ホイットルセーの農業地域区分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/22 16:09 UTC 版)
「ダウエント・ホイットルセー」の記事における「ホイットルセーの農業地域区分」の解説
ホイットルセーは、世界の農業(農牧業)地域を生産目的(自給的か商業的か)、生産性(粗放的か集約的か)、家畜と作物の組み合わせなどに着目し、13に区分した。分類にあたって自然条件・経済条件・文化的要素総合的な視点を用い、指標の取り方も妥当であると評価されている。また、世界的な分布図で表現したことから、現時点で最も広範に用いられる農業区分となっている。現行の日本の高等学校の「地理A」・「地理B」で学習する農業地域区分はホイットルセーによるものであり、大学入学試験に出題されることがある。(より正確に言えば、ホイットルセーが発表した農業地域区分に修正を加えたものを学習している。) ホイットルセーによる農業地域区分 遊牧■(黄色)家畜の飼養のみを行い、草や水を求めて移動する。中央アジア・北アフリカ・北極圏など。 企業的放牧(企業的牧畜)■(桃色)飼料やウシ・ヒツジなどを主に商品とするために飼育する。新大陸のステップ気候地帯が中心。 移動農業(焼畑農業)■(茶色)作物栽培のみを行い、住居を移動しながら非定住農業を行う。 初期定着農業(粗放的定住農業)■(紫色)作物と少数の家畜を組み合わせ、簡単な定住を伴う粗放的な農業を行う。 集約的自給的稲作農業■(緑色)現行の地理の教科書では「アジア式稲作農業」という表現も使われる。稲作・自給を中心とし、灌漑が発達している。東アジア・東南アジア・南アジアで展開する。 集約的自給的畑作農業■(アクアマリン)現行の地理の教科書では「アジア式畑作農業」という表現も使われる。稲以外の作物栽培を主に自給のために行う。中国の東北地方・華北やインドのパンジャーブ・デカン高原が中心。 自給的混合農業■(オリーブ色)小麦以外の麦類を主に自給用に栽培し、少数の家畜飼育と組み合わせる。ロシア・トルコ・東ヨーロッパなど。 商業的混合農業■(黄緑色)小麦を自給用と販売用に栽培し、肉用の家畜飼育と組み合わせる。資本集約的で収益性が高い。西ヨーロッパ・アメリカのコーンベルト、アルゼンチンのパンパ(湿潤パンパ)など。 商業的酪農(酪農)■(空色)飼料作物と乳牛を組み合わせ、ほぼ商品用に農業生産を行う。収益性が高く、機械化も進んでいる。北海沿岸・五大湖沿岸など。 地中海式農業■(オレンジ色)小麦・オリーブ・果樹栽培を自給と出荷のために生産する。集約的な農業となるが、大土地所有制の下では粗放的になる。地中海性気候の地域で展開される。 商業的穀物農業(企業的穀物農業)■(薄橙色)小麦・飼料作物・少数の家畜を主に販売目的で生産する。単収は低いが機械で大規模に展開する。新大陸やロシアの半乾燥地で展開される。 商業的プランテーション(プランテーション農業)■(赤色)熱帯の商品作物を安価な労働力を導入して、高い収益を出す農業。 特殊園芸農業(園芸農業)■(マゼンタ)主に出荷用に果樹・花卉・野菜を高い土地生産性・労働生産性・収益を出して生産する。大都市で発達し、北海・地中海・アメリカ大西洋の各沿岸が特に卓越する。 上記のうち、いずれか一つを除いて12区分とすることがある。
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