ろうどうしゃはけん‐じぎょう〔ラウドウシヤハケンジゲフ〕【労働者派遣事業】
労働者派遣事業
労働者派遣事業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 19:21 UTC 版)
「貧困ビジネス」の一例として、労働者派遣を行なう人材派遣会社があげられるとし、 登録型日雇い派遣は、派遣労働の必然的な帰結であると主張している。 日本では1990年代以降の労働者派遣法など労働関連法規の規制緩和に伴い、数多くの人材派遣会社が生まれたが、2000年代に入るとワンコールワーカー(日雇い派遣)と呼ばれる細切れの契約期間かつ社会保障など全く考慮されない雇用契約も増加するようになる。これはとくに、いわゆる「ネットカフェ難民」などを生み出す原因のひとつともなっているが、湯浅は、日雇い派遣労働者は人間的な諸権利にこだわっていては仕事を得られず今日明日の生存もおぼつかない状況にあるとしている。 人材派遣会社に雇用される労働者は、派遣先企業にとり福利厚生や教育研修その他の人事手続が必要な人件費(すなわち固定費)としてではなく、資材調達費のような変動費として扱うことができ、金銭コスト時間コストともに低減のため導入される。それゆえ、非正規雇用労働者の身分であっても同一労働同一賃金の原則が一般的な欧米先進諸国とは異なり、日本においては収入その他の待遇が「正社員」に比較してかなり低く、その生活は非常に不安定である。 派遣元である人材派遣会社は、労働者の賃金から「マージン」「手数料」などと称する中間搾取で収入を得るビジネス・モデル(いわゆる「ピンハネ」)で収益を得ている。その収益が派遣労働者の数に比例していることから、企業理念として労働者と派遣先企業の橋渡しを行ない「雇用創造により社会貢献する」ことを掲げる人材派遣会社は多い。しかし、実質的に正社員にはある教育研修や福利厚生関連の経費削減が派遣労働者の導入目的や効果の本質となっている以上、単なる収入のみではなく職務技能スキルの蓄積や社会保障の適用に至るまでの福利厚生において、労働者側に非常に不利な労働契約である事例が多いとされている。 そのような実態として、違法行為であるはずの派遣先企業側による労働者の事前面接選別の常態化あるいは偽装請負や多重派遣の一般化などがあり、これらを通じた派遣労働者の雇用契約条件環境の切り下げや経済環境の悪化に伴う雇い止め(派遣切り)も行なわれている。 労働者を「人」としてではなく、「短期の雇用で切り捨てが可能な、商品」として取り扱うことを肯定したシステムが労働者派遣であり、労働者の存在は倉庫に置かれた在庫物資と基本的に変わらないが、その「在庫管理経費」さえも削減することで登録型日雇い派遣労働にいきつくこととなると湯浅は主張する。 人材派遣会社の一つであるフルキャストグループで社長・会長を務めた平野岳史は、2006年7月「社会現象の中でフリーターが増え、結果自分たちがフリーターに働く場を提供していると思えるようになった」と、人材派遣ビジネスの社会的意義を強調する趣旨の発言をしている。一方で、労働者派遣法における規制緩和が、人材派遣会社による当時の与党自由民主党への政治献金や、政府の規制改革会議委員であった人材派遣会社経営者奥谷禮子らに代表されるような、企業側の政治的はたらきかけにより実現に至った経緯をみていけば、実態として生活のため不本意ながら非正規労働契約を結ばざるを得ないような社会的弱者に巧みにターゲットを合わせ収益を上げている人材派遣業は、「貧困ビジネス」としての構成要件を充分に満たすものとしても認識されうる。 なお、登録型日雇い派遣労働とセットになった宿泊施設は、ドヤ街・飯場システムの現代版としてみることもできるが、「貧困ビジネス」の一種とみなされる。 「手配師」、「日雇い」、「ドヤ街」、および「飯場」も参照
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