毛布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/29 19:28 UTC 版)
特殊なブランケット
ウールを使ったものではないので、普通の意味でのブランケットではないが、シート状で形状的にはブランケットと似ていて何かを包むのでブランケットと呼ばれているものもある。
- エマージェンシーブランケット(英:space blanket, emergency blanket, etc.)– ビニール(プラスチック)のシートにアルミを蒸着したもの。ウールの毛布同様に体温保持目的で使うものであり、軽くて薄くて小さく折り畳め、邪魔にならず、いざとなったら広げて身を包めば、自分の身体からの放射がこのシートで反射され身体に返ってくるのでとても温かい。ウールと違い水を吸ってしまうことは無いので雨天でも使いやすい。たとえば登山者は念のため、遭難時にも生き延びられるように持参する。また天災発生時などに被災者にとりあえず緊急的に配るということも行われる。近年は百均でも売っている。
- ファイヤーブランケット(英:fire blanket) – 消火用の布。たいていはグラスファイバーを織った布である。
- 防弾ブランケット(英: bulletproof blanketあるいはbodyguard blanket) – ウールではなく防弾用の素材(たとえばケブラーの繊維[6])で織った織物。ボディーガードやSPなどが使う。警護対象者にかぶせることで銃撃から守ることができる。
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エマージェンシーブランケットの使用例
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ファイヤーブランケット
歴史的な逸話
ル・ブーダン
ル・ブーダン(仏・英:Le Boudin )は、フランス外国人部隊の軍歌兼行進曲の題名である。直接的には、フランス料理の一つである「ブーダン」、すなわちブラッドソーセージの一種を指す名称であるが、彼らにとっては自分たちに支給されていた青い毛布の愛称であった。兵士にとって欠かせないその毛布の、往時の携帯方法として、円筒状に巻いてカバーをし、背嚢(リュックサック)の上辺部に沿わせて縛り付けておくのが常であったが、円筒状に巻いたその形を豚の腸の詰め物であるブーダンになぞらえたわけである。
赤ゲット
幕末期に日本に毛布をもたらしたイギリスの貿易商は、赤い毛布を導入した。日本と同じくイギリスからみれば東国であるインドでは赤色が好まれたからである。これを戊辰戦争の兵士が防寒用に用い、明治時代になって一般市民も用いるようになり、「赤ゲット」と呼ばれるようになった。地方から上京する際に、この赤い毛布を角巻(四角い形をした毛布の肩掛け)のように身にまとう者が多く、そこから転じて「おのぼりさん(お上りさん;都会に出てきた田舎者)」や「田舎者」を指す言葉になり[7]、随筆などにおいては1970年代まで使われている[8]。赤ゲットをまとう「おのぼりさん」は、2019年(平成31年/令和元年)に放映されたNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』の第3話にも描かれた。主人公である金栗四三と親友・美川秀信はともに赤ゲットをまとった出で立ちで東京行きの汽車(蒸気機関車)に乗り込むが、ナレーションでも「(赤ゲットは)おのぼりさんの証である」と紹介された。
毛布と人間心理
英語で "security blanket"、日本語で「安心毛布」と呼ばれるのは、主に子供が、不安感を解消し安心感を得るために持ち運ぶモノ[9]を総じて比喩的に指すための心理学用語である。毛布や柔らかい布でできた人形類が、子供にこのように使われるモノの典型なのでこう呼ばれるようになった。漫画『ピーナッツ』の登場キャラクターであるライナス・ヴァン・ペルト(en:Linus Van Pelt)が肌身離さず毛布を持っていることから「ライナスの毛布」とも呼ばれる。(ライナス・ヴァン・ペルトが毛布を肌身離さず持っている絵は英語版記事 en:Linus Van Pelt に掲載されているので参照のこと。ちなみにライナスは指しゃぶり(en:Thumb sucking)もしており、これも子供が不安感をやわらげ安心感を得るためにする行為の典型である。)
- ^ a b c d e f 『繊維の百科事典』丸善 p.982 2002年
- ^ a b c 繊維総合辞典編集委員会『繊維総合辞典』繊研新聞社 p.586 2002年
- ^ Thomas Watters M.R.A.S. (1904) (English). On Yuan Chwang'S Travels In India, 629-645 A. D.. pp. 149 . ""The third group is the kambala. This word, which denotes “woollen cloth” and “a blanket”""
- ^ Turner, R. L. (1999) (英語). A Comparative Dictionary of the Indo-Aryan Languages. Motilal Banarsidass Publishe. pp. 139. ISBN 978-81-208-1665-7
- ^ “Sanskrit Dictionary”. sanskritdictionary.com. 2022年2月5日閲覧。
- ^ [1]
- ^ “赤ゲットとは”. コトバンク. 2020年12月24日閲覧。
- ^ “その65 「赤ゲット」は、こうして残った。”. 株式会社三省堂 辞書ウェブ編集部 (2009年4月29日). 2020年12月24日閲覧。
- ^ [2]
- ^ 日立デジタル平凡社『世界大百科事典』第2版. “ブランケット湿原”. コトバンク . 2023年1月11日閲覧。
- ^ “Bedfordia arborescens Hochr.” (英語). Global Biodiversity Information Facility (GBIF). 2023年1月11日閲覧。
毛布と同じ種類の言葉
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