梅木真美
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 06:46 UTC 版)
大学時代
4月からは環太平洋大学へ進学した[19]。いくつもの大学へ出稽古に行った中で環太平洋大学は一番きつかったことから、当初は絶対行きたくないと思っていた。しかしながら、母親から「どうせやるなら一番きついところでやるのがいいんじゃない」とアドバイスを受けたことや、総監督である1992年バルセロナオリンピック71 kg級金メダリストである古賀稔彦に「俺と一緒に世界一になろう」と口説かれたことで、環太平洋大学で古賀や監督の矢野智彦の指導を受けることに決めた[3][4][20]。
1年の4月には選抜体重別に出場するが、初戦でコマツの佐藤瑠香に技ありで敗れた。6月には優勝大会の決勝で山梨学院大学と対戦すると、大将戦で3年生の井上愛美に払腰で敗れたものの、チームメイトである4年生のヌンイラ華蓮らが勝利したことでチームは優勝した。7月にロシアのカザニで開催されたユニバーシアードでは準決勝でハンガリーのヨー・アビゲールに有効で敗れるが、3位決定戦でドイツのマイケ・ツィーヒを横四方固で破って3位になった。9月の全日本ジュニアでは淑徳高校1年の浜未悠を崩上四方固で破って3連覇を達成した。学生体重別では広島大学3年の重永聡美を合技で破って優勝した。10月の学生体重別団体では決勝で東海大学と対戦すると、高校の先輩である3年の瀬川直莉を大内刈で破るなど4戦全て一本勝ちしてチームの優勝に貢献した。11月の講道館杯では準々決勝で岡村に小外掛で敗れるが、その後の3位決定戦で西田を三角絞で破って3位になった。2014年2月のヨーロッパオープン・ローマでは決勝でイギリスのナタリー・パウエルを払腰で破るなどオール一本勝ちで優勝した[2]。
2年の4月には選抜体重別に出場するが、準決勝で岡村に技ありで敗れた。6月の優勝大会では決勝で前年に続いて山梨学院大学と対戦するが、大将戦で井上と引き分けに終わるなどしてチームも2位にとどまった。7月のグランドスラム・チュメニでは準決勝でアメリカのケイラ・ハリソンに有効で敗れると、3位決定戦でも岡村に有効で敗れて5位に終わった。9月に韓国の仁川で開催されたアジア大会では初戦で薛京(北朝鮮)と対戦するが、会場全体が薛京を応援する異様な雰囲気の中で力を出し切れず技ありを取られて敗れたものの、その後の3位決定戦でモンゴルのバトトゥルガを上四方固で破って3位になった[3]。アジア大会の5日後に開かれた学生体重別では、決勝で帝京大学3年の赤嶺麻祐を小外掛で破って2連覇を成し遂げた[21]。10月の学生体重別団体では準々決勝で帝京科学大学と対戦するが、大将戦で3年生の谷村美咲に合技で敗れてチームも5位に終わった。11月の講道館杯では決勝まで進むと、予てより目標にしてきた高校の4年先輩で元世界2位である了徳寺学園職員の緒方亜香里を指導2で破って初優勝を果たした[22][23]。12月のグランドスラム・東京では初戦で韓国のパク・ユジンに指導2で敗れた。2015年2月のヨーロッパオープン・オーバーヴァルトでは決勝で自衛隊体育学校の濱田尚里を釣込腰で破って優勝した[24]。
3年になると、4月の選抜体重別では準決勝で三井住友海上の高山莉加に大内刈で敗れて3位に終わるものの、実績を考慮された上で世界選手権代表に選ばれた[3][25][26]。全日本選手権では準々決勝でミキハウスの山部佳苗に足車で敗れて5位だった。5月のアジア柔道選手権では決勝で薛京をGSに入ってから崩上四方固の一種三角固[27][28][29] で破るなどオール一本勝ちして優勝を飾った[30]。6月のグランプリ・ブダペストでは準々決勝でハリソンに指導1で敗れると、その後の3位決定戦でもドイツのルイーゼ・マルツァンに大腰で敗れて5位だった。優勝大会では3回戦で筑波大学と対戦すると、大将戦で藤原に有効で勝つもチームは敗れた[3]。8月にカザフスタンのアスタナで開催された世界選手権では予想外の活躍で決勝まで進むと、スロベニアのアナマリ・ベレンシェクをGSに入ってから横四方固で一本勝ちして優勝を飾った。IJFワールド柔道ツアーの対象大会であるグランドスラムやグランプリでは一度も3位以内に入ったことさえなかったにもかかわらず、IJFワールド柔道ツアー最上位の世界選手権に初出場で勝利を収めることになった。大会後の優勝インタビューでは、「優勝の瞬間は世界一の実感がなかったけど、金メダルを取れてうれしい。寝技に持ち込んだらしつこく攻めようと思っていた。スタミナには自信があった。」と語った。また、今大会で毎試合前に入念な戦略を授けていた古賀は、「(梅木の愛称である)猛牛が『闘牛』になりましたね」とコメントした[8][20][31][32][33][34]。9月には世界選手権で優勝したことにより、出身地の九重町から町民栄誉賞が贈られることになった[35]。さらには県民栄誉賞にあたる県賞詞も贈られた[36]。10月の体重別団体では準々決勝で帝京大学と対戦して勝利するも、チームは敗れて5位にとどまった[2]。 12月のグランドスラム・東京では準々決勝で2014年の世界チャンピオンであるブラジルのマイラ・アギアルに上四方固で一本勝ちするも、準決勝でハリソンに指導1で敗れると、3位決定戦でも世界選手権決勝で破ったベレンシェクに有効で敗れて5位にとどまり、自身21回目の誕生日を勝利で飾ることはできなかった[37]。2016年2月のグランドスラム・パリでは2回戦でモンゴルのプレブジャルガル・ルハムデグドに技ありを取られて敗れた[38]。
4年の時には4月の選抜体重別の準決勝で先輩の緒方に指導1で敗れて3位に終わったものの、実績で2016年リオデジャネイロオリンピック代表には選出された[39][40]。代表決定後の会見では、「金メダルを取れるように、自分の力をしっかり発揮してきたいです。前に出て勝ちにいきます」とコメントした[41][42]。 5月にはグランドスラム・バクーに出場するが、準決勝でオランダのフーシェ・ステーンハイスにGSに入ってから指導を取られて3位にとどまった[43][44]。続いてワールドマスターズにも出場予定だったが、左膝内側側副じん帯損傷のため出場を取り止めた[45]。迎えた8月のリオデジャネイロオリンピックでは初戦となる2回戦でハンガリーのヨーから指導2と有効を取られると、更に終了間際にも有効を追加されて完敗し、日本代表で唯一1勝もできずにオリンピックの舞台を去ることになった[46]。この結果に柔道を辞めたくなったが、周囲の支えもあって立ち直ることができたという[4]。10月には体重別団体に出場すると、決勝の東海大学戦で一本勝ちするなどして、チームの優勝に貢献した[47]。12月のグランドスラム・東京では準決勝で佐藤に有効で敗れて3位だった[48]。2017年2月のグランプリ・デュッセルドルフでは決勝でフランスのマドレーヌ・マロンガと対戦すると技ありを先取されるが、その後、逆転勝ちするなど、今大会を得意の寝技、すべて横四方固で一本勝ちして優勝を飾った[49][50]。
- ^ “UMEKI MAMI overview”. IJF (2019年7月15日). 2023年6月26日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 「柔道全日本強化選手名鑑 2022」近代柔道 ベースボールマガジン社、2022年4月号
- ^ a b c d e f g h 「解体新書 梅木真美」近代柔道 ベースボールマガジン社、2015年7月号、30-33頁
- ^ a b c d e f g 著名な柔道選手インタビュー 梅木真美
- ^ 広報ここのえ 2月号
- ^ 【柔道】世界ジュニア 女子・梅木(阿蘇中央高)が初出場 熊本日日新聞 2011年10月27日号
- ^ 総体優勝の梅木真美さん、九重町長に報告 大分合同新聞 - 2010年08月22日
- ^ a b 20歳の「猛牛」梅木真美、女子78キロ級初頂点 日刊スポーツ 2015年8月29日
- ^ ようこそ先輩~梅木真美選手来校
- ^ 梅木オール1本1年女王/総体柔道 日刊スポーツ 2010年8月13日
- ^ a b 阿蘇、得意の寝技で初制覇果たす サンケイスポーツ 2011年7月23日
- ^ 梅木真美強い!阿蘇が初優勝 日刊スポーツ 2011年7月23日
- ^ 阿蘇有終 現校名で最後の大会 女子初V 選手、監督 高らかに校歌 西日本新聞 2011年7月25日
- ^ 王子谷ら日本勢が3階級制覇 日刊スポーツ 2011年11月7日
- ^ 「世界ジュニア選手権 2011」近代柔道 ベースボールマガジン社、2011年12月号 40頁
- ^ 県北の高校でもセクハラ 日常的暴力で"指導" 山鹿のホテルでラブラブか 熊本県民新聞 2011年10月
- ^ 女生徒と同室で就寝の教諭ら、熊本県教委が処分 読売新聞 2011年11月9日
- ^ a b 「第34回全国高等学校柔道選手権大会」近代柔道 ベースボールマガジン社、2012年5月号
- ^ 女子柔道部|体育会|IPU・環太平洋大学
- ^ a b 【世界柔道】古賀秘蔵っ子・梅木、初出場で快挙の金 スポーツ報知 2015年8月29日
- ^ a b 「全日本学生体重別選手権」近代柔道 ベースボールマガジン社、2014年11月号
- ^ 17歳阿部が初優勝=朝比奈は連覇-講道館杯柔道 時事通信 2014年11月8日
- ^ a b 梅木、高校の先輩倒して頂点「ずっと目標にしていた」/柔道 サンケイスポーツ 2014年11月8日
- ^ 78キロ超級の田知本愛と78キロ級の梅木が優勝/柔道 サンケイスポーツ 2015年2月16日
- ^ 海老沼、中矢ら選出=世界選手権代表-柔道 時事通信 2015年4月5日
- ^ 女子柔道部・梅木真美選手が世界代表に
- ^ “2015年アジア選手権大会(クウェート) 大会結果(15.5.13-15)”. 全日本柔道連盟 (2015年5月14日). 2019年7月20日閲覧。
- ^ 全日本柔道連盟(AJJF)は決り技は「三角固」で発表している。IJFで「三角固」といえば腕挫三角固だがAJJFでは三角絞を掛けながらの崩上四方固をよくこの技名で発表している。また、実際には薛京は「参った」をしているがAJJFの判断は絞技三角絞(横三角絞)ではなく抑込技三角固となった。
- ^ Asian Championships Seniors 2015 / Final -78 kg DPR Korea SOL,Kyong VS Japan UMEKI,Mami (YouTube). スイス ローザンヌ: 国際柔道連盟. 15 May 2015. 2019年7月20日閲覧。
- ^ 梅木、長島、高木が優勝 柔道アジア選手権 日刊スポーツ 2015年5月15日
- ^ 梅木真美、金メダル獲得…世界柔道78キロ級 読売新聞 2015年8月28日
- ^ 世界柔道・談話 時事通信 2015年8月28日
- ^ 梅木、初出場で金!20歳の“モー娘”が快挙達成! スポーツニッポン 2015年8月29日
- ^ World Championships 2015, Astana
- ^ 柔道・梅木選手に町民栄誉賞授与へ 世界選手権初Vで九重町 大分合同新聞 2015年9月3日
- ^ 世界柔道 78キロ級V梅木に県賞詞 大分合同新聞 2015年9月10日
- ^ 世界女王の梅木、誕生日飾れず「実力不足。悔しい」/柔道 サンケイスポーツ 2015年12月6日
- ^ Paris Grand Slam 2016 - France DAY 2
- ^ 女子78キロ級は本命・梅木が後退「自分の力不足」/柔道 デイリースポーツ 2016年4月2日
- ^ 柔道五輪代表に近藤亜美、松本薫、大野将平ら発表 日刊スポーツ 2016年4月3日
- ^ 【リオ五輪代表会見コメント集】田知本「チャンピオンになって帰ってきたい」 サンケイスポーツ 2016年4月4日
- ^ 松本、五輪連覇は挑戦「開き直った」柔道代表が全階級“金”へ意気込み
- ^ 山部が優勝=柔道グランドスラム 時事通信 2016年5月9日
- ^ Baku Grand Slam 2016 - Azerbaijan
- ^ 女子78キロの級梅木 左膝順調に回復「大丈夫」 スポーツニッポン 2016年7月28日
- ^ 女子78キロ級・梅木真美が無念の初戦敗退「まだまだ実力不足」と号泣
- ^ リオ五輪初戦敗退の梅木、覇権奪回に貢献「東京五輪へ前向いて頑張る」/柔道 サンケイスポーツ 2016年10月30日
- ^ Judo Grand-Slam Tokyo 2016
- ^ 梅木、オール一本勝ちで優勝 決勝は「内容も良かった」/柔道 サンケイスポーツ 2017年2月27日
- ^ 満足そうな梅木=柔道GP 時事通信 2017年2月27日
- ^ 阿部が男子66キロ級連覇=女子78キロ超級は16歳の素根-選抜体重別柔道 時事通信 2017年4月1日
- ^ 柔道世界選手権代表 19歳の阿部が初出場へ NHK 2017年4月2日
- ^ 女子は朝比奈、梅木らが優勝 男子は長沢がV/柔道 サンケイスポーツ 2017年5月21日
- ^ 女子78キロ級の梅木は銀=世界柔道 時事通信 2017年9月2日
- ^ Grand Slam Tokyo 2017
- ^ Gold Medals, Good Judo and Fairplay
- ^ 平成30年全日本選抜柔道体重別選手権大会
- ^ 高山初V シード3人にオール一本勝ち 西日本新聞 2018年4月7日
- ^ 旭化成、3年ぶり17度目V 全日本実業団体/柔道 サンケイスポーツ
- ^ 柔道女子78キロ級で梅木V グランプリ大会 日本経済新聞 2018年8月13日
- ^ Budapest Grand Prix 2018, Hungary – Day three
- ^ 第48回全日本実業柔道個人選手権大会
- ^ 平成30年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会
- ^ ウルフが男子100キロ級優勝=女子78キロ級は佐藤が制す-柔道GS大阪 時事通信 2018年11月25日
- ^ 素根、梅木らV 柔道マスターズ大会 産経新聞 2018年12月16日
- ^ World Masters Guangzhou 2018
- ^ Grand Slam Paris 2019
- ^ 平成31年全日本選抜柔道体重別選手権大会
- ^ 女子78キロ超級で素根V 柔道GP、原沢久喜2位 日本経済新聞 2019年7月29日
- ^ Grand-Prix Zagreb 2019
- ^ 梅木が女子78キロ級連覇=男子は原田ら初V-講道館杯柔道 時事通信 2019年11月2日
- ^ 2019年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会
- ^ 梅木 逆転一本勝ちで優勝 世界女王・浜田倒した!「焦らず冷静に戦えた」 スポーツニッポン 2019年11月25日
- ^ 柔道グランドスラム大阪2019
- ^ 原沢久喜が優勝、ウルフ2位 影浦3位/柔道 サンケイスポーツ 2019年12月14日
- ^ World Masters Qingdao 2019
- ^ 影浦、リネール破るも2位 女子70キロ級の大野優勝―柔道GSパリ 時事通信 2020年2月10日
- ^ Grand Slam Paris 2020
- ^ 柔道東京五輪代表、新たに12選手 全柔連強化委で決定 産経新聞 2020年2月27日
- ^ 東京五輪 柔道 大野や阿部詩など男女合わせて12人代表内定 NHK 2020年2月27日
- ^ 2020年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会
- ^ 永山、朝比奈らが補欠に 東京五輪の日本代表/柔道 サンケイスポーツ 2020年11月2日
- ^ 第35回皇后盃全日本女子柔道選手権大会
- ^ 梅木真美、得意の寝技でV 4試合全て一本勝ち/柔道 サンケイスポーツ 2020年3月7日
- ^ Grand-Slam Tashkent 2021
- ^ 2021年全日本選抜柔道体重別選手権大会
- ^ 朝比奈、志々目ら選出 柔道世界選手権 時事通信 2020年4月3日
- ^ 元世界女王の梅木が銅 世界選手権/柔道 サンケイスポーツ 2021年6月12日
- ^ World Judo Championships Hungary 2021
- ^ 村尾、冨田ら優勝 柔道GS 時事通信 2022年2月7日
- ^ Paris Grand Slam 2022
- ^ 2022年全日本選抜柔道体重別選手権大会
- ^ 第37回皇后盃全日本女子柔道選手権大会
- ^ 冨田ら世界選手権代表に 柔道女子 時事通信 2022年4月17日
- ^ 世界代表の飯田健太郎は5位 梅木真美が優勝/柔道 サンケイスポーツ 2022年6月26日
- ^ Ulaanbaatar Grand Slam 2022
- ^ 女子78キロ超級 素根復帰V 五輪女王の貫禄 体落としで一本 スポーツニッポン 2022年8月7日
- ^ Asian Senior Championships 2022 (Individuals and Teams)
- ^ Tokyo Grand Slam 2022
- ^ 増山香補が体調不良で欠場、梅木真美は3位 GS/柔道 サンケイスポーツ 2023年2月19日
- ^ 2023年全日本選抜柔道体重別選手権大会
- ^ 柔道リオ五輪代表の梅木真美、体重無差別で初の日本一「優勝したかった」78キロ級が最重量級に寝技で大逆転 デイリースポーツ 2023年4月23日
- ^ 第38回皇后盃全日本女子柔道選手権大会
- ^ 冨田が優勝 柔道GS 時事通信 2023年6月25日
- ^ Ulaanbaatar Grand Slam 2023
- ^ 梅木は3位 柔道GS 時事通信 2023年9月24日
- ^ グランドスラム東京2023
- ^ Paris Grand Slam 2024
- ^ 2024年全日本選抜柔道体重別選手権大会
- ^ World ranking list
- ^ 【柔道】世界ジュニア 女子・梅木(阿蘇中央高)が初出場 熊本日日新聞 2011年10月27日
- ^ 柔道女子梅木 巻き返し誓う 欧州OPへ出発 西日本新聞 2015年2月12日
- 梅木真美のページへのリンク