絶滅 地質時代の絶滅

絶滅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/11 01:14 UTC 版)

地質時代の絶滅

地球の歴史を調べれば、時代によってさまざまな生物が生存していたことがわかる。これは言い換えれば、さまざまな生物が過去に絶滅してきたことを意味する。地質時代の時代区分は、基本的に化石資料によって決まっているので、時代区分でそういった生物の絶滅が起こっているわけである。ただし、それがその個体群の絶滅を意味するのか、進化によって形が変わったことを意味するのかは判断の難しいところではある。

さまざまな化石資料によると、そういった散発的な絶滅とは異なり、多くの分類群にまたがる、大規模な絶滅が起こった時代があることがわかっている。中生代白亜紀の末に恐竜が全滅したことは有名だが(K-T境界)、このとき、海中でもアンモナイトイクチオサウルスプレシオサウルスなど、多数の分類群が絶滅している。理由として、小惑星衝突説、被子植物繁茂説など諸説紛々としている。また、古生代ペルム紀末の大絶滅(P-T境界)は、それよりも規模の大きいものだったと言われる。原因は気候の大きな変動とも言われるが、詳細は不明な点が多い。

多くの動物化石に見られる傾向として、時間を追って次第に多様化し、たいていは大型化し、があればそれも立派になり、その頂点でその系統がほとんど死滅するような型がいくつもの分類群に見られる。テオドール・アイマーはこれを生物自身に一定方向へ進化する性質が生まれると、自分でも止められなくなり、絶滅に向かうのだと考え、「定向進化説」を唱えた。

有史以降における絶滅

有史以降の生物の絶滅は、人間の活動が原因となる場合が多い。特に大航海時代以降、人や物品の移動が大きくなってからは世界的な規模で起こるようになった。もっとも、西洋人の影響のないところでも、ニュージーランドジャイアントモアなどの鳥類が絶滅している。

絶滅に至る過程やその原因はさまざまである。直接の狩猟の対象となって全滅に至ったもの(ステラーダイカイギュウリョコウバトオオウミガラスなど)、害獣駆除などの名目で殺されたもの(フクロオオカミニホンオオカミなど)、ペット用に乱獲されたもの(ゴクラクインコミイロコンゴウインコなど)人間が持ち込んだ他種の生物の影響によるもの(ドードースティーブンイワサザイなど)、人間の影響で生息環境を壊されたもの(クニマス田沢湖個体群ガルハタネズミブランブルケイメロミスなど)などその理由はさまざまであり、また複合した原因によることも少なくない。もちろん原因不明のものも数多く存在する。野生ウマの一種ターパンは、生息地近くの牧場から家畜の雌ウマを連れて行き自分のものにした結果、害獣として殺されるとともに家畜ウマとの混血が進んで絶滅した。

海洋や独立した水系では、環境に特化した固有種により安定した生態系が維持されていることがあり、些細なきっかけで生態系のバランスが崩れる場合がある。他の場所から生物(特にネコネズミなど)が持ち込まれることで、在来の固有種がほとんど全滅に近い被害を受ける(あるいは本当に全滅する)場合があり、注意を要する。また、亜種レベルの差異ならば他の亜種との交配が可能であり、「自然を回復させる」との名目で他の場所から生物を持ち込むことは、多様性を失わせて亜種を消滅させることにもなりかねず、却って種の保全にはマイナスともいえる事態を引き起こす場合もある。

また、最近は伐採等による熱帯雨林の減少・細分化が顕著となっている。そこに生息する動植物については、研究が進むにつれて予想を遙かに超える多様性が指摘されていることから、その多くが知られることもなく絶滅しているのではないかと懸念されている。

島嶼生態学において

島嶼生物学では、絶滅は当然起こるべき現象と見なされる場合がある。マッカーサーとウィルソンは、島が小さく、島が離れているほど種数が少ないという現象を取り上げ、これを説明するためにどのような個体群もある確率で絶滅するのだと考えた。そして絶滅の確率には個体群の大きさが深く関わっており、これが小さいほど絶滅率も高くなるとしている。また、絶滅しないものは、当然そうなりにくいような適応をしているはずであるという点から、r選択やK選択の考えを提示し、これが後にr-K戦略説へと発展した。




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