ネコから見つかった新種の寄生虫とは? わかりやすく解説

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ネコから見つかった新種の寄生虫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 05:54 UTC 版)

地方病 (日本住血吸虫症)」の記事における「ネコから見つかった新種の寄生虫」の解説

この奇病日本住血吸虫症ヒトだけではなく他の哺乳類にも発症する。そのため甲府盆地各所では、農耕で使うウシなどの家畜野良犬など、哺乳動物腹部大きく膨らんでいる姿が多数見られた。 このことから桂田三神は、腹部腫れた疾患疑いが濃い、「姫」と名付けられていた三神家の飼いネコ(雌)を解剖することにした。1904年明治37年4月9日三神診療所ネコ解剖されたが、多忙な桂田岡山医大での予定詰まっており、緻密な作業要する詳細な検証時間的に不可であったため、摘出した肝臓と腸を一旦アルコール液に保存して岡山研究室持ち帰った1か月半後の同年5月26日、ようやく時間のできた桂田は、アルコール液に保存しておいたネコ肝門脈内から約1センチほどの新種寄生虫死骸)を見つけた。しかし欠損部分があるなど不完全であり、何よりも生きた体を確認することだと、桂田生体での確認を行うための検証必要な器具持参し7月下旬再度甲府三神訪ねた三神三朗の息子である三神寿(ひさし)により1955年昭和30年)に建立された。(2011年10月撮影桂田から再解剖を行う旨の連絡受けていた三神は、前回解剖時と同様のネコ用意しており、両名門脈狙い定め解剖行った予想的中しネコ肝門脈内から、オス24匹、メス8匹、そのうち雌雄抱合しているもの5対の、合計32体の生きた体を発見した1904年明治37年7月30日のことで、後に桂田によって、日本住血吸虫学名Schistosoma japonicum)と名付けられる、この奇病病原寄生虫発見瞬間である。 桂田は慎重を期して解剖したネコ肝臓腸壁にあった卵、さらに新寄生虫の雌の卵巣内部作られる卵が、杉山なか等の病理標本にある卵と全く同じ卵であることを確認し、この新寄生虫地方病との因果関係立証した翌月8月13日官報6337号に新寄生虫発見報告行い同様にドイツ語でも論文発表し、この寄生虫血管内に住み日本発見されたことから、新種として Schistosomum japonicum 日本住血吸虫命名した(のちに Schistosoma japonicum改名)。 なお、翌年1905年検疫官としてシンガポール赴任であったイギリス人医師のカットーが、コレラにより死亡した罹患者現在の中国福建省出身者)の遺体から同じ寄生虫発見しカットー吸虫命名したが、前年桂田ドイツ語論文報告が先であり、命名法規則によって桂田第一発見者であると世界医学界追認されている。新寄生虫発見偉業第一発見者という栄誉は、三神理解協力なくしてはし得ず、桂田論文の中で三神三朗に対し最大級賛辞言葉記している。 日本住血吸虫は、腸から肝臓血液を送る肝門脈の中で宿主赤血球栄養源とし、雄が雌を抱きかかえた状態で寄生し、雌は門脈の中で産卵する血管中(血液の中)に産まれたはずの卵が消化器系経由し糞便中に出てくる理由は、腸管近く腸間膜血管運ばれた卵がタンパク質分解酵素放出することによって周囲腸壁溶解し、卵ごと腸内落ちるからである。その一方で血流乗った卵は肝臓蓄積され同様に放出されタンパク質分解酵素により肝臓内に結節形成され繊維化し、やがて長期間にわたる卵の蓄積肝硬変発症するこのように日本住血吸虫は、腸内胆管などの消化器官寄生して産卵する従来から知られていた他の寄生虫とは全く異な寄生様式持っていることが、その後の検証により解明された。 体の発見によってこの奇病寄生虫病であると確定はしたが、成虫体長が1センチから2センチほどある日住血吸虫ヒトへの感染経路、しかも消化器系ではなく血管内に寄生する生態メカニズム生活史)の解明次の課題であった

※この「ネコから見つかった新種の寄生虫」の解説は、「地方病 (日本住血吸虫症)」の解説の一部です。
「ネコから見つかった新種の寄生虫」を含む「地方病 (日本住血吸虫症)」の記事については、「地方病 (日本住血吸虫症)」の概要を参照ください。

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