斤 斤の概要

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/18 03:28 UTC 版)

斤(きん)
catty

3斤の食パン
尺貫法
質量
SI

604.8 g(シンガポール
604.78982 g(香港マカオ
600 g(日本台湾
500 g(中華人民共和国

340 g(日本 食パン
定義 16両(日本・古代中国・台湾・香港・マカオ・シンガポール)
10両(中華人民共和国)
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マレー語ではカティ (kati) という。これは英語に入りカティー (catty) となり、各国の斤を表す。

日本

日本では、通常は1斤=16=160とされる。

明治4年(1871年)5月、新貨条例公布の際、当初は1戔(匁)=3.756 574グラムとされたが、同年9月に訂正されて、1戔(匁)=3.756 521グラムと定められた。この換算値は度量衡取締条例(明治8年(1875年)8月5日太政官第135号達)にも引き継がれた。その後、1891年(明治24年)3月24日(法律第3號)公布の度量衡法第5條において、換算の便宜のため、1匁=(正確に)3.75グラムとされた。したがって、1斤 = 160匁 = (正確に)600グラムとなった。

これとは別に、計量するものによって各種の「斤」が使用され、別名があった。

名称 グラム
山目(やまめ) 15.625両 250匁 937.5 g
白目(しろめ) 14.375両 230匁 862.5 g
大和目(やまとめ) 12.500 200匁 750.0 g
唐目(からめ) 10.000 160匁 600.0 g
英斤(えいきん) 07.500 120匁 450.0 g

舶来品に対しては、1ポンド(453.6グラム)に値が近い120匁(450グラム)を1斤とし、これを英斤(えいきん)と呼んだ。

現在の日本では「斤」は、食パンの計量の単位としてのみ使われている。これはパンが英斤を単位として売買された歴史に由来する。ただし、1斤として売られたパンの質量は時代とともに少なくなった。現在、公正競争規約は、食パンの1斤=340グラム(以上)と定めている[1][2]

2010年に改定された常用漢字表では、当初、使用頻度の低い度量衡の単位の漢字である「」「」とともに「斤」の字も削除候補となっていたが、2008年6月に出された第2次案で「斤」のみ削除候補から外された[3]

中国

代の斤は、現在よりずっと少なく、226.67グラムと推定されている[4]を参考のこと。

南北朝時代には南朝では変化が少なかったのに対し、北朝で1両の質量が増大した。代には、従来の両と、その3倍の両の2種類が定義され、のちに前者を小称両、後者を大称両と呼んだ。唐代以降は大称両のみが使われた。1斤 = 16両の関係は変わらなかったので、1斤の質量も増大した。唐の1斤は、西安市何家村出土の質量を記した金銀器から[5]、約680gと推定されている。

朝の標準とされた庫平両は清滅亡後の1915年に596.816グラムと定義された。国民革命後の1929年に定められた市制では、メートル法を元に1斤(市斤)=500グラムという切りのいい数値に改められた。

中華人民共和国1959年、従来の1斤(市斤)=16両を1斤=10両に十進化したが、1斤=500グラムの換算は保たれた。

近代の中国ではキログラムにも「斤」の字を宛てたため、市制の斤(市斤)と区別するために「公斤」という。


  1. ^ 農林水産省「食パンの一斤の定義はどのように決められているのですか。」2008年
  2. ^ 包装食パンの表示に関する公正競争規約
  3. ^ 「常用漢字表」見直しの動き” (PDF) (2008年9月6日). 2021年3月21日閲覧。
  4. ^ 小泉袈裟勝 『歴史の中の単位』、p.254、総合科学出版、1974年11月10日発行
  5. ^ 素面双耳提梁銀鍋”. 中国考古(中国社会科学院考古研究所). 2014年10月1日閲覧。 (中国語)
  6. ^ 度量衡令 付表


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