南北戦争とレコンストラクション: 1860年代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 06:51 UTC 版)
「アメリカ合衆国の経済史」の記事における「南北戦争とレコンストラクション: 1860年代」の解説
詳細は「南北戦争の原因」を参照 北部が人口と製造業で急速に拡大していたのに対し、南部は田園地帯のままであり、資本や工業製品は北部に依存していた。奴隷を含む南部経済の利益は南部が連邦政府を支配する限りにおいてのみ政治力で保護されていた。しかし、人口の少ない南部が合衆国全体をリードしていくには限界があった。1856年に結党された共和党は工業化された北部を代表した。1860年、共和党とその大統領候補エイブラハム・リンカーンは奴隷制の拡大を終わらせ、その代わりに工業、商業および事業の拡大を要求した。1861年には保護関税の採用をうまく取り付けた。1862年、最初の大陸横断鉄道が認可された(1869年開通)。1864年、南北戦争の戦費を賄うために国法銀行制度が設立された。どの都市にも「ファースト・ナショナル銀行」が設立され、その多くは現在も残っている。ニューヨークのそれは、後にジェイコブ・シフの縁戚が経営した。 北部が南部に比べて工業が進歩していたことは南北戦争(1861年-1865年)での北部勝利を確保させたと見られている。北部の勝利で国の運命とその経済システムを封印した。奴隷労働の仕組みは廃止された。綿花の世界市場価格は急落し南部の大規模プランテーションは利益を生まないものになった。綿花1ポンドの価格は南北戦争終戦時の1ドルから、1870年代平均の20セント、1880年代の9セント、1890年代の7セントと急落していった。1898年までに、1ポンド当たり5セントまで落ち込み、綿花を生産するコストは1ポンド当たり7セントだった。北部の工業は南北戦争の前やその間も急速に拡大し急増した。工業資本家達は社会的および政治的事情を含み国民生活の多くの面を支配するようになった。 南部の荒廃は甚大であり、住民の貧窮が続いた。白人の収入は下落したが元奴隷の収入は上がった。レコンストラクションの間、鉄道建設が大いに奨励された(多くが破産もした)が、南部は綿花への依存が続いた。元奴隷は賃労働者、小作人あるいは分益小作人になった。これには多くの貧乏白人も加わり、経済よりも人口の方が速く成長した。1940年代までは、重要な製造業と言えば両カロライナ州の繊維工場とアラバマ州の幾つかの製鉄業ぐらいだった。 共和党急進派のレコンストラクション政策は、自由黒人(解放奴隷) やスキャラワグ(Scalawag, 南部の再編入を支持した南部白人)、カーペットバッガー(Carpetbagger, 南北戦争後に南部にやってきた北部人) らが連携し主導権を持つ州で持続し、鉄道や公立学校の建設を通じた南部の産業・社会の再建と近代化を進展した。しかし彼らは1870年以後、保守的な民主党の派閥で自らをリディーマー(Redeemer, 共和党急進派に対する反動として北部に対抗した保守的な南部人) と呼ぶ反対勢力によって各州の政権を奪われることになった。以上は国内経済に関する説明である。 戦時中、輸出品目が農産物から単価のより高い工業製品となってゆき、またインフレも加速したので売り手は買い手に早期決済を求めた。売り手は応じてもらえるよう代金を割引いていたが、製品の競争力となったので、インフレが止まってからも割引がつづいた。くわえ輸送手段が充実するにともない、サンプル品による営業が一般化した。こうした事情により、売掛金勘定を設けて早期に現金・小切手決済を求める商習慣が定着した。この手法は次節で述べるような大企業の販売戦略となった。その傾向は1873年恐慌から著しいものとなった。なぜなら、銀行に融資を渋られると売掛債権で自己金融するしかないからである。 恐慌はジェイ・クック銀行(Jay Cooke & Company)が同年9月に破産したことで引き起こされた。この銀行は南北戦争中に米国債を売り、1871年の政府の合衆国債借換に関与し、1873年に欧州でノーザン・パシフィック鉄道債の販売を企画していた。クック社はイギリスとドイツ帝国の資金を集めようとして失敗した。事件にもかかわらず、翌1874年にアメリカの鉄道証券はロンドンとアムステルダムで大量に販売された。担保証券として保有された証券は、レポ債務がデフォルトすると競売にかけられ、イギリスやスコットランドの投資信託が買い叩いた1852年、N・M・ロスチャイルド&サンズが米国鉄道債に初めて投資した(ペンシルベニア)。
※この「南北戦争とレコンストラクション: 1860年代」の解説は、「アメリカ合衆国の経済史」の解説の一部です。
「南北戦争とレコンストラクション: 1860年代」を含む「アメリカ合衆国の経済史」の記事については、「アメリカ合衆国の経済史」の概要を参照ください。
- 南北戦争とレコンストラクション: 1860年代のページへのリンク