配向性ストランドボード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/22 07:45 UTC 版)
日本におけるOSBの普及
前述のように、まず北米で考案・開発され、北米、欧州が主な生産拠点である。日本には輸入住宅とともに輸入されたが、当初日本国内には建築設計のための規格が存在しなかったことから、1987年(昭和62年)、「構造用パネル」という名称で日本農林規格が制定された。規格策定の時点では、必ずしもOSBのみを対象にしておらず、OSB以前から存在したウェハーボードも含んでいる。なお、日本工業規格の「JIS A5908 パーティクルボード」にも、OSBの規格が追加されている。
国内の間伐材の用途として1990年代から期待されており、試作レベルでは十分な性能のものが得られているが、典型的な装置産業であるため採算性を確保するためには大規模な工場でなければならず、他方、間伐材は運搬のコストが高いため、大工場を建設しても十分な稼働率を維持することは困難とされており、2011年(平成23年)現在も日本国内での商業生産はされていない。日本の木質ボードメーカーは、OSB分野に進出するよりも、むしろ、既存のMDFやパーティクルボードの特性を改良し耐力壁として使用可能なものを開発する方向に力を入れている。なお、JASの認定を受けていない造作用のものであれば、国産のスギやヒノキあるいは廃木材を原料とした、OSBもしくはウェハーボードに類似した製品も少量ながら流通しているが、これらは特性が保証されていないので構造材として一般的に販売することはできない。強度試験などを実施し必要なデータを用意して建築基準法に基づく国土交通省(旧建設省)の大臣認定を受ければ、構造材として使用することも不可能ではないが、木材市場から安定的に調達できるJASを満たしたOSBよりも高価であり、通常は装飾的な意図で内装材、造作材に用いられる。
以上のような状況にあるため、現在、OSBの国内需要はすべて輸入によってまかなわれている。輸入量は景気動向の波にそって変動しているが、基本的には増加傾向にある。財務省貿易統計によれば、2009年度のOSBの輸入量は146,964 m3、2010年度は160,853 m3であった。また、特記事項として、2011年度は、2011年3月の東日本大震災によって、住宅建材の復興需要が激増したことに加え東北地方にあった合板工場の多くが被災し供給が滞ったことにより、それまではOSB独特の外観ゆえに使用を敬遠していた施工主や住宅業者による採用が進んだ。2011年4月 - 8月のOSBの輸入は、ピーク時には平常時の3倍に達し、その後各種建材の供給ルートが回復するにつれ、例年通りの水準に戻っている。2011年度のOSBの輸入は248,462 m3であり、そのうち80 %以上がカナダ産、2位以下にドイツ、ポーランドが続き、この3ヶ国で輸入量の99.8 %を占める。なお、OSBの登場によりウェハーボードは市場からほぼ完全に駆逐されており、2011年度の輸入は2,180 m3にすぎない。
- ^ “構造用パネルの日本農林規格” (PDF). 農林水産省 (2008年6月10日). 2012年9月2日閲覧。
- ^ 国産材を用いた実大OSBの諸性能 北海道立林産試験場報10巻1号 p.1-10(1996-1)
- 1 配向性ストランドボードとは
- 2 配向性ストランドボードの概要
- 3 日本におけるOSBの普及
- 4 用途
- 5 関連項目
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