大田市
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/05 00:36 UTC 版)
歴史
大田市の大半は、旧安濃郡と旧邇摩郡である。ただし、大田市祖式町、大代町新屋・大家(新屋地区、大家本郷地区、北佐木地区の一部)はかつての邑智郡、大田市山口町山口・佐津目は昔の出雲国(旧簸川郡)にあたる。
神話の地
大田市の東部にある三瓶山は、古くは「佐比売山」と呼ばれ『出雲国風土記』の国引き神話において、「火神岳」(大山)とともに島根半島を引き寄せて繋ぎ止めた杭であるという。
石見銀山
市域西部の大森は、戦国時代から江戸時代にかけて日本最大の銀山とされた石見銀山の地でもある。
1526年、大内氏の支援によって博多の豪商の神屋寿禎が開発に成功した。その後、大内氏やその後継である毛利氏と出雲の尼子氏の間で銀山争奪戦が繰り返された。江戸時代には幕府直轄領(天領)となり、石見銀山領が置かれた。江戸期にほぼ掘り尽し、1920年代には完全に閉山した。
2007年、「石見銀山遺跡とその文化的景観」として世界遺産に登録された。
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龍源寺間歩内部。
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清水谷精錬所跡。
平成の大合併
2001年10月設置の大田市・邇摩郡合併問題合同研究会、2002年9月設置の大田市・温泉津町・仁摩町合併任意協議会を経て2003年1月に大田市・温泉津町・仁摩町合併協議会が設置され[3]、合併特例法の期限であった2005年3月末までの合併を目指して協議を始めた[4]。新市の名称については公募の後、協議会での投票により「石見銀山市」が最終候補となった[5]。後は協議会で「石見銀山市」に決定するのみであったが大田市で反発があり、決定を先送りした[5]。「大田市」を求める大田市議会と「石見銀山市」を求める温泉津町議会・仁摩町議会で対立し、1市2町の首長と議長による6者協議会に持ち込まれた[6]。最終的に、新市の名称を「大田市」とし、石見銀山遺跡の世界遺産登録時に「石見銀山市」の是非について検討することで妥結した[7]。新市名称をめぐる混乱により協議などが遅れ、当初の目標から遅れて2005年10月1日に合併が実現した[7][8]。また市名を再検討する条件から市章は当面新たに制定せず、暫定的に旧大田市章を使うこととした[9]。
2007年7月の石見銀山遺跡の世界遺産登録後、9月に市名問題検討特別委員会を設置し市内の団体の代表からの意見聴取などを行った[10][11]。意見聴取では、変更には経費がかかることや市名が定着していることなどを理由に24人中19人が変更に否定的であった[10][12]。特別委員会、市議会を経て2008年1月に市名を変更しないと決めた[12]。なお、市章については旧大田市章を引き続き使用することを確定した[12]。
年表
- 1963年(昭和38年)4月10日 - 三瓶山が大山隠岐国立公園に編入される。
- 1991年(平成3年)
- 3月3日 - 仁摩サンドミュージアムが開館。
- 10月19日 - 島根県立三瓶自然館サヒメルが開館。
- 2007年(平成19年)7月2日 「石見銀山とその文化的景観」が世界遺産に登録される。
- 2018年(平成30年)4月9日 島根県西部地震により1,000軒以上の建物が被害を受けた[13]。
行政区画の変遷
おおだし 大田市 | |
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廃止日 | 2005年(平成17年)10月1日 |
廃止理由 |
新設合併 大田市(旧)、邇摩郡温泉津町、仁摩町 → 大田市(新) |
現在の自治体 | 大田市(新) |
廃止時点のデータ | |
国 | 日本 |
地方 | 中国地方(山陰地方) |
都道府県 | 島根県 |
面積 | 332.67km2. |
総人口 |
32,776人 (推計人口、2005年9月1日) |
隣接自治体 | 出雲市、邇摩郡温泉津町、仁摩町、邑智郡川本町、美郷町、飯石郡飯南町 |
大田市役所 | |
所在地 | 島根県 |
ウィキプロジェクト |
- 1954年(昭和29年)1月1日 - 安濃郡大田町・久手町・川合村・鳥井村・長久村・波根東村・邇摩郡久利村・静間村が合併して大田市が発足した。島根県下で5番目の市制施行となった。
- 1954年(昭和29年)4月1日 - 安濃郡朝山村・佐比売村・簸川郡山口村および安濃郡富山村の一部(大字山中・才坂地および神原の一部)を編入。
- 1956年(昭和31年)9月30日 - 邇摩郡大森町・五十猛村・大屋村および邑智郡祖式村の一部(大字祖式)を編入。
- 1957年(昭和32年)12月31日 - 邑智郡川本町の一部(大字新屋・大家本郷)を編入。
- 1958年(昭和33年)11月1日 - 邑智郡川本町の一部(大字北佐木の一部)を編入。
- 2005年(平成17年)10月1日 - 邇摩郡温泉津町・仁摩町と合併し、改めて大田市(第2次)が発足。
- ^ “くじらご飯 島根県”. 農林水産省. 2024年1月17日閲覧。
- ^ “大田 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2024年3月21日閲覧。
- ^ 「大田市・温泉津町・仁摩町合併協議会を設立」『大田市・温泉津町・仁摩町合併協議会だより』創刊号、大田市・温泉津町・仁摩町合併協議会事務局、2003年2月、2頁、 オリジナルの2005年7月29日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「第一回合併協議会を開催」『大田市・温泉津町・仁摩町合併協議会だより』創刊号、大田市・温泉津町・仁摩町合併協議会事務局、2003年2月、3–4、 オリジナルの2005年7月29日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b 「“迷走”する新名称(しまねの市町村合併・最前線:1)」『朝日新聞』朝日新聞社、2004年3月16日、朝刊 島根、29面。
- ^ 「法定協の開催延期 大田市の合併協」『読売新聞』読売新聞大阪本社、2004年11月6日、大阪朝刊 島根、31面。
- ^ a b 筆谷慶三「新名称は「大田市」、来年10月1日誕生--大田・温泉津・仁摩合併協」『毎日新聞』毎日新聞社、2004年11月6日、地方版 島根、21面。
- ^ 「県内の市町村21に 新・浜田市、新・大田市、吉賀町が誕生」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年10月2日、朝刊 大阪島根全県、28面。
- ^ 「大田市、新市章当面作らず 浜田市は旧デザイン継続」『読売新聞』読売新聞大阪本社、2006年3月3日、大阪朝刊 島根、31面。
- ^ a b 中村正夫「市名「大田市」で決着へ 特別委「住民の意見尊重」 20日に議会報告」『朝日新聞』朝日新聞社、2007年12月18日、朝刊 大阪島根全県、28面。
- ^ 船津健一「「石見銀山市」問題:再び幻に 市名問題検討特別委、「大田市のまま」と結論」『毎日新聞』毎日新聞社、2007年12月18日、地方版 島根、21面。
- ^ a b c 「大田市存続を市長が表明 市名変更問題、完全に決着」『読売新聞』読売新聞大阪本社、2008年1月17日、大阪朝刊 島根、29面。
- ^ 「島根県西部地震発生から1週間 建物被害1000件超 復旧課題」『山陰中央新報』、2018年4月17日。2018年4月21日閲覧。
- ^ “農研機構について/組織概要”. 農研機構. 2020年2月3日閲覧。
- ^ 「砂時計」のロケ地を巡る旅 2020年2月3日閲覧
固有名詞の分類
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