宇宙世紀の施設と地名 火星

宇宙世紀の施設と地名

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/07 22:14 UTC 版)

火星

漫画『機動戦士ガンダムF90』(1990-1991年)では、宇宙世紀0121年のオリンポス山内部に、最後のジオン残党軍[57]である火星独立ジオン軍「オールズモビル」の基地があり、連邦軍第13独立機動艦隊との戦闘(第一次オールズモビル戦役)の舞台となる。

『F90』ではほかに火星の施設は登場しないが、小説『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者 エゥーゴの蒼翼』の後日譚(最終話、2013年)には0095年にマリナー・シティと呼ばれる植民地が登場する。また、火星は旧世紀にはテラフォーミングが期待され、植民がもっとも有望視されていたが、スペース・コロニーの開発によりメリットが薄れ、火星の開発はごく一部にとどまっている。それでも、ジオン共和国の資本投入が続いているとされる。『F90』では宇宙世紀0121年の第一次オールズモビル戦役において「人類初の異星での戦闘作戦を展開[58]」とされており、『エゥーゴの蒼翼』後日譚にも火星が「まだ一度も戦争になったことがない場所」とある。

漫画『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』および雑誌・ウェブ企画『A.O.Z Re-Boot』(2014年-)では、0089年と0091年における火星のジオン残党「レジオン」と「ジオンマーズ」らの戦いが描かれる。また、同作品では宇宙世紀直前からの火星の歴史も設定され、一年戦争終結後から火星に落ち延びたジオン残党による戦乱があったとされている。

漫画『機動戦士ガンダムF90 ファステストフォーミュラ (F90FF)』の関連年表では、0068年にジオン・ズム・ダイクンが死亡してジオン共和国の首相となったデギン・ソド・ザビが、同年にアステロイド・ベルトでの独自資源開発と同時に火星の開発も開始したとされる。また0087年には、ジュピトリスの帰還をもって惑星開発計画の規模縮小が決定し、火星植民計画が中止されたとされる[59]

雑誌『月刊OUT』のパロディ企画「機動戦士Oガンダム」では、第2部の舞台となっている。

オリンポス山

『F90』では前述の通り、オールズモビルが火山内部に基地を建設しているが、これは40年も前(宇宙世紀0080年代)に計画されていた地球侵攻作戦当初からおこなわれていたとされる[58]。その軍備はナヴィ曰く「コンペイトウの火星版」。最終兵器である「オリンポス・キャノン」は火山の超高圧蒸気で岩塊を射出、さらに電磁誘導によって加速させる。80トン以上の岩塊を射出可能であり、コロニーレーザーと同等の破壊力をもつとされる[58]。合計8,000トン近い砲弾で地球を襲う予定であったが、初弾で連邦軍第13独立機動艦隊旗艦「アドミラル・ティアンム」を撃沈するものの、動力炉の欠陥が判明する。そしてその後の発射の際には、圧力に耐えられず基地とともに完全崩壊している[58]

『エゥーゴの蒼翼』の後日譚では、0095年にはジオン共和国系の資本によってマス・ドライバーが建造中とされる。また『F90FF』関連年表では、同年にマス・ドライバー基地化計画が開始されたとしている[59]

『くろうさぎのみた夢』では、0091年にはレジオンの本拠地となっており、火山の熱をパイプラインで北極の氷河に送り溶けた水で作られた湖の中央に巨大な塔が建っている。しかし、ジオンマーズとティターンズ残党による「輝ける星」作戦により塔は崩壊する。

マリナー・シティ

『エゥーゴの蒼翼』の後日譚が初出。0095年における火星最大の植民地で、植民後数十年が経過しているとされる。

名称は初の火星探査機を由来とする。当時の人口は5万人弱。比較的低緯度のアマゾニア低原に位置し、豊富な湧出量を誇る温泉がある、挨拶はアラビア語が浸透しているが、理由は不明。高さ200メートル程度の支柱が数千本立ち並び、透明な天井と壁を支えており、この巨大な温室構造体は「ラッピング構造体」と呼ばれる。鉛や亜鉛、銅などの鉱物資源の採掘・輸出による利益を支柱の建設費に充ててシティを拡大している。発電施設は、ジムジムIIに近代化改修する際に生じた熱核反応炉の余剰品を安く買い取ったものが使用されている。

『くろうさぎのみた夢』では、0150年代の同市にある学校の様子が描かれる。建国60周年記念の「再起動祭」のパレードの準備をおこなっているとされる。

アルカディア

『くろうさぎのみた夢』に登場する火星都市。0091年時点で唯一の植民都市とされており、『エゥーゴの蒼翼』後日譚のマリナー・シティの設定とは異なる。「アルカディアシティ」または「サイドA(アルカディア)」とも呼ばれる。

スペース・コロニーと同時期に建設されるが、宇宙世紀に移行して地球圏の発展とともに忘れられた存在となる。一年戦争終結以降、ジオン公国軍残党のキシリア派である「ジオンマーズ」とギレン派である「レジオン」による覇権争いが繰り広げられる。グリプス戦役終結後の宇宙世紀0088年、ジオンの後継者を名乗るアリシア・ザビがティターンズ残党を率いてレジオンに参入、「インレの翼」を投入してジオンマーズを壊滅状態に追いやり、レジオンを建国する。

アルカディア平原

『くろうさぎのみた夢』では大工業プラントがあり、火星都市アルカディアが一定の独立自治をたもてるのはここの工業力のためとされる。オリンポス火山の熱源と、北極の氷河の水源をパイプラインで繋いでエネルギーとしている。

フォボス

火星の第1衛星。『エゥーゴの蒼翼』後日譚の0095年には宇宙港があり、火星の玄関口となっている。ここでシャトルに乗り換えて火星を往来する。

『くろうさぎのみた夢』では、0089年のチェスター宇宙艦隊の攻撃によって宇宙港が破壊され、0091年時には閉鎖中となっている。


注釈

  1. ^ 小説版『UC』では「袖付き」がその奇襲を事前に想定し[36]、戦力の95パーセントを暗礁宙域に秘匿している[37]

出典

  1. ^ a b 富野由悠季『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』(初版)角川書店角川文庫〉、1988年2月20日、25-32頁。ISBN 4-04-410109-4 
  2. ^ ガンダム大事典 1981, p. 137.
  3. ^ ガンダムの常識一年戦争編3 2011, p. 94-96.
  4. ^ 劇中で具体的な描写がされていないが、富野由悠季監督が『アニメック』のインタビューで「ズバリ、山陰地方」と明言している。(『機動戦士ガンダムの常識 一年戦争編』双葉社、2008年5月27日、78頁。 
  5. ^ a b 小説版『機動戦士Ζガンダム』第3巻101ページ。
  6. ^ a b 富野由悠季『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』(初版)角川書店角川文庫〉、1988年2月20日、66頁。ISBN 4-04-410109-4 
  7. ^ 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 劇場版』学習研究社別冊アニメディア〉、1988年4月10日、86頁。 
  8. ^ 富野由悠季『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』(初版)角川書店角川文庫〉、1988年2月20日、206,279頁。ISBN 4-04-410109-4 
  9. ^ 劇中でグレミーは、カラバではなくエゥーゴと言っている
  10. ^ テレビ版『機動戦士Ζガンダム』第35-36話。劇場版では、本エピソードはカットされている。
  11. ^ U.C.ENGAGE Twitter 2023.
  12. ^ 『機動戦士ガンダムΖΖ』第27、28話より。
  13. ^ 「機動戦士ガンダム台本全記録」日本サンライズ「モビルスーツバリエーション」講談社・等
  14. ^ 『機動戦士ガンダム』第29話「ジャブローに散る!」5:55、6:10
  15. ^ 『機動戦士ガンダム オレら連邦愚連隊』4巻・5巻
  16. ^ アナハイム・ラボラトリー・ログ【第5回】 第3話:MS新時代に向けた飛翔① - 矢立文庫、2017年3月23日、2017年3月29日閲覧。
  17. ^ 『機動戦士ガンダムUC』より。
  18. ^ 『機動戦士ガンダムUC メカニック&ワールド ep 4-6』双葉社、2013年5月、30頁。
  19. ^ 『機動戦士ガンダムUC メカニック&ワールド ep 4-6』双葉社、2013年5月、109頁。
  20. ^ 夏元雅人 (2009). GUNDAM LEGACY 2. 角川書店. p. 105-172頁. ISBN 978-4-04-715163-5 
  21. ^ 機動戦士ガンダム 戦略戦術大図鑑』56-58頁。
  22. ^ 第42話冒頭で、ルー・ルカは鉱山隕石と呼んでいる。
  23. ^ 「刻に抗いし者 エゥーゴの蒼翼1巻 126頁。(ISBN 978-4048864329)
  24. ^ a b c UCカトキアーカイブス 2010, p. 72.
  25. ^ UCメカ&ワールドep1-3 2012, p. 122.
  26. ^ a b c d 小説UC4 2008, p. 68-69.
  27. ^ 小説UC4 2008, p. 144.
  28. ^ a b c d e f g 小説UC4 2008, p. 30-34.
  29. ^ 小説UC4 2008, p. 84.
  30. ^ 小説UC4 2008, p. 133.
  31. ^ a b c MSバイブル50 2020, pp. 30–33.
  32. ^ 小説UC4 2008, p. 165.
  33. ^ MSバイブル50 2020, pp. 3–4.
  34. ^ 小説UC4 2008, p. 174.
  35. ^ ジオン公国大解剖 2021, p. 91.
  36. ^ 小説UC4 2008, p. 94.
  37. ^ 小説UC4 2008, p. 188.
  38. ^ 小説UC5 2008, p. 75.
  39. ^ 小説『機動戦士ガンダムUC』
  40. ^ TV版第4話中盤、シャア襲撃直後のブライトの発言より。
  41. ^ TV版第4話、ルナツー襲撃前のシャアとドレンの会話より。
  42. ^ 漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、ワッケインの階級は少将に格上げされている。
  43. ^ 『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』では地球上のトリントン基地に核兵器貯蔵庫が存在したが、トリントン基地とルナツーの両方に核兵器が保管されているのか、デラーズ紛争以後に核兵器保管施設がトリントン基地からルナツーに変更されたのかは不明である。
  44. ^ a b 「美術設定で触れるリギルド・センチュリーの世界」、『ガンダム Gのレコンギスタ メカニック&ワールド』32頁、双葉社。
  45. ^ 『同様の小規模基地は複数存在するらしく、作戦のデコイとして宇宙船が複数の地点及び月面から一斉にサイド3に向けて発進された。
  46. ^ 漫画『機動戦士ガンダム エコール・デュ・シエル』6巻
  47. ^ マスドライバーによる資材の打ち出しは基本的に直線軌道で到達できる範囲にしかできないため、裏側にあたる位置にあるサイド3にはマスドライバーによる輸送は不可能である。
  48. ^ テレビ版『機動戦士ガンダム』第24話、第36話、第39話、第40話に登場。
  49. ^ 『機動戦士ガンダムΖΖ』第20話、第21話より。
  50. ^ 機動戦士Ζガンダム』第23話、トーレスの発言より。同話の最後には、史実と同様、1969年に到達したとのナレーションが入る。
  51. ^ a b 『機動戦士Ζガンダム』、第23話-第24話より。
  52. ^ 皆川ゆか 編『機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALSサンライズ講談社、2001年。ISBN 978-4-06-330110-6 
  53. ^ OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』、第6話-第7話より。
  54. ^ 映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』より。
  55. ^ 電撃EBザンスカール戦争編下 1994, p. 52.
  56. ^ 富野由悠季 編『アベニールをさがして』ソノラマ文庫朝日ソノラマ、1995年。ISBN 978-4-25-776726-8 
  57. ^ 『週刊ガンダム・モビルスーツ・バイブル 第11号』31-33p
  58. ^ a b c d DC8 F91 1998, p. 85-91.
  59. ^ a b ガンダムエース09 2022, p. 234-236.
  60. ^ 小説版『機動戦士ガンダムΖΖ』第一部 ジュドー・アーシタ 74P





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