木製プラグの採用と、弾薬包への改良とは? わかりやすく解説

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木製プラグの採用と、弾薬包への改良

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 03:54 UTC 版)

エンフィールド銃」の記事における「木製プラグの採用と、弾薬包への改良」の解説

1855年半ばエンフィールド弾の鉄製カップ様々な欠点がある事が判明した事から、ハイス(英:Hythe, Kent)では、4種弾丸テスト比較され数日間わたって1240発もの弾丸射撃されていた。4種のうち、3種弾丸は、それぞれ違うバリエーション鉄製カップ挿入されていた。一種目は、ウーリッジ製の半球鉄製カップ、二種目ハイス(英:Hythe, Kent)製の不完全形状の鉄製カップ三種目は、ヘイ大佐と、かつて1852年トライアル参加したガンメーカーであるチャールズ・ランカスターが共同開発した指貫型の鉄製カップで、これは鉄製カップ中心に小さな穴が開けられており、これにより鉄製カップ抜け落ちる事を防止した四種目の弾丸には、木製プラグ挿入されていた。これは新たなアイデアではなかったが、以前まではあまり評価高くなかった。しかし、ヘイ大佐は、弾丸確実に拡張させられるであろうコーン型」の形状鉄製カップ手に入れる事が出来なかったため、代わりにこのコーン型木製プラグ試されていた。 ヘイ大佐は、3種類の鉄製カップそれぞれ挿入した弾丸と、木製プラグ挿入した弾丸テストしたヒューマンエラーが無いようにする為、固定レストに銃を搭載し射撃精度影響与えないようにする為に、同じ天気の日に射撃行ったターゲットは、18×18フィート(5.49メートル)の四角ターゲットであった最初に発射され弾丸は、ハイス(英:Hythe, Kent)製の不完全形状の鉄製カップ挿入した弾丸で、200発ほどが600ヤード先のターゲット連続して射撃された。これらの弾丸は、一瞬拡張し、そして装填がとてもしやすく、200発目の最後の弾丸も、1発目を装填した時と同じくらい装填が容易かった。600ヤードにおいての射撃での性能指数は、3.61フィート(1.1メートル)から4.40フィート(1.34メートル)と、平凡的な射撃性能であった次に指貫鉄製カップ挿入した弾丸試された。これは発射時にすぐに拡張したために、600ヤードにおいての性能指数は非常に良く、2.64フィート(0.8メートル)であった3つ目の、100発ものウーリッジ製の半球鉄製カップ挿入した弾丸は、4種弾丸の中で最も悪く最初30発の性能指数は5.17フィート(1.58メートル)で、その30発のうちの一発は、ターゲットを完全に外した。そして再度30発の射撃行った所、より性能酷くなり、性能指数は5.73フィート(1.75メートル)で、30発のうちの3発が完全にターゲット外した800ヤードにおいては性能指数は9フィート(2.74メートル)となり、25発中5発がターゲット外した4つ目の、木製プラグ挿入した弾丸は、他3つの弾丸性能面凌駕した20発の射撃行った所、600ヤードにおいての性能指数は2.35フィート(0.72メートル)で、800ヤード同じく20発の射撃行った所、性能指数は3.57(1.09メートル)であった600ヤード先の射撃において、プリチェット弾の600ヤードにおける性能指数は3フィート(0.91メートル)ほどであったので、木製プラグ挿入した弾丸がいかに優れているかが理解できるヘイ大佐は、報告書完成させる前に指貫鉄製カップ挿入した弾丸ウーリッジ製の半球鉄製カップ挿入した弾丸、そして木製プラグ挿入した弾丸3種テストした其々150発ずつ、600ヤード先のターゲットクリーニング無し射撃された。木製プラグ挿入した弾丸が、他の2種弾丸の中で最も良く発射され150発全弾がターゲット命中し150発中の50発は2.29フィート(0.7メートル)の性能指数出した指貫鉄製カップ挿入した弾丸は、150発中4発がターゲット外して4.21フィート(1.28メートル)の性能指数出しウーリッジ製の半球鉄製カップ挿入した弾丸は、14発がターゲット外し、7.41フィート(2.26メール)の性能指数出した。このテストでも、木製プラグ挿入した弾丸が最も優秀であった。 ヘイ大佐は、1855年6月5日報告書完成させ、木製プラグは、精度は非常に高くファウリングもかなり低い事から高い評価なされたジョン・アンダーソンが、かなり短い期間で木製プラグ生産機製造した。彼は、機械一から設計する必要が無くイギリスウーリッジ王立研究所(英:Royal Arsenal)に、砲弾用の木製サボットを生産するための機械存在していたので、彼はそれのミニチュア版を作成するだけで良かった1855年終わり頃には、王立研究所(英:Royal Arsenal)にて初め木製プラグ生産機稼働開始した。 木は、通水性があり、吸った時により大きく乾いた時により小さくなるため、木製プラグは、乾いた時により小さくなって弾丸空洞部分から抜け落ちたり湿った時に膨張して弾丸直径大きくしてしまったりする考えられた。そのため、木製プラグはまだ採用する事ができなかった。 そのために様々な種類木材用意しそれぞれオーブン入れて130~150温度で2時間ほど加熱し焼かれそれぞれのプラグ弾丸空洞内に挿入し、そしてそれらの弾丸弾薬包紙包んで振った後、射撃を行うという実験行った様々な種類木材の中で、ツゲが最も湿度や熱によって形が変形せず、弾薬包が振られても、挿入され位置から動く事はなかった。そのためツゲ木製プラグ挿入したエンフィールド弾は、非常に精度高かったこの様にして、エンフィールド弾に木製プラグ採用された。 木製プラグ挿入したエンフィールド弾が採用されても、弾薬包紙と、弾薬包の製造方法への急な変更はなく、1856年1月1日新しく更新され兵士用のマニュアルには、緊急時においての弾薬包の作り方変更されていなかった。マニュアルでは、以下の通り作るよう書かれていた。 用意する物・・・黒色火薬入った錫製計量カップ5つ(全部合わせて68グレイン火薬となる)、錫製の漏斗5つ鉄製直定規大型ナイフ堅木心棒5つ、形作プラグ、紙を規定形状に切るための錫製の型、弾薬包紙白紙弾丸 弾薬包紙を、錫製の型に沿って切る。 四角形内側弾薬包紙を、小型不等四辺形弾薬包紙の短い方の辺に沿って乗せる心棒四角形内側弾薬包紙の上底に乗せしっかりと心棒弾薬包紙を巻く。 小型不当四辺形内側弾薬包紙余った部分心棒空洞畳み込む。 形作プラグ畳み込んだ部分をより深く押し込むそうしたら小型の筒(以降薬室」と呼ぶ)が出来るので、それの底を見て、穴が無い事を確認する弾丸先端を、薬室嵌めた心棒空洞へと結合させる。 そしてそのままそれを、大型不等四辺形外側弾薬包紙乗せしっかりと心棒弾薬包紙を巻く。 そうしたら弾薬包が出来るので、弾薬包の余った紙の部分折った後、それを弾丸空洞内に形作プラグ押し込む弾薬包を右手テーブルの上に置き、そのまま押さえながら、左手心棒を抜く。 錫製の漏斗弾薬包の先端空洞入れ68グレイン火薬流し込む漏斗取り出し火薬全て薬室内に入るようにする。 弾薬包の先端を指で摘み、ねじる。 最後に弾薬包の底、弾丸内蔵されている部分を、獣脂蜜蝋が6:1の割合出来ているグリース漬ける完成。 ここで変更されていなかったのは、9番目の手順の「余った紙の部分折った後、それを弾丸空洞内に形作プラグ押し込む」という所であったエンフィールド銃弾丸であるプリチェット弾と、鉄製カップ挿入したエンフィールド弾には、弾底部に浅い空洞があったので、この様手順がとられており、他にもこの「折る」方法とは別で、「弾薬包の底の余った部分の紙を捻って、それを弾丸空洞内に形作プラグ押し込む」という方法も、他のマニュアル存在していた。 木製プラグ挿入したエンフィールド弾は、弾底部に浅い空洞がなかったので、上記二つ方法弾薬包を作る事が不可であった。そのため、「弾薬包の底の余った部分の紙を弾丸底部沿って折る」という方法戻された。しかしすぐに、王立研究所(英:Royal Arsenal)で、「弾薬包の底の余った部分の紙を弾丸底部沿って折る」という方法作られ弾薬包の弾丸が、銃身の底にラムロッドで押し込まれる際に、自身包んでいる弾薬包紙貫通してしまうという問題判明した。 この問題の原因は、弾薬包の底の折られ部分が、展開してしまう事にあったエンフィールド弾は、銃身キツ嵌る事によって大きくなる摩擦や、ファウリングなどによって銃身にこびり付いた汚れなどで、装填の際に強く抵抗がかかり、自身を包む弾薬包紙剥がれてしまったこの問題は、弾丸グリース漬けた弾薬包紙包まれて無い丸裸の状態で装填されてしまう事を意味しており、そのような弾丸は、ファウリング大量に発生させてしまう。しかし、弾薬包の製造手作業から、機械移行しようとしていたため、弾薬包の型や、作り方変更することは躊躇われた。 手作業による弾薬包の製造は、沢山の幼い男子兵士よりも高い給料雇ったために高額になり、男子達は作業中に気が動転してしまう事で製造速度遅くなり、作業量の大小給料変動したために、男子達は急いで弾薬包を製造し、それによってミス多発してしまう事で、弾薬包の品質低下するなど、様々な欠点があった。そこで、手作業製造比べて精密かつ安く大量弾薬包を製造する事が出来るシームレスパケット製造機技術用いる事で、費用節約はもちろん、弾薬包の品質低下無くせる事も出来た。 シームレスパケット製造技術取り入れた弾薬製造機は、王立研究所(英:Royal Arsenal)に新しく建てられ工場設けられた。1853年11月には、初めてこの機械によって弾薬包が製造され(この機械製造され弾薬包を「バッグカートリッジ」と呼んだ)、通常の弾薬包と比較するためにハイスへと送られた。 テストでは、120発が発砲され1854年3月にはヘイ大佐によってレポート送られた。バッグカートリッジが、通常の弾薬包より総合的に優れていた事は明らかで、簡単に装填出来射撃精度かなりの高精度で、シームレスバッグのデザインはかなり良く、紙に折り目継ぎ目がないため、火薬漏れなどが全くなかった総じて評価はかなり高かったが、一つだけ問題存在しており、バッグカートリッジは通常の弾薬包より柔く銃身内に火薬流し込みにくかった。そのため、ヘイ大佐はバッグカートリッジをより固くするべきだと考えた。 しかし、バッグカートリッジをグリース漬けにした際に、グリース中に溶け込んでしまうという新たな問題判明された。初めは、弾丸先端だけにグリースを塗るという改良行なったものの、グリース潤滑剤として機能せず、銃身内のファウリング防止する事が出来なかった。そのため装填はとても困難になった。 1855年ヘイ大佐は、木製プラグ挿入したエンフィールド弾は弾底部空洞が無い事から、弾薬包紙余った部分空洞内に畳み込んだり、ねじ込んだりする必要がないため、バッグカートリッジがエンフィールド弾により良く適合するだろうと期待した。しかし、バッグカートリッジは、わずかに多孔質であるために湿りやすい事や、カートリッジ内の薬室と、弾丸先端結合部分が緩い事などの問題判明したため、1857年までにはバッグカートリッジがすぐに通常の弾薬包に代わって軍に採用されない事が明白となった。 この現実考慮して王立研究所(英:Royal Arsenal)は、通常の弾薬包への改良始めた。まず初めに弾薬包紙改良加えられ薄く、かつ強固になった。次に内側弾丸包紙をより長くした。内側弾丸包紙延長によって、弾薬包の厚みがより増え火薬漏れや、湿り防いだ。そして、弾薬包の底の余った部分の紙は、折った捻ったりせず、紐で絞めるようにした。底部余った部分の紙を紐で絞めるようにした事で、発射時、銃口から弾薬包紙包まれ弾丸飛び出した際に、弾丸を包む紙が分解分離をせず、グリース粘着性によって弾丸底部や、木製プラグ引っ付き飛行中奇妙な音を発してターゲットを外すという現象エンフィールド銃見られたため、弾薬包の下部に、3つの切れ目」が加えられた。これによって、弾丸銃口から飛び出した際に、弾丸を包む紙が、綺麗に剥がれ落ちるため、この現象解消された。このような様々な改良加えて1857年弾薬包が開発された。 1857年エンフィールド弾薬包は、それまで弾薬包よりかなり良く手作りであり、高額になってしまうというデメリットはあるものの、バッグカートリッジと全く同じようメリット持っていた。特に良かったのは、弾薬包の底の余った部分の紙を紐で絞めるようにした事で、弾丸が、装填時に自身包んでいる弾薬包紙貫通してしまう問題をほぼ解消し弾丸内蔵されている部分付着しているグリースは、装填時に銃身の底までしっかり塗られファウリングをより防ぐ事が出来た。そして、それまでエンフィールド弾薬包のグリース蜜蝋獣脂を1:5の割合構成したものであったが、1857年8月には、弾薬包のグリース蜜蝋獣脂を5:1の割合構成したものとなった

※この「木製プラグの採用と、弾薬包への改良」の解説は、「エンフィールド銃」の解説の一部です。
「木製プラグの採用と、弾薬包への改良」を含む「エンフィールド銃」の記事については、「エンフィールド銃」の概要を参照ください。

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