参院選における公選法違反疑惑問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 08:05 UTC 版)
「河井克行」の記事における「参院選における公選法違反疑惑問題」の解説
詳細は「河井夫妻選挙違反事件」を参照 2019年10月31日、参院選の案里の選挙運動に関して、選挙スタッフに法定の上限額を超える報酬を渡していたとされる公職選挙法違反疑惑を「週刊文春」で報じられたことを受け、安倍晋三首相に法務大臣の辞表を提出し、受理された(後任は森まさこ)。 同年11月、克行は、溝手顕正を追い落とすために架空の中傷ブログを作成させたインターネット業者を再び呼び、パソコン内の現金配布先リストやスタッフ給与リストのフォルダーについて「データを復元できないように完全消去したい」と依頼。業者は議員宿舎、衆議院議員会館の事務所、広島市内の克行の自宅を訪れ、ソフトを使ってそれぞれのパソコンのデータを消去した。業者は、一連のデータ削除を請け負った費用として、自由民主党広島県連第3選挙区支部から82万6千円あまりの支払いを受けた。 同年11月27日、神戸学院大学の上脇博之教授ら11人は公選法違反の罪で河井夫妻らに対する告発状を広島地検に提出した。事件発覚後、河井と妻は公の場からそろって姿を消し、第200回国会(2019年12月9日まで)および各委員会を欠席し続けた。 2020年1月15日、広島地検は河井夫妻の事務所を家宅捜索した。河井夫妻は同日深夜に記者団の取材に応じた。いずれも謝罪したが、議員辞職、離党については否定した。同年1月23日、前年7月の参院選の公示前、自民党本部から案里が支部長を務める「広島県参議院選挙区第七支部」に対し7,500万円、克行が支部長を務める「広島県第三選挙区支部」に対し7,500万円、あわせて1億5千万円の入金があったことが明らかとなった。落選した溝手顕正が支部長を務める「広島県参議院選挙区第二支部」に対しては、党本部からの入金は1,500万円にとどまり、10倍の開きがあった。党本部が案里陣営に肩入れした実態が浮き彫りになった。選挙資金の入金先と入金時期は以下のとおり。 自民党本部から提供された資金(★は政党交付金が原資) 広島県参議院選挙区第七支部(支部長:河井案里) 広島県第三選挙区支部(支部長:河井克行) 4月15日 1,500万円★ 5月20日 3,000万円★ 6月10日 3,000万円★ 4,500万円★ 6月27日 3,000万円 計 7,500万円 7,500万円 同年3月3日、広島地検は河井の政策担当秘書、案里の公設秘書、陣営幹部の3人を公職選挙法違反(買収)の疑いで逮捕した。24日、夫妻の秘書2人を同法違反の罪で起訴した。案里の公設秘書は河井の選挙への関与について「あらゆる場面で指示をして仕切っていた」と供述した。案里は複数の党幹部に電話し「ご迷惑をお掛けしている」と陳謝した。東京・永田町の議員会館でも河井夫妻の事務所の家宅捜索が6時間半にわたって行われた。その後、夫妻は「桜を見る会」前夜祭の舞台となったホテルニューオータニ東京のガーデンタワー棟に移動したが、その深夜に検察官10数人が令状を持って室内に入り、携帯電話を押収した。その際に、検察官から「着ているものを調べさせてもらう」といわれたため、案里は自ら全裸になり、多層構造になっている生理用品までめくって中を見せた。克行は「弁護士に相談したい」と言ったが、「裁判所からの差し押さえ令状があるから、その必要はない」「逮捕するわけではないから、弁護士を呼ぶ権利はない。法務大臣だったくせにそんなことも知らないのか」と一喝された。 同年3月29日、河井が広島市議会議員に現金数十万円が入った封筒を手渡していたことが明らかとなった(時期は2019年5~6月頃)。3月31日、河井が三原市長の天満祥典と大竹市長の入山欣郎にも現金が入った封筒を配り歩いていたことが発覚した。4月1日、安芸太田町長の小坂眞治が河井から現金20万円入りの封筒を受け取ったと取材に証言した。4月3日、元廿日市市長の眞野勝弘が市長在任中に現金を受け取った可能性があるとして広島地検から任意聴取を受けていたことが明らかとなった。眞野は携帯電話などを押収された。4月7日、小坂は町議会の議長宛てに辞職願を提出し、受理された。4月9日、広島地検は檜山俊宏県議と渡辺典子県議の事務所や自宅を公職選挙法違反の疑いで家宅捜索した。4月14日、参院選前に案里の後援会幹部に電話作戦を依頼し、10万円入りの封筒を手渡していたことが明らかとなった。4月23日、広島地検は元広島市議会議長の平野博昭と息子を任意聴取し、家宅捜索した。4月24日、廿日市市議会の元議長の市議に「案里をよろしくお願いします」と伝えた後、現金20万円を渡していたことが明らかとなった。4月28日、広島地検は広島県議3人の議員控室を家宅捜索した。 同年5月13日、広島地検が克行を公選法違反容疑で立件する方針を固めたことが明らかとなった。 6月16日、妻の案里と共に離党届を提出し受理された。 6月18日、広島県内の地方議員や首長ら94人に投票や票の取りまとめを依頼し、計約2,570万円の報酬を渡したとして、妻の案里と共に東京地検特捜部によって逮捕された。 報道されている「お金を受け取ったとされる地元政治家リスト」は以下の通り。 名前金額(円)時期(頃)受け取り塌所岡崎哲夫 300,000 平成31年3月下旬 選挙事務所 平本徹 300,000 平成31年4月上旬 平本徹方 下原康充 500,000 平成31年4月上旬 選挙事務所 奥原信也 500,000 令和元年5月下句 後援会事務所 胡子雅信 100,000 令和元年6月中旬 大柿市民センター 海徳裕志 300,000 平成31年3月下句 選挙事務所 八軒幹夫 300,000 平成31年3月下旬 議員事務所 藤田博之 500,000 平成31年3月下旬 議員事務所 宮本裕之 200,000 平成31年3月下句 宮本裕之方 矢立孝彦 200,000 平成31年3月下旬 矢立孝彦方 今田良治 300,000 平成31年3月下句 後援会事務所 先川和幸 200,000 平成31年3月下旬 安芸高田市議会議長室 天満祥典 500,000 平成31年3月下旬 三原湾港ビル 水戸眞悟 100,000 平成31年3月下旬 安芸高田市議会副議長室 宮本新八 300,000 平成31年3月下旬 後援会事務所 児玉浩 300,000 平成31年3月下旬 選挙事務所 木山徳和 300,000 平成31年3月下旬 選挙事務所 児玉光禎 300,000 平成31年3月下旬 児玉光禎方 豊島岩白 300,000 平成31年3月下旬 議員事務所 奥原信也 500,000 平成31年4月上旬 後援会事務所 三宅正明 300,000 平成31年4月上句 後援会瀬野連絡所 山下智之 300,000 平成31年4月上旬 山下招之方 木戸経康 300,000 平成31年4月上旬 選挙事務所 窪田泰久 300,000 平成31年4月上旬 後援会事務所 谷口修 500,000 平成31年4月上旬 谷口修方 伊藤昭善 300,000 平成31年4月上句 議員事務所前駐車場 沖井純 500,000 平成31年4月中旬 議員事務所 沖宗正明 300,000 平成31年4月中旬 後援会事務所 仁井田和之 200,000 平成31年4月中旬 自宅兼事務所 高山博州 300,000 平成31年4月中旬 議員事務所 平本英司 300,000 平成31年4月中句 後援会事務所 小坂眞治 200,000 平成31竿4月中旬 小坂眞治方 砂原克規 200,000 令和元年5月上句 議員事務所 繁政秀子 300,000 令和元年5月中旬 河井案里選挙事務所 宮本新八 200,000 令和元年5月下旬 北広居町商工会 石橋竜史 300,000 令和元年5月下旬 河井克行事務所 児玉浩 300,000 令和元年5月下旬 駐車場に駐車中の自動車内 渡辺典子 200,000 令和元年5月下句 駐車場に駐里中の自動室内 伊藤照善 200,000 令和元年6月上旬 駐車場に駐車中の自動車内 今田良治 200,000 令和元年6月上旬 後援会事務所 沖宗正明 200,000 令和元年6月上旬 沖宗正明方 海徳裕志 200,000 令和元年6月上旬 議員事務所 砂原克規 300,000 令和元年6月上旬 議員事務所 藤田博之 200,000 令和元年6月上旬 讓員事務所 三宅正明 200,000 令和元年6月上旬 議員事務所 天満祥典 1,000,000 令和元年6月上句 飲食店内 岡崎哲夫 200,000 令和元年6月上旬 後援会事務所 豊島岩白 200,000 令和元年6月上旬 議員事務所 青原敏治 100,000 令和元年6月上旬 青原敏治方 八軒幹夫 200,000 令和元年6月上旬 議員事務所 佐藤一直 300,000 令和元年6月中旬 河井案里選挙事務所 奥原信也 1,000,000 令和元年6月下旬 後援会事務所 藤田俊雄 100,000 令和元年6月下旬 藤田俊雄方前路上 杉原孝一郎 300,000 令和元年7月上旬 杉原孝一郎方 土并正純 300,000 令和元年7月中旬 河井案里選挙事務所 7月8日、公職選挙法違反(買収)の罪で妻の案里と共に起訴された。同月9日、保釈を請求したが、15日、保釈請求は却下された。8月7日、2回目の保釈請求をしたが、13日、再び却下される。 8月25日、初公判が開かれ、河井夫妻は無罪を主張した。克行の弁護人は、初公判の終了後、東京地裁に3回目の保釈請求をしたが、26日、却下された。27日、弁護人は保釈請求を却下した東京地裁の決定を不服として、東京高裁に抗告したが、28日、棄却された。9月9日、弁護人は東京地裁に4回目の保釈請求をしたが、10日、却下された。11日、決定を不服として、克行自ら東京高裁に抗告したが棄却された。さらに最高裁に特別抗告を行ったが15日に棄却され、同日の第8回公判終了後に自身の弁護士6人全員を解任した。16日、東京地裁は克行の弁護人全員解任を受け、夫妻の公判を分離して進めることを決めた。10月20日、計5人の弁護人を新たに選任。22日、案里の公判に証人として初めて出廷したが、検察側の尋問に対し、必要なことは自分自身の裁判で話すとして証言を拒絶する姿勢を見せた。 2021年2月3日、案里が議員辞職。2日後の5日に有罪判決が確定し、当選無効となる。
※この「参院選における公選法違反疑惑問題」の解説は、「河井克行」の解説の一部です。
「参院選における公選法違反疑惑問題」を含む「河井克行」の記事については、「河井克行」の概要を参照ください。
- 参院選における公選法違反疑惑問題のページへのリンク