奈良岡朋子 来歴・人物

奈良岡朋子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/16 08:39 UTC 版)

来歴・人物

東京府東京市本郷区駒込(現:東京都文京区)で生まれる。東京府立第一高等女学校(現・東京都立白鷗高等学校・附属中学校)在学中の1945年に父の故郷である青森県弘前市へ疎開し、青森県立弘前中央高等学校を卒業。

1951年女子美術大学洋画科を卒業する[5]。「女優にならなければ医者になろう、と学生時代は考えていた」と『人生は三百六十五歩のマーチ』(BSフジ2020年3月7日放送)のゲストトーク内で話している[出典無効]

大学在学中[5]1948年、民衆芸術劇場付属俳優養成所に1期生で入所し、同年の『女子寮記』の寮生役が初舞台となる。

1950年劇団民藝創設に参加し、旗揚げ公演の『かもめ』に小間使役で出演[6]

1954年の『煉瓦女工』で初めて主役を演じ、『イルクーツク物語』のワーリャ役、『奇跡の人』のサリバン役などに出演し、劇団の中堅女優として活躍した。

宇野重吉滝沢修の死後は大滝秀治と劇団共同代表を務め、法人の代表権は大滝が持ち奈良岡は取締役を担った。大滝の没後は劇団と法人の代表を務めていた。

2005年から2006年にかけ、『ドライビング・ミス・デイジー』で無名塾仲代達矢と共演を果たした。

舞台の他、「舞台の合間に受けられる仕事なら」との条件でテレビドラマや映画にも出演。橋田壽賀子脚本作品にはナレーターとして頻繁に起用されていた(『おんな太閤記』『渡る世間は鬼ばかり』などの例外もある)。また、橋田の盟友である石井ふく子プロデュース作品にも演者・ナレーターとして起用されていた。

洋画吹替えでは、ジャンヌ・モローキャサリン・ヘプバーンを担当した。

父の影響で幼い時から絵筆に親しんでいた[7]。しかし、大学在籍中の奈良岡が民衆芸術劇場付属俳優養成所を受験して合格したことに対して、父は快く思わず「役者を目指すと宣言した時、愛用の絵の具を父親に取り上げられた。趣味で絵をやるのはオレが許さんという訳だったのでしょう」とスポーツニッポンの取材に明かしたこともあった。[要出典]愛煙家でもあり、大好きなパチンコが趣味でもあった。

晩年は、原爆投下後の広島を描いた井伏鱒二作『黒い雨』の朗読劇をライフワークとした[4]

2023年3月23日午後10時50分、肺炎のため、東京都内の病院で死去[3][8]。93歳没。生涯独身だった[4]。葬儀は同月26日に近親者のみで執り行われ、で劇団民芸演出家である丹野郁弓が喪主を務めた。なお、故人の意向によりお別れの会は執り行われなかった。


注釈

  1. ^ ノンクレジット。

出典

  1. ^ 「演劇界」『現代日本新人物事典 : 大臣からファッション・モデルまで 1956年度版』近代社、1955年、450頁。 
  2. ^ 『新劇便覧』テアトロ、1965年、296頁。 
  3. ^ a b 奈良岡朋子さんが死去、93歳…劇団民芸代表・新劇界を代表する演技派」『讀賣新聞オンライン』、2023年3月29日。2023年3月29日閲覧。
  4. ^ a b c d e “評伝・奈良岡朋子さん 生涯独身、晩年は戦争を語り継ぐ”. 産経ニュース (産業経済新聞社). (2023–03–29). オリジナルの2023年3月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230329093657/https://www.sankei.com/article/20230329-57KXSX4JD5ONFMAUGMTAVLLNYI/ 2023年3月30日閲覧。 
  5. ^ a b 日外アソシエーツ現代人物情報(利用には会員登録が必要)[要文献特定詳細情報]
  6. ^ 女優の奈良岡朋子さん死去 93歳、知的な演技派”. 産経ニュース (2023年3月29日). 2023年4月20日閲覧。
  7. ^ 竹内正年『日本映画人名辞典 女優編<下巻>』、株式会社キネマ旬報社、1995年、302頁。
  8. ^ a b 訃報:劇団代表の奈良岡朋子が逝去致しました”. 劇団民藝 (2023–03–29). 2023年3月29日閲覧。
  9. ^ “俳優の奈良岡朋子さん死去 93歳 ドラマや映画などで活躍”. 首都圏 NEWS WEB (日本放送協会). (2023–03–29). オリジナルの2023年3月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230329101833/https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230329/1000091046.html 2023年3月29日閲覧。 
  10. ^ “「宇野さん、昔のデコじゃないですよ」「杉村先生とももう一度…」奈良岡朋子さん生前メッセージ”. 読売新聞 (読売新聞社). (2023–03–29). オリジナルの2023年3月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230329104643/https://www.yomiuri.co.jp/culture/20230329-OYT1T50207/ 2023年3月29日閲覧。 
  11. ^ a b c d e f g h i “奈良岡朋子さん、広い交友関係 黒澤監督、裕次郎さん、ひばりさん…大御所・スターに可愛がられ慕われ”. スポーツニッポン (スポーツニッポン新聞社). (2023–03–30). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/03/30/kiji/20230330s000413H4115000c.html 2023年3月30日閲覧。 
  12. ^ “杉村春子 「女優は岡惚れしてなきゃ」 100周年記念企画「100年の100人」”. 文藝春秋デジタル (文藝春秋). (2021–12–27). https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h3082 2023年3月30日閲覧。 
  13. ^ “名優・奈良岡朋子さんが死後に公表するため遺したメッセージ。感動的な内容に黒柳徹子も感服”. テレ朝POST. (2023年7月30日). https://post.tv-asahi.co.jp/post-224534/ 2023年8月1日閲覧。 
  14. ^ 大賞は片岡仁左衛門が受賞 「第23回読売演劇大賞」が発表に”. シアターガイド (2016年2月4日). 2023年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月5日閲覧。
  15. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 91, 「『怪談』作品解説/俳優名鑑」
  16. ^ 東宝特撮映画全史 1983, p. 538, 「主要特撮作品配役リスト」
  17. ^ “松たか子が沢田研二の恋人役、「土を喰らう十二ヵ月」追加キャスト発表”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2022年2月17日). https://natalie.mu/eiga/news/465948 2022年2月17日閲覧。 
  18. ^ 白い墓標の影に - NHK名作選(動画・静止画) NHKアーカイブス
  19. ^ ”. NHK. 2021年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月7日閲覧。
  20. ^ 「ラヴ・レターズ」岡本健一&奈良岡朋子が11年ぶりに登場、溝口琢矢&仙名彩世ペアも”. ステージナタリー. 株式会社ナターシャ (2021年12月24日). 2021年12月24日閲覧。
  21. ^ 日本演劇協会 編『年刊ラジオドラマ 第3集』《第3集》宝文館、1955年、298頁。 
  22. ^ 遠野物語をゆく〜柳田國男の風景〜第1部”. NHK (2021年11月23日). 2021年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月28日閲覧。
  23. ^ 遠野物語をゆく〜柳田國男の風景〜第2部”. NHK (2021年11月30日). 2021年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月28日閲覧。
  24. ^ "ドキュメンタリー「奈良岡朋子 〜俳優、75年の旅」放送決定のお知らせ". NHK. 2023年4月20日. 2023年5月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月5日閲覧


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