観葉植物 観葉植物の概要

観葉植物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/15 03:49 UTC 版)

オリヅルラン Chlorophytum comosum

概要

観葉植物は観賞植物の一種であり[3]、その多くは熱帯亜熱帯原産の植物である[1][2]。ただし、日本に自生する一部の温帯産植物も和物観葉植物として扱われている[2]

観葉植物は一般的に鉢物である[3]。主に屋内において、家庭などのほか、ホテルのロビーや美容室、飲食店などの店舗、オフィスなどに置かれる。花屋ホームセンターなどで入手可能である。また、商業目的で使用する場合は、リースする方法もある。

サボテンなど多肉植物も花卉より観葉寄りの存在だが、これらの大部分は日照不足に弱く戸外ないし温室等での栽培を必要とし、主に屋内栽培向けに発展した観葉植物とは取り扱いにも大きな差があることから別ジャンルとされる。サンセベリアは形態は多肉質だが、強光に弱い性状から主に観葉植物とされる。

観葉植物の歴史

古代において一年中緑を保つ植物は長寿や繁栄のシンボルとされ、実際に庭園に植栽されることも多かった。また、温帯地域でもいわゆる照葉樹林帯や硬葉樹林帯には葉の美しい植物が多く、古くから観賞の対象にされた。後者に位置する古代ギリシャではアカンサスなどの葉の美しさを愛でて栽培した。また前者に位置する日本でもサカキなどが宗教的に重要視され、江戸時代には、カエデのような樹木からオモトカンアオイマンリョウなど低木草本に至るまで葉の美しい植物を観賞することが盛んになり、多くの変異が集められた。それらは古典園芸植物といわれる。1799年にはすでにオモトの番付が出版されている。珍奇な品種には高価で取引されるものもあった。1827年には世界で初めての、葉変わり植物の専門書である「草木奇品家雅見(そうもくきひんかがみ)」が、次いで1829年には草木錦葉集が出版されている。もとより一般的な家庭でも軒にシノブを吊るしたりして緑の葉を楽しむなど、観葉文化は日本の都市に日常的に存在していたし、ハボタンはヨーロッパのキャベツが江戸時代の日本で観葉用に改良されたものである。

一方ヨーロッパでは大航海時代以降、世界を侵略、各地から植物も集められた。その中には熱帯産の植物も多く、葉の美しいものも温室の発達と共に栽培されるようになる。19世紀には産業革命の進展によりガラス材の大量生産が可能になることで温室が普及しはじめ、一方でプラント・ハンター達により厖大な種類の植物がもたらされ、熱帯産植物や高山植物の栽培が広まった。また一般の建築もガラスの多用により明るくなり、室内に長期間植物を置ける環境が整った。特にヴィクトリア朝ロンドンではスモッグのため都市環境が悪化し、室内に植物を置いて栽培する機運が高まった。この時はシダが特に愛好された。また幕末から明治維新にかけての頃の日本から、いくつかの葉もの園芸植物がもたらされ、観葉文化に拍車をかけたものと思われる。19世紀のフランスでは、カラジウムゼラニウムの葉の変化に注目して育種が始まった。これが西欧園芸における葉もの育種の始まりであると思われる。以後、主として室内において熱帯、亜熱帯産の葉の美しい植物を栽培することが盛んになり、こんにちに至っている。

観葉植物の管理

観葉植物の生育に適する温度は原産地や自生状況など植物の種類によって異なるほか、光、水、肥料などの個々の生育状況によっても異なる[1][2]。一般には日本の冬の気温は観葉植物の生育には低すぎるため加温や保温が必要である[1]。湿度は70% - 80%程度が好ましいとされているが乾燥に強い種類もある[1][2]

日光に関しても耐陰性の強い観葉植物と耐陰性の弱い植物があるが多くは半日陰を好む[1][2]

病害虫として、害虫では、カイガラムシアブラムシハダニなどが発生することがあるため防除する必要がある[1]。また褐斑病や炭そ病などにかかりやすいため予防が必要である[1]


  1. ^ a b c d e f g h 観葉植物シリーズ - 広島市植物公園(2021年8月12日閲覧)
  2. ^ a b c d e f 日本花普及センター編『フラワービジネスQ&A-花産業の基礎知識-』技報堂出版、1994年、52頁
  3. ^ a b 日本花普及センター編『フラワービジネスQ&A-花産業の基礎知識-』技報堂出版、1994年、43頁


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