路樹にする[10][13]。アオギリが庭木や街路樹によく使われるのは、その耐火性にあり、過去の震災においても火災の延焼を食い止めた例もたくさんあった[8]。樹皮の繊維は強健で、粗布や縄の材料にする[8]。まっすぐな幹は建材などに用いられ[6]、材を楽器、下駄などとするが、耐久性は低い[8]。種子は古くは食用にされ、太平洋戦争中には炒ってコーヒーの代用品にした。
栽培は、主に春に発芽前の若枝を長さ30センチメートル (cm) ほどに切って、挿し木して育成される[9]。
種子は梧桐子(ごどうし)と呼ばれる生薬として用いられ、胃痛、下痢の薬効作用がある[9]。葉は浮腫、高血圧、コレステロールの低下などの民間薬として用いられ、初夏に採って洗い、陰干ししたものを10 - 15グラムを水500 ccで煎じ、服用する用法が知られている[9]。
文化
中国の伝説ではアオギリの枝には12枚の葉がつくが、閏月のある年には13枚つくといわれた[15]。また中国では鳳凰が住む樹とされた[16]。伏羲がはじめて桐の木を削って古琴を作ったという伝説がある(ただしアオギリかキリか不明)[17]。
中国人の季節感と深い関係があり、七十二候のひとつに「桐始華」(清明初候)がある。またアオギリの葉が色づくのは秋の代表的な景色であり、王昌齢「長信秋詞・其一」に「金井梧桐秋葉黄」の句がある。また白居易「長恨歌」には「秋雨梧桐葉落時」という。
日本では、広島の「被爆青桐」は有名で、爆心地から1.3キロメートルの地点で被爆して半身が焼け焦げたが、再び芽を出して人々に勇気を与えた[8]。平和記念公園に移植されて、焼けた傷を包み込むように生長を続け、毎年多くの種子を成し、平和を願う生命力のシンボルとしてその種子が全国に配られる[8]。
アオギリの花言葉は、「秘めた意思」「秘めた恋」とされる[8]。
アオギリ属
アオギリ属(アオギリぞく、学名: Firmiana)は、アオイ科の属の一つ。
- Firmiana colorata
- Firmiana fulgens
- Firmiana hainanensis
- Firmiana major
- アオギリ Firmiana simplex
注釈
出典
- ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Firmiana simplex (L.) W.F.Wight アオギリ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年1月2日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Firmiana platanifolia (L.f.) Schott et Endl. f. tomentosa (Thunb.) H.Hara アオギリ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月2日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Firmiana simplex (L.) W.F.Wight var. glabra Hatus. アオギリ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年1月2日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Firmiana platanifolia (L.f.) Schott et Endl. アオギリ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年1月2日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 100.
- ^ a b c d e f g 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 142.
- ^ a b c 辻井達一 2006, p. 127.
- ^ a b c d e f g h i j k 田中潔 2011, p. 132.
- ^ a b c d e f g h i j k 馬場篤 1996, p. 9.
- ^ a b c d e 菱山忠三郎 1997, p. 124.
- ^ a b c d 林将之 2008, p. 64.
- ^ a b c d e 亀田龍吉 2014, p. 60.
- ^ a b c d 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2012, p. 117.
- ^ 菱山忠三郎 1997, p. 125.
- ^ 『埤雅』 巻14・釈木・桐 。"旧説、梧桐以知日月正閏。生十二葉、一辺有六葉。従下敷一葉為一月。有閏則生十三葉。視葉小者、則知閏何月。不生、則九州異君。"。
- ^ 『詩経』大雅・巻阿に「鳳凰鳴矣、于彼高岡。梧桐生矣、于彼朝陽。」とある。また『荘子』秋水篇に鳳凰は梧桐の木にしかとまらないと言う。
- ^ 『太平御覧』 巻579・琴下 。"『琴書』曰昔者至人伏羲氏王天下也(中略)削桐為琴。"。
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