精神障害者家族会 精神障害者家族会の概要

精神障害者家族会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/13 02:01 UTC 版)

概要

1950年代後半の日本において精神障害者が精神科病院を退院した後の受け入れ先となる社会資本が乏しく、元々障害者が属する家庭に委ねられることになった。家族が病気の知識を得る必要性が重要視され、病院側が家族に対して教育を行う目的で始められた活動である(病院家族会)。しかし家族に対する負担は重く、家族は孤立に陥りやすい状況であったために苦しみを分かち合う場が欲しいとの欲求が高まり地域家族会が誕生した。精神衛生法の改正に反対するために、各地に点在していた家族会を全国組織として連合することによって発言力を高めた[1]全国精神障害者家族会連合会、破綻後の全国精神保健福祉会連合会)。保健所による家族会育成への支援を受けるなかで全国各地に家族会の設立が広がっていった[2]

歴史

組織の種類

全国連合会組織

精神障害者の意見の代弁ではなく、精神障害者の家族の意見を国の政策に反映させる目的で結成された経緯がある[3]。かつては全国組織として、財団法人全国精神障害者家族会連合会(全家連)が存在していたが、2007年に破産し、解散した。2017年現在、全国連合組織は特定非営利活動法人全国精神保健福祉会連合会(略称・全福連、愛称・みんなねっと)である。

都道府県連合会組織

都道府県単位で連合会組織がある。

病院家族会・地域家族会・施設家族会

都道府県家族会連合会の下には、病院単位で組織された病院家族会と市町村保健所の単位で組織された地域家族会がある。 まず結成されたのは病院家族会で、結成は病院スタッフの力が大きかった。次に結成されたのが地域家族会で、ほとんどが市町村や保健所の職員の力で結成した[4]。他に施設家族会もあり、施設を基盤とするものである[2]。数は2013年4月時点において、全国に1,198団体があるとされる[2]

1969年ごろまでは病院家族会が主流であった。ひとつの会あたりの会員数は病院家族会の過半数は100人以上を擁している一方、地域家族会の約70%が50人未満である。財政面では、市町村とのつながりのある地域家族会のほうが行政援助を受けているので、会費が低くなっている。活動は行政、議会への陳情請願が多く、相談・学習、地域活動支援センターⅢ型(共同作業所。小規模作業所や単に作業所とも呼ぶ)の運営母体にもなっているところもある[5]

日本で最初の精神障害者家族会は、病院家族会では弘前精神病院(青森県弘前市、現・弘前愛成会病院)、茨城県立友部病院(茨城県笠間市)で結成され、地域家族会は舞鶴保健所(京都府舞鶴市)で結成された[6]


  1. ^ 精神障害者の家族支援についての文献研究 佐々木裕子 早川由美 2003年
  2. ^ a b c 精神障害者家族会の組織強化に関する一考察 山口弘幸 2018年
  3. ^ a b c 精神障害者家族会の組織と活動 滝沢武久 2010年2月14日閲覧
  4. ^ こころの病と家族のこころ 滝沢武久 中央法規出版 ISBN 9784805811665 p199-203
  5. ^ こころの病と家族のこころ 滝沢武久 中央法規出版 ISBN 9784805811665 p216
  6. ^ 霞ヶ関の犯罪「お上社会」腐蝕の構造 本澤二郎 リベルタ出版 2002年 p18 ISBN 9784947637772
  7. ^ 全国精神保健福祉会連合会・活動内容 NPO法人全国精神保健福祉会連合会 2010年10月8日閲覧
  8. ^ 「封印作品の謎」安藤健二 太田出版 ISBN 978-4872338874。医学的理由の出典は「続・差別用語」用語と差別を考えるシンポジウム実行委員会編 汐文社 ISBN 9784811300979である
  9. ^ 続・差別用語 用語と差別を考えるシンポジウム実行委員会編 汐文社 ISBN 9784811300979 p11
  10. ^ 続・差別用語 用語と差別を考えるシンポジウム実行委員会編 汐文社 ISBN 9784811300979 p10,p260-261
  11. ^ 『天上天下「病」者反撃!―地を這う「精神病」者運動』 「病」者の本出版委員会 社会評論社 ISBN 978-4784501397


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