人件費削減
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 00:34 UTC 版)
ワーキングプアが大量に発生した要因として、企業の人件費削減の流れが指摘されている。 企業は 安価な労働力確保を目的とした国外への進出 賃金の高い正社員の新規採用の削減 人件費が安価で売上など状況に応じて雇用調整を行いやすいアルバイトやパート、契約社員、派遣社員といった非正社員を増やす などにより、総人件費の抑制を図った。企業が労働者に支払った給与の総額は1999年には217兆円であったが、2009年には192兆円にまで減少している。なお非正社員への置き換えについては、製造現場への派遣行為を禁じていた「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(労働者派遣法)旧規程が2006年に緩和されたことによる、大企業の製造現場における偽装請負といった法令違反も発覚した。 賃金水準の抑制 労働者の賃金水準は、低下傾向にある。1999年には労働者の平均年収は461万円であったが、2009年には406万円に減少している。 賃金の高い正社員の新規採用を減らす 正社員の採用については新卒が主流なため、新卒で就職できなかったりあるいはいったん正社員となっても自発的な離職、倒産やリストラなどの非自発的離職で職を失うと、「特別な技能や国家資格などがある」か、「即戦力となれるだけの経験・技量がある」(と求人先に認められた)場合を除き、定職に就くのは難しいのが実情である。また派遣・アルバイトなどの経験がどれだけあっても責任ある仕事を任されないためキャリアとして認めない傾向が強く、正社員への道は狭い。 非正社員を増やす 2000年には労働者の74.0%が正規雇用であったが、2010年には65.6%にまで減少している。非正社員の増加は、企業収益に関わらず、コスト削減などの競争力を維持したい企業は非正社員でまかなえる業務は非正社員でまかなおうとする傾向があるため、構造的なものと言える。例えば、コンビニエンスストアにみられるように企業間のサービス競争の中で24時間体制(の深夜労働または年中無休)での労働になり、なおかつ最低賃金(+深夜の割増賃金)でしか雇用しないなど過酷な勤務も増えた。「業務請負#日本」、「バブル崩壊#アウトソーシング(業務請負)・労働者派遣」、「貧困ビジネス#業務請負」、「貧困ビジネス#労働者派遣事業」、「偽装請負」、「労働者供給事業」、「タコ部屋労働」、および「タコ部屋労働#衰退」も参照
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