天保暦 使用期間

天保暦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 05:09 UTC 版)

使用期間

天保15年[注 2]1月1日(1844年2月18日)に寛政暦から改暦され、明治5年12月2日(1872年12月31日)まで約29年間使用された。

明治6年(1873年)1月1日、グレゴリオ暦太陽暦)に改暦されるも、明治42年(1909年)まで官暦(伊勢神宮から発行された本暦や略本暦)に記載されていた[1]

概要

渋川景佑らが西洋天文学の成果を取り入れて完成させた暦で、実施された太陰太陽暦としてはそれまでで最も精密なものである。天文学者の平山清次の計算によれば、平均太陽年が365.24219日・平均朔望月が29.530589日に対して、天保暦の太陽年は365.24223日・朔望月は29.530588日であり、グレゴリオ暦の太陽年の365.2425日よりも誤差が小さいことが確かめられている(『暦法及時法』)。

寛政暦までは、二十四節気を1年間を等分(時間分割)して計算する平気法が使用されていた。天保暦では太陽の位置を計算し、天球上の太陽の軌道を24等分(空間分割)して二十四節気を求める定気法を採用した。

しかし定気法の採用によって置閏法閏月の置き方)がかえって複雑になったという批判もある。実際、定義通りに運用すると2033年には九月の次が十一月になってしまうという問題が生じる(旧暦2033年問題)。また中国や西洋の流れに反して不定時法を暦法において公式に導入したことに関しても強い批判がある。

朔から次の朔の前日までの29日あるいは30日を1か月とし、黄経330度の雨水を含む月を一月、以下各中気を含む月を二月、三月…とする。中気をまったく含まない月は閏月となる。

季節 節月 中気 黄経 グレゴリオ暦
一月 雨水 330度 2月19日ごろ
二月 春分 0度 3月21日ごろ
三月 穀雨 30度 4月20日ごろ
四月 小満 60度 5月21日ごろ
五月 夏至 90度 6月21日ごろ
六月 大暑 120度 7月23日ごろ
七月 処暑 150度 8月23日ごろ
八月 秋分 180度 9月23日ごろ
九月 霜降 210度 10月23日ごろ
十月 小雪 240度 11月22日ごろ
十一月 冬至 270度 12月22日ごろ
十二月 大寒 300度 1月20日ごろ

太陽暦への改暦

明治5年11月9日(1872年12月9日)、突如として太陽暦への改暦の布告が明治天皇詔書太政官布告337号によって行われた。

そのため布告された翌月の12月が、わずか2日となり、その翌日が明治6年(1873年)1月1日(太陽暦)となることを知らされた当時の人々の間に、混乱が生じた。

改暦に伴う混乱の詳細は、「明治改暦」の項目を参照のこと。


注釈

  1. ^ なお明治維新の際、陰陽頭土御門晴雄が太陽暦導入に反対して太陰太陽暦に基づく改暦を企図したが、晴雄の急逝により計画が中止されたため、天保暦に代わる太陰太陽暦への改暦は実施されなかった。
  2. ^ 改暦の年月日を、「弘化元年1月1日」としている場合もあるが、天保15年は、12月1日(1845年1月8日)までで、弘化元年は、12月2日(1845年1月9日)に改元される。しかし、改元が布告された時点でその年の元日にさかのぼって新元号の元年と見なす場合(改元#種類を参照)があり、改暦を「天保15年」とする文献と、さかのぼって「弘化元年」とする文献があるので注意が必要である。
  3. ^ 2015年の場合、2月2日に発行された「官報」第6463号の25ページ〜26ページに「平成28年(2016)暦要項」が「告示」(=掲載)されている。
  4. ^ 「暦要項」は、「国民の祝日」、「日曜表」、「二十四節気および雑節」、「朔弦望」、「東京の日出入」、「日食・月食など」などの各節から構成されている。
  5. ^ 中国では現在も公的に太陰太陽暦である時憲暦がメンテナンスされており、これを基準として春節が祝われる。

出典

  1. ^ 岡田芳朗 著『暦に見る日本人の知恵』
  2. ^ 理科年表 2014年版「旧暦2033年問題について」暦75(75p) - 同76(76p)など。詳細については「旧暦2033年問題」を参照のこと。
  3. ^ 日本カレンダー暦文化振興協会






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