SIMカード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/18 09:32 UTC 版)
データ
- ICCID(Integrated Circuit Card ID)
- 最大19桁であり、1 - 2桁目は産業識別(電気通信は89)、3 - 4桁目は国番号(日本は81)、日本の場合、5 - 6桁目は事業者番号、7 - 18桁目はカード番号、19桁目はチェックデジットである[10]。
事業者 事業者番号 旧:ワイモバイル[注 2]
(旧:イー・アクセス←イー・モバイル)00 阪神ケーブルエンジニアリング 02 楽天モバイル 09 NTTドコモ 10 ソフトバンク(主にSoftBankブランド)
(旧:ボーダフォン→ソフトバンクモバイル)20 KDDI・沖縄セルラー電話連合(au) 30 UQコミュニケーションズ 31 旧:ウィルコム 70 Wireless City Planning 71
- IMSI(International Mobile Sub scriber Indentity)
- 最大15桁であり、MCC3桁、MNC2 - 3桁、MSIN最大10桁で構成される。
日本のSIMカード
ポストペイ
![](https://weblio.hs.llnwd.net/e7/redirect?dictCode=WKPJA&url=https%3A%2F%2Fupload.wikimedia.org%2Fwikipedia%2Fcommons%2Fthumb%2F5%2F54%2FNTT_DoCoMo_FOMA_card_chip_new_white.jpg%2F150px-NTT_DoCoMo_FOMA_card_chip_new_white.jpg)
日本では、第2世代携帯電話が主流だった時期には、SIMカードを使う2G方式の代表であるGSMがサービスされていないため、使われていなかった。
ただし、NTTドコモの自動車電話機の一部機種では「DoCoMoアプリケーションカード」と呼ばれる、クレジットカードと同サイズのICカードを利用していた。また、NTTドコモの組み込み型パケット通信基盤の一部(タクシー用クレジットカード決済器など)で「DoPaチップ」を採用している物がある。これは日本独自のもので、PDC(mova)方式である。
3GではW-CDMAを採用したNTTドコモのFOMAやソフトバンクモバイルのSoftBank 3Gのサービスインにより、UIMカードが使われるようになった。
- ドコモのFOMAではFOMAカード、およびXiに対応したものとしてドコモUIMカード。
- SoftBank 3Gでは、SoftBank 3G USIMカードと呼ばれている。
- データ通信サービスで新規参入したイー・モバイルも、W-CDMA方式のためUIMカード(EM chip)を採用している。
また、au(KDDI・沖縄セルラー電話連合)も国際ローミングの強化(グローバルパスポートGSM)を目的としてCDMA 1X WINで、R-UIMカード(au ICカード)を導入し、日本の3G携帯電話はすべてUIMカード相当のICカードを採用することとなった。
また、日本の3G携帯電話では、ダウンロードしたコンテンツに対してIMSIやIMEI(International Mobile Equipment Identity、電話機の固有番号)による保護がかけられていることが多く、ダウンロードに使用したものと異なるUIMカードを挿した場合、通話・通信はできても、ダウンロード済みのコンテンツの利用ができない場合がある。UIMカードを紛失・破損・不具合・盗難などにより再発行した場合も同様の可能性がある。
SIMカードの通話や通信以外の利用法としては、NTTドコモのFirstPassというサービスがある。利用者が電子証明書の発行を受けてこれをFOMAカードに格納し、SSLクライアント認証や電子署名に利用するものである。なお、このサービスは2012年8月31日で終了している[11]。
プリペイド
日本のプリペイドSIMカードは、ソフトバンクモバイルの「プリモバイル」および「(iPad専用)プリペイドプラン」、イー・モバイルの「EMチャージ」、So-netの「Prepaid LTE SIM by So-net」、日本通信の「3GB定額」、IIJmioの「Japan Travel SIM powered by IIJmio」などがある[12][13]。Prepaid LTE SIM by So-netは日本初の自動販売機で販売されるプリペイドSIMカードである[14]。
サービス開始当初は、関西国際空港に自動販売機が設置され、その後に成田国際空港や新千歳空港などに販売エリアを広げている。EMチャージとPrepaid LTE SIM by So-netと3GB定額はデータ通信に特化したサービスであるため、音声通話に用いる電話番号が取得できない。音声通話を行うには、代替手段としてLINEやスカイプなどのインターネット電話を用いる必要がある。
au(KDDI/沖縄セルラー電話)のぷりペイドでも、au ICカードを利用したものは存在するが、事実上は、端末に電話番号を書き込む方式に近い。
また、2017年現在ではMVNOオペレータ、大手通信事業者各社よりプリペイドSIMが、空港や家電量販店等で販売されている。これらは主に訪日外国人旅行者や短期帰国者向けの商品ではあるが、日本人でも問題なく購入/利用可能。
日本国内でプリペイド方式で提供されるSIMは、データ通信専用であり、音声通話は不可であると紹介サイトなどに記載されていることが多いが、これは誤りであり、音声通話に対応したプリペイドSIMも存在する[15]。
携帯電話不正利用防止法に則り、音声通話対応SIMを入手する場合は、本人確認が必要となる。データ通信のみのSIMに関しては、法律の規制対象外のため必須ではないが、各社のサービス契約プランや方針によって異なっており、情報登録の有無については各事業者に確認が必要。
PHS用
PHS用SIMカードとしては2005年にPIMカードが規格化され、中国でのPHSサービス(小霊通)等へ採用されている。ただし日本国内では、2009年12月現在、PIMカードを発行しているPHSキャリアは存在しない。
2008年2月にウィルコムより日本国内で初のPIMカード採用端末であるWX130S(SII製)が発売された。これはPIMカードをサポートしている中国のPHSサービスを利用するためであり、日本国内でPHSサービスを利用するためには従来通り端末へ電話番号の書き込みが必須である。なお、ウィルコムからの提供は終了している。
また、かつてウィルコムが行っていた、台湾・タイ王国・ベトナム等でのPHSの国際ローミングは、現地の電話番号を端末へ直接書き込む方式を採用しているため、PIMカードやSIMカードを利用することはない。
W-SIM
なお、ウィルコムも一部の端末でW-SIM(ウィルコムシム)と称する独自仕様のモジュールを採用している。これは契約情報だけでなく、アンテナを含む無線通信機能から電話帳機能までも内蔵しており、端末から無線機能を切り離すことによって、端末の開発期間を短縮できるほか、無線技術を持たないメーカーの参入をも容易にするものである。例えば、バンダイから発売された「キッズケータイpapipo!」がW-SIMを採用している[16]ほか、ハンディターミナル[17][18]やテレメタリング[19][20][21]のような機器組み込み用途・産業用途にも採用されている。
なお、GSM方式の通信機能を内蔵したW-SIM、CM-G100(IAC製)[1]も販売されている。この製品は、GSM用SIMカードスロットを搭載したW-SIM対応端末にGSMのSIMカードを装着するものである。使用可能機種は2010年10月現在、HYBRID W-ZERO3(WS027SH)のみで、他のW-SIM対応端末では使用できない。
XGP用
Wireless City Planning(以前はウィルコムが提供)のXGP(WILLCOM CORE XGP)によるデータ通信サービスでは、XGP Cardと呼ばれるICカードを採用している。XGP Cardの規格自体はUIMカード互換ではあるものの、Wireless City PlanningのWILLCOM CORE XGPサービスは現状データ通信のみであり、音声通話がサポートされていないため、カード内に電話番号情報は書き込まれていない。あくまでも、利用者認証のためとしている。
そのためXGP CardをUIMカード対応の電話機端末へ挿入しても、音声通話サービス等を利用することは不可能である。ただし、当時のウィルコムとしては、将来的にXGP Cardを利用し、音声通話をサポートする可能性を否定してはいなかった[22]。
自動販売機
2014年4月22日、日本での自動販売機では初めて関西国際空港で売られる[23]。
eSIM
eSIMについてはこれまでNTTドコモ・au・ソフトバンクの既存3社は積極的ではなく、Apple Watch用に提供するのみであった。その後後述するように総務省の取組の影響もあり、順次対応を始めている。
- NTTドコモは2017年の時点でタブレット端末dtabをeSIM専用端末として導入済み、また2021年1月に行われた社長の井伊基之へのインタビューでは新料金プラン「ahamo」を含め音声通話対応のeSIMの提供を行う意志がある事を表明[24]、その後メインブランドのドコモ及びahamoにおいて同年9月8日よりeSIMの提供を開始する[25]。
- KDDIは新ブランド「povo」でeSIMに対応[26]、メインブランドのauも2021年8月26日より対応を開始[27]、既存サブブランドのUQ mobileは9月以降に対応した[28]。
- ソフトバンクは2021年3月から開始のオンライン専業新ブランド「LINEMO」及び既存サブブランドのY!mobileでeSIMの取り扱いを開始[29]、メインブランドのソフトバンクも同年7月14日よりeSIMの取り扱いを開始している[30][31]。
- 2020年に新規参入した楽天モバイルは、音声通話対応のeSIMを提供しており、eSIM専用端末も販売している[32]。
MVNO事業者ではインターネットイニシアティブが当初ドコモ回線でデータ通信専用eSIMを提供、2022年11月からはau回線で音声通話機能付きeSIMの提供を開始している[33]。KDDIグループのソラコムが海外旅行者向けデータ通信専用eSIMを提供しているほか、NTTコミュニケーションズと丸紅ネットワークソリューションズが法人向けに提供している[32]。テレコムスクエアも2020年12月より日本国内外で使用可能なプリペイド式のデータ通信専用eSIMのサービスを開始[34]、KDDIもオンライン特化のMVNO事業者KDDI Digital Lifeを発足させ、2021年よりeSIMサービスの開始を予定している[35]。
総務省はキャリア間の乗り換えを円滑にする施策をまとめる「スイッチング円滑化タスクフォース」を2020年11月から数回にわたって開催しており、その中でeSIMの普及促進を挙げている。検討課題としては、設定するためのプロファイルの漏洩の可能性やクローンSIMの作成など不正利用の問題といったセキュリティ上の懸念、大手キャリアがMVNOにeSIMの機能を解放する際のコストの問題、ユーザー側の理解度、SIMロックの可否などが挙がっている[36][37]。
法規制
音声通話が可能な状態での通信端末や音声通話に対応したSIMカード等は、携帯電話不正利用防止法の規制対象となり、契約者の本人性確認の義務付けや、不正な譲渡の禁止等がなされている。なお、データ通信専用となる通信端末やSIMカード等は、同法の規制対象外であり、SIMカードが挿入されていない端末も規制の対象外となる。
一部のMVNO/MVNE事業者では、データ通信専用となる通信端末やSIMカード等について本人確認書類の授受を省略しているものがある。
日本国外のSIMカード
一般的にプリペイドユーザーの比率は日本に比べて高い。Vodafone社の“Pay as you talk”と“Pay monthly”など、日本国外の多くのキャリアは、ポストペイドSIMカードもプリペイドSIMカードも販売している。さらに、ロンドンのヒースロー空港のように、入国者向けにSIMカードの自動販売機が設置されている場合もある。
テレコムスクエア・トラベルヴォイスアンドネット・ドイツテレコム日本法人など、日本で日本国外の携帯電話通信会社のSIMカードを輸入販売している会社も存在する。
通話や通信以外の利用法としては、フィンランドのように、'Citizen Certificate'を入れ、電子身分証明書として使用する動き[38]もある。
注釈
出典
- ^ “SIMカード(シムカード)の意味”. goo国語辞書. 2019年11月26日閲覧。
- ^ “New SIM card format for slimmer, smaller phones” (英語). ETSI 2018年4月24日閲覧。
- ^ “NTT DOCOMO Technical Journal - NTTドコモ”. 2019年6月11日閲覧。
- ^ “Clearing up the term “eSIM”” (英語). Hologram. 2019年11月23日閲覧。
- ^ “利用シーンを拡大するコンシューマ機器向けeSIM ... - NTTドコモ”. 2021年1月4日閲覧。
- ^ “SGP.22 RSP Technical Specification Version 2.2.2”. 2021年1月4日閲覧。
- ^ Apple SIMの衝撃 キャリア主体のスマホ販売が激変する
- ^ “iPad - Cellular - Apple”. 2020年10月16日閲覧。
- ^ GemAlto, 12 Feb. 2009
- ^ “第2章 IMT-2000で必要な各種番号とダイヤル手順”. 平成11年度電気通信番号に関する研究会の報告. 総務省 (2000年6月2日). 2010年7月7日閲覧。
- ^ NTTドコモ - 「FirstPass」(ファーストパス)のサービス終了
- ^ 日本通信がプリペイド SIM「3GB 定額」を発売、30日間有効
- ^ 【格安データ通信SIM】OCNが1日50MB→70MBに IIJmio対抗!?
- ^ 日本初・SIMカードの自販機が関空に設置されたので買いに行ってきました
- ^ 訪日外国人旅行者向け音声通話付きプリペイドSIMカードを全国のテレコムスクエア空港カウンターにて発売
- ^ WILLCOM|キッズケータイ papipo!(ぱぴぽ)
- ^ シャープシステムプロダクト - 業務用携帯端末RZ-H220
- ^ ミヨシ電子 - MR2100
- ^ WILLCOM for Business - テレメタリング
- ^ WILLCOM - Hondaが提供する「インターナビ・プレミアムクラブ」向けに、W-SIM対応のインターナビ・データ通信Bluetoothを提供
- ^ パナソニックシステムソリューションズ - IP音声会議ホン KX-TS745JP-K
- ^ XGPは電話として使えるのか、SIMカード採用の意図は(ITmedia)
- ^ “ソネット、関空の自販機でプリペイド式SIMパッケージ発売”. (2014年4月22日) 2014年4月22日閲覧。
- ^ ドコモ井伊社長「ahamoはiPhone対応」、eSIMにも意欲 ケータイ Watch 2021年1月14日
- ^ 報道発表資料 : ドコモオンラインショップやahamoサイトにおけるeSIMの提供を開始 NTTドコモ 2021年9月1日
- ^ au、20GB/月額2480円のオンライン専用ブランド「povo」、使いたい機能をトッピングで追加 ケータイ Watch 2021年1月14日
- ^ auが「eSIM」の発行を開始 8月26日から ITmedia Mobile 2021年8月26日
- ^ 「UQ mobile」、9月めどにeSIM対応へ ケータイ Watch 2021年8月26日
- ^ ソフトバンクのahamo対抗はLINE活用の新ブランドで! 月20GBを月2980円 ASCII.jp 2020年12月22日
- ^ ソフトバンクはなぜ3ブランドで料金プランを刷新したのか? 榛葉副社長に聞く ITmedia Mobile 2020年12月22日
- ^ eSIMを7月14日に提供開始 ソフトバンク 2021年7月14日
- ^ a b 回線を合理的に使い分ける「eSIM」 使い方とメリットは? Forbes JAPAN 2020年3月26日
- ^ IIJ、個人向けモバイルサービス ギガプラン タイプAにおいて、音声通話機能付きeSIMの提供を開始 インターネットイニシアティブ 2022年9月15日
- ^ テレコムスクエア、国内外で使えるプリペイド式eSIMサービス提供 ケータイ Watch 2020年12月21日
- ^ KDDI、eSIM活用でオンライン特化のMVNO新会社「KDDI Digital Life」 ケータイ Watch 2020年10月30日
- ^ eSIM開放やキャリアメール持ち運びの課題は? 総務省が「スイッチング円滑化タスクフォース」で論点整理 ITmedia Mobile 2020年11月27日
- ^ 総務省、eSIM普及に向けた会合――MNO4社が抱える課題とは ケータイ Watch 2020年12月11日
- ^ フィンランドでのSIMカードを身分証明書として使う動き
- SIMカードのページへのリンク