ジェミニ8号
名称:ジェミニ8号(Gemini 8)
小分類:ジェミニ計画
打ち上げ国名・機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ年月日:1966年3月16日
帰還年月日:1966年3月17日
打ち上げロケット:タイタンII
宇宙飛行士:ニール・A・アームストロング/デビッド・R・スコット
飛行時間:10時間41分
国際標識番号:1966020A
ジェミニ8号は人工衛星アジェナとのドッキング実験に成功しました。先に打ち上げられていたアジェナに、ジェミニ8号は軌道に乗ってから5時間で追いつき、30分以上かけてアジェナの周囲をまわりながら点検したあと、ドッキングしています。
しかし、それから27分後にトラブルがおこり、ジェミニ8号と人工衛星アジェナはドッキングしたままで予期せぬ回転をはじめました。アジェナを切り離してもジェミニ8号の回転は止まりませんでした。原因はジェミニ8号のほうにあり、操縦用エンジンのひとつが故障して勝手に噴射していたのです。
危険な状態でした。宇宙船を安定させるには、大気圏再突入のための制御装置の推進ロケットを点火するしかありません。しかしそうすると、地球へ戻るのに必要な燃料を消費してしまうことになります。アームストロング船長は残された飛行計画を中止して、推進ロケットに点火し、無事に地球へ帰還しました。
1.宇宙船はどんな形をして、どのような性能を持っているの?
ジェミニ宇宙船は搭乗カプセルと機械船から構成され、円錐形をしています。機械船は電力や酸素などをカプセルに供給する役目のもので、実験装置を収める場所でもありました。2つをあわせた全長は5.6m、最大直径3.1m、重量3.5tです。逆推進エンジンや姿勢制御エンジンがついていました。
2.ロケットはどんな形をして、どのような性能を持っているの?
タイタンIIは大陸間弾道ミサイルを改良した多段式ロケットで、全長33.2m、直径3.1m、重量185tです。
3.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
打ち上げから約2分30秒後にタイタンIIの第1段が切り離され、地球周回軌道に入ると第2段が切り離されます。軌道上で人工衛星アジェナとドッキングしたあと、事故のため緊急で地球に戻りました。機械船が切り離され、搭乗カプセルだけで大気圏に再突入しました。
4.宇宙飛行の目的は?
人工衛星アジェナとドッキングするためです。
5.宇宙でどんな活動をし、どのような成果をおさめたの?
人工衛星アジェナとのドッキングに成功しました。そのあとにおこった事故を冷静な判断で解決しました。
※参考文献:アラン・シェパード,ディーク・スレイトン著/ムーンショット(集英社)、竹内均・監修/Newton Collction II 宇宙開発(教育社)、松井孝典・著/「宇宙誌」(徳間書店)
ジェミニ8号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/16 05:45 UTC 版)
ジェミニ8号 (英語: Gemini VIII[2]) は、アメリカ合衆国の宇宙機関NASAが行ったジェミニ計画の6度目の有人宇宙飛行である。この飛行では史上初となる2機の宇宙機の軌道上でのドッキングが行われたが、同時にこれもアメリカ初となる、宇宙空間における乗員の生命を脅かすほどの深刻な機器の故障が発生し、飛行を緊急に中止する必要が迫られた。飛行士らは無事地球に帰還したが、このような緊急事態からの生還は他にアポロ13号の例があるのみである。
- ^ McDowell, Jonathan. “SATCAT”. Jonathan's Space Pages. 2014年3月23日閲覧。
- ^ Hacker, Barton C.; Grimwood, James M. (September 1974). “Chapter 11 Pillars of Confidence”. On the Shoulders of Titans: A History of Project Gemini. NASA History Series. SP-4203. NASA. p. 239 NASAはジェミニIVから、ジェミニの飛行番号をローマ数字に変更した。
- ^ “Civilians in Space”. 2016年6月30日閲覧。
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- ^ Dr. Robert C. Seamans, Jr. (1967年4月5日). “NASA Management Instruction 8621.1 April 14, 1966”. Apollo 204 Review Board Final Report. NASA. 2011年3月7日閲覧。
- ^ “On The Shoulders of Titans - Ch13-6”. 2011年5月4日閲覧。
- 1 ジェミニ8号とは
- 2 ジェミニ8号の概要
- 3 飛行士
- 4 事故原因と結果
- 5 記章
ジェミニ8号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 04:40 UTC 版)
「ニール・アームストロング」の記事における「ジェミニ8号」の解説
1965年9月20日、ニールはジェミニ8号の船長に任命された。副操縦士はデヴィッド・スコットだった。スコットは宇宙飛行士の第3次選抜メンバーの一人で、そのグループの中で宇宙に行くのは彼が初めてだった。彼らの任務は無人衛星・アジェナ標的機との軌道上ランデブーとドッキングを行なうことで、飛行時間75時間で地球を55周する間にスコットはアメリカ人として2番目となる船外活動(extra-vehicular activity, EVA。ニール自身は「宇宙遊泳」と言われるのを嫌っている)を行なう予定だった。1966年3月16日、米東部時間午前10時にまずアジェナが打ち上げられ、午前11時41分02秒、2人を乗せたタイタンII GLV 型ロケットが後を追うようにして打ち上げられ、アジェナを追跡する軌道に乗った。 ランデブーとドッキングは打ち上げから6時間半後に予定どおり行なわれた。しかしその当時は宇宙船の軌道のすべてを網羅するような無線中継基地はまだ作られていなかったために、途中で通信が途絶えてしまった。その中絶している時間中に宇宙船はとつぜん予期せぬ回転運動をし始めた。ニールは軌道姿勢制御システム(Orbital Attitude and Maneuvering System, OAMS)を使って何とか機体回転を停止させようと試み、地上の管制官のアドバイスに従ってアジェナを切り離した。しかし不規則な運動はますます激しくなるばかりで、ついに1秒間に1回転するまでになってしまった。原因はジェミニ自体の姿勢制御システムにあることは明らかだった。飛行後の分析では回路がショートしてエンジンの一つに誤って点火の指令が出されてしまったのだろうと考えられた。ニールは残された最後の手段として大気圏再突入システム(Reentry Control System, RCS)を作動させ、OAMSのスイッチを切った。ちなみに飛行規則では、いったんこの装置を作動させたら宇宙船は次の可能な機会に必ず再突入をしなければならないことになっていた。 この時オフィスに待機していた数人の飛行士の中で最も著名な人物だったウォルター・カニンガムは、「ニールとスコットは、このような事態が発生した場合に対応する手順を怠っていた。ニールが二つあるRCSのスイッチのうちの一つをオンにしていれば回転はすぐに収まり、計画を犠牲にすることはなかったのだ」と明白に述べている。しかしこの批判は的を射たものではない。なぜならそのような手順はチェックリストには書かれていなかったし、彼に唯一できるのは、二つのRCSのスイッチのどちらか一つではなく、両方をオンにすることだけだった。NASAの主任管制官だったジーン・クランツは「乗組員は訓練されたとおりのことをやった。もし彼らが間違ったことをしたというのなら、それは訓練が間違っていたのだ」と述べている。また計画の立案者や管制官たちは、一つだけ大きな事実を見落としていた。2機の宇宙船がドッキングしたら、それは1機の宇宙船になるということである。 ニール自身はといえば、予定されていた計画のほとんどを中止しスコットが船外活動をする機会を奪ってしまったことに、意気消沈し悩んでいた。彼は他の飛行士たちの批判には耳を貸さなかったが、フライト終了後に「アジェナとドッキングしている間はジェミニの姿勢制御装置は全く不要のものであり、アジェナの姿勢制御装置を使っていれば容易に制御を回復できていたはずだ」と述べている。
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