運転保安設備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 17:15 UTC 版)
自動列車停止装置 (ATS) 「自動列車停止装置#京阪型速度照査ATS」も参照 京阪電鉄のATSは1966年の蒲生信号所での列車衝突事故を教訓に導入された。国鉄のATS-Sをベースに車両側の車上子が2か所の地上子の通過時のタイムラグから速度超過を検知して停止させる「点制御方式」だが、この方式では出発信号機の誤認による誤出発に対応できないのでループコイルを設置して対応させている。しかし設置から40年以上たち、2014年度より(鴨東線・宇治線・交野線・中之島線を含めて)3年計画で多情報連続制御式ATSシステム「K-ATS」に更新されている。この「K-ATS」は地上子から情報を車上子のデータベース(勾配・曲線・信号・ポイント・駅の位置情報)とをリアルタイムに照合して速度超過を検知して停止させる、また踏切や駅のホームでの異常時にも対応している。「K-ATS」は2015年12月5日より鴨東線出町柳駅 - 深草駅(現在の龍谷大前深草駅)間に導入され、2017年2月4日には深草駅 - 淀駅間と宇治線全線、2018年8月には淀駅 - 枚方市駅間と交野線全線に導入され、2019年10月26日に枚方市駅 - 守口市駅間、2021年1月9日に守口市駅 - 淀屋橋駅間と中之島線で使用を開始し、京阪線の全営業線で導入が完了した。 踏切集中監視制御システム 京阪線(宇治線・交野線を含む)の踏切はすべて第1種甲で無人化され、踏切支障報知装置(非常ボタン)が設置されている。自動車が通行可能な踏切には踏切障害物検知装置が設置され、2020年3月からはそれまでの発光器受光器の赤外線方式から、より死角を少なくして障害物を検知できる「2次元レーザー式踏切障害物検知装置」への更新が開始され、交差点横の踏切は360度閃光灯の光を確認できる「全方向型踏切閃光灯」に更新されている。それらの監視・故障検知や、夜間作業や計画停電時に踏切遮断機が下がったままになるのを制御するシステムで、枚方市と中書島に中央装置があり3系統の伝送ケーブルで114か所の現場踏切の装置と繋がっている。踏切異常時の早期復旧、踏切事故でのデータ提出が可能となっている。 自立分散型式列車運行管理システム (ADEC) 1987年より導入された京阪列車運行管理システムで、最大の特徴は運転指令の中央処理装置と19か所に設置された駅制御装置を2重の光ファイバーケーブルでループ上にネットワークして、列車追跡・進路制御・運転整理・ダイヤ管理から機器故障管理、防災表示までおこなっている。2004年から3年かけて更新され、中央指令所の表示板が70インチ液晶プロジェクター7面表示となり、システム全体の応答性が改善され、駅案内放送・行き先表示機の表示情報が充実された。また司令員訓練装置・情報配信システムが新設された。 自動車転落検知装置・土砂崩れ検知装置 樟葉駅 - 橋本駅間の府道13号線(旧京阪国道)との並走区間に1970年代初頭に設置されたのが始まり。線路と道路の間に4本の微弱電流の流された電線が張られ、1本でも切断されると周辺信号機が赤になり、枚方電気部事務所にも伝わる。現在は京都地下線への入り口、中書島駅 - 淀駅間の宇治川堤防と並走区間などにも設置されている。これと同じ方式で落石や土砂崩れを検知する土砂崩れ検知装置が枚方市駅 - 枚方公園駅間の急曲線内側と石清水八幡宮駅 - 橋本駅間の山側に設置されていて、八幡市の区間では2012年の豪雨での防災揚壁の設置工事に併せて設置区間が延長された。現在は、これらの事故情報はADECを通じて運転指令と近隣の信号扱い所に警報を発する。 橋梁衝撃検知装置 架道橋の防護桁に衝撃センサーが設置され、自動車が衝突時に運転指令と近隣の信号扱い所に警報を発する。高さ制限のある2か所の架道橋に設置されている。 列車防護無線装置 事故発生時、運転士がスイッチを押すと近隣を運行中の列車を停止させ二次事故を防止させる。 地震計 早期地震警報システムを導入すると共に直下型地震対策のために中之島変電所(中之島線)・蒲生変電所・枚方変電所・淀変電所・旧東福寺変電所・三条受電変電所に地震計を設置している。
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