『ガロ』時代とは? わかりやすく解説

『ガロ』時代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 22:57 UTC 版)

つげ義春」の記事における「『ガロ』時代」の解説

1964年9月号から雑誌ガロ』が発行され1964年12月号から白土三平の『カムイ伝』の連載が始まるが、つげは『ガロ』の存在知らなかった雑誌スポンサーでもある白土1965年4月号でつげ義春所在尋ね、それに応える形でつげはガロ創作の場を得ることになったという。『噂の武士』で1965年8月号の『ガロ』に初登場1965年田端行なわれ貸本漫画家の集まりで白土三平水木しげる知り合う同年10月白土はつげを励ますため、千葉県大多喜旅館寿恵比楼招待し、また赤目プロアシスタントであった岩崎稔から井伏鱒二を読むよう勧められる。そこで旅館の手伝いをしていた強い方言を話す娘から強い印象を受けるなど、白土赤目プロとの出会い大多喜での経験傑作『沼』を生み出す大きな刺激となり、また、この経験からつげは旅に夢中になり、のちの一連の「旅もの」作品として結実させるなどその後の作品大きな影響与えた娯楽作品意識から脱却したつげは、1966年2月号の『沼』以降、『チーコ』など作家性の強い短編群を続けざま発表する。特に『沼』は説明一切省いた緊密な構成成熟前の少女危うさ官能描き漫画でしか表現出来ない善悪越えた世界切り開いた記念碑的作品である。つげ本人も、『沼』までは苦しんで苦しんでマンガはこうあるべきだというような常識自分中にあった。それが解放され気持ちになったという。『沼』からは1968年8月号の『モッキリ屋の少女』までは全て正真正銘傑作であり凡作一つもない「奇跡2年間」が始まる。しかし当時の『カムイ伝目当てガロを買う読者層には主に「暗い」という理由当時読者より)であまり評価されなかった。特に『沼』は不評で、マンガ家廃業して凸版印刷職工になろうと真剣に考えたこともある。『沼』が辰己深井など仲間にも理解されなかったため、自作続け意欲薄れ、生活のためにも、「少年マガジン」で連載始め人手要った水木アシスタントをすることになり、調布転居実際日当2千円という破格報酬であり、「ゲゲゲの鬼太郎」ネーム苦しんだ水木呼ばれ二人でオチ考えたこともあったという。本人水木仕事専念するつもりであり、自作発表するつもりはなかった。「初茸がり」(1966年4月号)も水木の「なまはげ」が予定より短くなり空いたページ埋めるために急遽まとめたもの。水木仕事1年半ほど続きこれにより生活の安定を得、旅行にも出かけたことで作品構想熟して行った思われる当時から一部マニアック読者からは高い評価を得、1967年3月創刊日本初漫画批評誌『漫画主義』は、つげ義春特集組んだまた、白土は初の作品集「噂の武士」(1966年12月号)に解説を書くなどつげを高く評価していたと思われる。つげ自身も「白土さんはマンガ見る目があるマンガ家マンガ客観的に見ることができない傾向があるけど、白土さんはそれができる人ですね。」と話している。 この頃、「今昔物語」「日本霊異記」や中国古典(「聊斎志異」「唐代伝奇集」)をよく読む。その影響もあり1967年3月に「通夜」を発表盗賊三人組ニセモノ死体玩ぶ話しを、突き抜けたユーモア完璧な構成描き切った池上遼一によればこの頃水木プロに週3日程度手伝い来て、あと徹夜してこもって自分のもの(「通夜」や「海辺の叙景」)を描いていたという。水木とは仲が良く一生古本買いに行った古文書探し行ったりした。 1967年には水木プロ仕事量増え右手腱鞘炎患うこの年には井伏文学からの影響で、4月友人立石秩父房総を、8月には伊豆半島旅し秋に単独東北湯治場蒸ノ湯温泉岩瀬湯本温泉二岐温泉)などを中心とした旅行をする。その際、旅に強烈な印象をもち、また湯治場急速に魅かれるうになる。このときの旅の印象この年後半から翌年にかけての一連の「旅もの」作品として結実するこのころ旅関係の書物柳田國男などを熱読する。この年にはユーモラスな世捨て人的生活の日常スケッチである『李さん一家』(6月)や、少女大人になる一瞬巧み抒情詩仕立て上げた紅い花』(10月)、小さな騒動記『西部田村事件』(12月)、そして翌1968年には紀行文学スタイル借りた二岐渓谷』(2月)、『長八の宿』(1月)、『オンドル小屋』(4月)などを立て続け発表する

※この「『ガロ』時代」の解説は、「つげ義春」の解説の一部です。
「『ガロ』時代」を含む「つげ義春」の記事については、「つげ義春」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「『ガロ』時代」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「『ガロ』時代」の関連用語

『ガロ』時代のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



『ガロ』時代のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのつげ義春 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS