第1章 総則(目的・定義など)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 15:20 UTC 版)
「行政手続法」の記事における「第1章 総則(目的・定義など)」の解説
申請に対する処分や不利益処分の手続き、命令等制定時における意見公募の手続きを明確に定めることによって、不当な処分がなされることを事前に回避するという意味において、事前の救済制度としての機能を持つところにその特徴がある。また、日本独特の行政の運営手法の一つといわれる行政指導について、その適正な運営のための規定が置かれていることも特徴的である。 第1条(目的等) 処分、行政指導および届出に関する手続並びに命令等を定める手続きに関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであること)の向上を図ること。上記目的の達成により国民の権利利益の保護に資すること。 行政手続法に規定する事項について他の法律に特別の定めがある場合はその定めによる。事前の手続きを定める一般法。 第2条(定義)「法令」法律、法律に基づく命令(告示含む)、条例、地方公共団体の執行機関の規則(規定含む)をいう。 「処分」行政庁の処分、その他公権力の行使に当たる行為。 「申請」行政庁の許認可を求める行為で、行政庁が諾否の応答をすべきもの。 「不利益処分」行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。 「行政機関」内閣に置かれる機関、内閣所轄の下に置かれる機関など。地方公共団体の機関(議会除く)。 「行政指導」行政機関がその任務または所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないもの。 「届出」行政庁に対し一定の事項の通知を申請に該当するものを除きする行為であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの、自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものをいう。 「命令等」法律に基づく命令または規則 審査基準 処分基準 行政指導指針 詳細は「命令 (法規)」および「#行政手続法上の命令等」を参照 第3条(適用除外)この法律の適用対象外として各種行政処分を列挙。ただし、この法律全ての条項が対象外とされるわけではない。たとえば、公正の確保と透明性の向上を謳う第1条を含む第1章は以下の処分にも適用され、担当行政庁に対し第1条の趣旨を尊重することを求めている。 第2章から第4章まで(1項)処分、行政指導のうち、当該分野に慎重な手続きがあるもの(1-4号)、刑事手続きの一環として処理されるもの(5,6号)、事後の手続きが望ましいもの(7-10号)、一律の適用になじまないもの(11-16号)国会の両院もしくは一院または議会の議決によってされる処分 裁判所もしくは裁判官の裁判により、または裁判の執行としてされる処分 国会の両院もしくは一院もしくは議会の議決を経て、またはこれらの同意もしくは承認を得た上でされるべきものとされている処分 検査官会議で決すべきものとされている処分および会計検査の際にされる行政指導 刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分および行政指導 国税又は地方税の犯則事件に関する法令に基づいて国税庁長官等がする処分および行政指導並びに証券取引又は金融先物取引の犯則事件に関する法令に基づいて証券取引等監視委員会、その職員等がする処分および行政指導 学校、講習所、訓練所または研修所において、教育、講習、訓練または研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童もしくは幼児もしくはこれらの保護者、講習生、訓練生または研修生に対してされる処分および行政指導 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置場、海上保安庁の留置場、少年院、少年鑑別所または婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分及び行政指導 公務員または公務員であった者に対してその職務または身分に関してされる処分および行政指導 外国人の出入国、難民の認定または帰化に関する処分及び行政指導 専ら人の学識技能に関する試験または検定の結果についての処分 相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として法令の規定に基づいてされる裁定その他の処分(その双方を名あて人とするものに限る。)および行政指導 公衆衛生、環境保全、防疫、保安その他の公益にかかわる事象が発生しまたは発生する可能性のある現場において警察官等の職員によってされる処分および行政指導 報告又は物件の提出を命ずる処分その他その職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分及び行政指導 審査請求、再調査の請求その他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の処分 前号に規定する処分の手続又は第3章に規定する聴聞若しくは弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において法令に基づいてされる処分及び行政指導 第6章(2項)命令等を定める行為法律の施行期日について定める政令 恩赦に関する命令 命令又は規則を定める行為が処分に該当する場合における当該命令又は規則 法律の規定に基づき施設、区間、地域その他これらに類するものを指定する命令または規則 公務員の給与、勤務時間その他の勤務条件について定める命令等 審査基準、処分基準または行政指導指針であって、法令の規定によりもしくは慣行として、または命令等を定める機関の判断により公にされるもの以外のもの 第2章から第6章まで(3項)地方自治の尊重。地方公共団体は第46条の規定にのっとり行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置をとるよう努めなければならない。 地方公共団体の機関がする根拠となる規定が条例又は規則に置かれている処分。 地方公共団体の機関がする行政指導。 地方公共団体の機関に対する通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれている届出。 地方公共団体の機関が命令等を定める行為。 第4条(国の機関等に対する処分等の適用除外)行政機関に対する固有の資格において当該処分の名あて人となる処分、行政指導、届出については、この法律の規定は、適用しない。固有の資格とは、一般私人が立ち得ないような立場にある状態をいう。
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