方向微分 定義

方向微分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/08 07:13 UTC 版)

定義

あるベクトル

に沿った、スカラー関数

の方向微分は、極限

として定義される関数である[1]

関数 fx において微分可能であるなら、任意のベクトル v に沿った方向微分が存在し、

が成立する。ここで、右辺の 勾配を表し、ドット積を表す[2]。任意の点 x において、f の方向微分は、直感的には、ある速度と、v によって与えられるある方向によって動く時の、f の時間に関する変化率を表す。

何人かの研究者は、方向微分を正規化を施した後のベクトル v に対して定義しており、その場合その絶対値は考慮から外される。すると、

であるか、あるいは fx において微分可能である場合には、

が成立する。この定義には、いくつかの不利な点がある。すなわち、その定義はベクトルのノルムが定義され、ゼロでない場合においてのみ適用されるということである。この定義は、物理学や工学など、数学と異なるいくつかの分野において用いられる概念とは相入れないものとなるが、単位距離ごとの f の増加率を知りたい場合には、用いられるべきものである。

表記法

方向微分には、次のようないくつかの表記法がある:

性質

通常の微分に対して成立する有名な性質の多くは、方向微分に対しても成立する。以下に述べる性質は、ある点 p において微分可能であり、その点の近傍において定義されるような任意の関数 f および g に対して、成立する:

  1. 和の法則英語版
  2. 定数倍の法則英語版:任意の定数 c に対し、
    が成立する。
  3. 積の法則(あるいはライプニッツの法則):
  4. 連鎖律g が点p において微分可能であり、hg(p) において微分可能であるなら、
    が成立する。

  1. ^ R. Wrede, M.R. Spiegel (2010). Advanced Calculus (3rd edition ed.). Schaum's Outline Series. ISBN 978-0-07-162366-7 
  2. ^ 技術的に言うと、勾配 f余ベクトルであり、ドット積はベクトル v 上のこの余ベクトルの動きである。
  3. ^ J. E. Marsden and T. J. R. Hughes, 2000, Mathematical Foundations of Elasticity, Dover.





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