言論の自由
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/02 12:18 UTC 版)
日本
沿革
日本においては言論の自由は、1889年の大日本帝国憲法において初めて保障された(29条)。この憲法はビスマルク憲法を下敷きにしたとされているが[注釈 1]、フランス、オランダ、ベルギー、イタリアの憲法も研究されていた[注釈 2]。他方、現実には全ての出版物は出版条例により検閲され、また労働農民党など裁判所から解散命令を受けた党も数多かった。
29条 日本臣民は法律の範囲内に於て言論、著作、印行、集會及結社の自由を有す
1947年の日本国憲法は人権を「侵すことのできない永久の権利」(第11条・97条)として規定したうえ、出版その他一切の表現の自由を人権として保障している(21条1~2)。当然であるが、わいせつ物頒布等の罪などに当たるような違法な表現もあることには注意が必要である。
11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。 97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。 21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
言論の自由をめぐる問題の例
- 久米邦武筆禍事件(1892年)
- 国民新聞社襲撃(1913年)
- 白虹事件(1918年)
- 天皇機関説事件(1935年)
- GHQによる「言論および新聞の自由に関する覚書」(1945年)
- 新潟日報社襲撃事件(1946年)
- ジャニー喜多川による性加害問題(1962年)
- ウォーターゲート事件(1972年)
- 言論出版妨害事件(1969年)
- 月刊ペン事件(1975年)
- 沖縄国体日の丸焼却事件(1987年)
- 赤報隊事件(朝日新聞社支局襲撃事件、1987年)
- 長崎市長銃撃事件(1990年)
- 講談社フライデー事件(1991年)
- 椿事件(1993年)
- ニフティサーブ現代思想フォーラム事件(1994年)
- マルコポーロ事件(1995年)
- 立川反戦ビラ配布事件(2004年)
- NHK番組改変問題(2005年1月)
- 加藤紘一宅放火事件(2006年8月15日)
- 政府によるNHKワールド・ラジオ日本への「拉致問題」放送命令問題(2006年11月)
- 人権擁護法案(2002年内閣が提出。2003年廃案となった)
- 青少年健全育成条例(長野県を除く46の都道府県で制定されているが、有害図書指定が言論の自由を圧迫しているという批判がある)
- ニコン慰安婦写真展中止事件(2012年)
- 韓国ソウル中央地検による産経支局長起訴事件(2014年)
- あいちトリエンナーレ2019にて、「表現の不自由展・その後」(2019年7月)
- 安倍晋三に対し野次を飛ばした男女を北海道警察が排除した問題(2019年7月)
- 黒川杯(2020年5月)
- ^ 国際連合人権高等弁務官事務所, Freedom expression and opinion, 国際連合。
- ^ a b c 阿部照哉 編『憲法 2 基本的人権(1)』有斐閣〈有斐閣双書〉、1975年、160頁。
- ^ a b c d 阿部照哉 編『憲法 2 基本的人権(1)』有斐閣〈有斐閣双書〉、1975年、162頁。
- ^ 阿部照哉 編『憲法 改訂』青林書院〈青林教科書シリーズ〉、1991年、118頁。
- ^ 阿部照哉 編『憲法 改訂』青林書院〈青林教科書シリーズ〉、1991年、119頁。
- ^ a b 阿部照哉 編『憲法 2 基本的人権(1)』有斐閣〈有斐閣双書〉、1975年、163頁。
- ^ “携帯テキストで男友達の自殺を助けたら「殺人」で有罪”. www.jlifeus.com. 2019年3月3日閲覧。
- ^ 堀・清水、1889年。
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