広場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/25 00:10 UTC 版)
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欧州の広場
歴史
古代ギリシアでは紀元前8世紀頃に小部族ごとに居住していたギリシャ人が散在する平野ごとに集住するようになった[1]。集落がポリス(都市国家、国家共同体)に成長すると、中心にアゴラと呼ばれる広場が形成されるようになった[1]。
また、古代ローマでは紀元前6世紀に王、元老院、市民集会の三権分立体制をとる共和政国家が成立したが、兵士の役割の増大により平民の政治的要求が高まり、市民が活動するための公共領域がフォーラム(フォルム、フォロ)を中心に強化された[1]。
街路や広場の計画などの都市計画で比較すると、ギリシャでは自然の地形に沿った形態が尊重されたのに対し、ローマでは整地して整形の広場を設ける傾向があり大通りが交差する地点に3対2の大きさの広場が設けられることが多かった[1]。
広場の機能
- 散策や休憩をしたり、知り合いと会話を交わす都市における憩いの場
- 市民集会の場:広場は都市の本質そのものであるとも言われ、民主的世論が形成される場であると主張する者もいる[2]。
- 政治的・宗教的な儀式や行事が行われる場、権力者の権威を示す場(中世ヨーロッパなどで公開処刑が行われることがあった)
- 戦勝の記念(世界の勝利広場)
広場の分類
広場は宗教的広場、政治的広場、商業的広場などに分類される[3]。
- 宗教的広場
- ルネサンス期またはそれ以前の広場の多くは何らかの形で教会建物と関連して形成された[3]。バロック期の広場には中心に象徴的に教会が建てられる例が多くみられる[3]。
- 政治的広場
- 古代に政治、司法、商業の中心地として建設され、広場の周囲は柱廊で張り巡らされ、さらに大聖堂、神殿、公共建築物などが取り囲んでいる広場[3]。
- 商業的広場
- 古代の遺構を再利用した建物などに取り囲まれ、食料品市場、ジャズフェスティバルなどの各種イベントに利用されるオープンスペースとして利用されている広場[3]。
日本の広場
定義
国土交通省の「都市計画運用指針」 [4] では公園、緑地等とともに公共空地として、次のとおりに扱っている。
広場とは、主として歩行者等の休息、鑑賞、交流等の用に供することを目的とする公共空地である。
①規模
エ 都市の象徴又は記念の目的に供する場所あるいは都市景観の向上に著しい効果が認められる場所 — 国土交通省、都市計画運用指針
広場は、広場を設置する目的、利用者の行動、周辺の土地利用等を勘案し、適切な規模とすることが望ましい。
②配置
広場は、次の項目の一に該当するような場所に配置することが望ましい。
ア 周辺の建築物の用途が、おおむね商業施設、業務施設、文教厚生施設、官公庁施設である地区
イ 観光資源等が存在し、多数人が集中する地区
ウ 交通の結節点あるいは多数人が利用する都市施設の近傍又は歩行者の多い道路の沿道
形態
交通広場と駅前広場
上記「都市計画運用指針」ではその他交通施設として通路とともに交通広場というものがあり、次の事項をとりあげている。
交通広場の計画
- 交通広場の位置
- 交通広場の規模、構造等
- 交通広場の立体利用
なお、その他交通施設とは「都市計画に定める都市施設の種類については、法第11条及び令第5条において定められているが、その他交通施設として、空港、軌道(都市高速鉄道に該当するものを除き、路面電車は含まれる。)、通路(道路に該当するものを除く。)、交通広場(道路、広場に該当するものを除く。)が考えられるので、必要に応じ都市計画に定めることが望ましい。」とし、3.交通広場(1)に、交通広場の都市計画の考え方 を示している。
交通広場は交通施設と都市計画道路との結節点であり、交通の集中発生量が多く、これらを円滑に処理するだけではなく、都市の玄関として美観施設を備えた幹線街路つまり広場型の道路である。駅前にある場合は特に駅前広場と呼ばれるが、これは交通広場である。駅前広場は、道路に附属する交通広場として決定する都市施設であり、交通のニーズにあった充分な空間や機能の確保を図るとともに、都市の「顔」としてのシンボル性、オープンスペースとしての役割にも配慮した整備を進める必要があるが、駅前広場をはじめとする交通結節施設は、異種の交通機関を相互に連絡し、多様な交通需要に対応した体系的な交通サービスを提供する拠点である。
以下は駅前広場の例
- 北彩都あさひかわ#旭川駅周辺土地区画整理事業
- 新宿駅西口地下広場 - 新宿駅西口地下一帯の送迎車乗降部分を含む歩行者空間
- 新橋駅駅前広場「SL広場」
- 富士山せせらぎ広場 - 静岡県富士宮市にある駅前広場
- つくば駅駅前広場・つくばセンター広場
- 姫路駅前広場・サンクンガーデン - 兵庫県姫路市
- サンポート高松 - 高松駅前広場・多目的広場
- 那覇新都心交通広場・おもろまち駅おもろまち交通広場 沖縄県那覇市おもろまち4丁目
ウィキメディア・コモンズには、日本の駅前広場に関するカテゴリがあります。
境内
日本では寺社の境内が近世以前からオープンスペースとして機能していた[3]。中世には自治活動の中心となり、時には一揆の拠点ともなった[3]。また、境内では芸能の興行も行われ農民の娯楽の場所にもなっていた[3]。
ポケットパーク
ポケットパークは都市計画法にも定められている小規模公園で、集合住宅やバス停などの脇、複数の道で区画された小角地などに整備されている[3]。
橋詰広場
橋詰とは、橋のたもとを指す。都心に立地する橋では、橋詰めに生じる空間に広場を整備し、景観的に好立地である橋の特色を活用した空間整備の試みが積極的に行われている。東京の日本橋は、1980年(昭和55年)の修繕時に景観整備として4箇所の橋詰めに広場が新設された。橋詰めの地盤を掘り下げて広い大理石のテラスにし側面からも橋が眺められるようになり、また水を滝のように流す壁泉を造り、樹木を配置し、夜間はライトアップされて、演奏会や観光のための人力車による橋巡などのイベントも行われている。
広場公園
日本では建設省都市局が、1980年(昭和55年)にモデル事業として広場公園事業をスタートさせている。主として商業・業務系の土地利用が行われる地域において都市の景観の向上、周辺施設利用者のための休息等の利用に供すること、にぎわいの創出や市民の休息、鑑賞に資するために、市街地の駅周辺に配置する公園。繁華街の中に担保性のある広場を設けるのがねらい。横浜市の開港広場や埼玉県川口市の樹モール・コミュニティプラザなどがある。 モデル事業初年度につくられたものは、開港広場記念公園のほかに、千葉市に吾妻広場公園、新港市に末広広場公園、金沢市に片町広場公園、長野市に買物広場公園、神戸市にゆけむり公園、である。
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広場の評価
ニューヨークのパブリックスペース・プロジェクトは、「最良」の公共の場として、世界中の広場のなかから60の広場を選んだ[5]。選出された広場は、極めて異なる文化圏に点在しているにもかかわらず、共通する要素が見られるという[5]。それは、アーケードあるいは広場の隅にそれに見合う休憩所があること、適度な広さであること(広すぎず、狭すぎないこと)、感覚的に心地よいと感じる序列があることである[6]。
- ^ a b c d “広場の利用・管理に関する研究会報告書”. 公益財団法人 都市計画協会. 2020年6月14日閲覧。
- ^ アントネッラ・アンニョリ 著、萱野有美 訳『知の広場 : 図書館と自由』みすず書房、2011年、90頁。
- ^ a b c d e f g h i 山田謙弌. “人が中心となる広場のデザイン手法の研究”. 景観・デザイン研究講演集 No.1. 2020年6月14日閲覧。
- ^ “都市計画運用指針”. 国土交通省. 2016年9月22日閲覧。
- ^ a b アントネッラ・アンニョリ 著、萱野有美 訳『知の広場 : 図書館と自由』みすず書房、2011年、92-93頁。
- ^ アントネッラ・アンニョリ 著、萱野有美 訳『知の広場 : 図書館と自由』みすず書房、2011年、93頁。
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