吾輩は猫である
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派生作品、影響を受けた作品
本作を原作として1936年と1975年に映画化されている。(吾輩は猫である (映画)を参照のこと)
多くのパロディ小説も生まれた。『吾輩ハ鼠デアル』(1907年(明治40年)9月刊)、『我輩ハ小僧デアル』(1908年3月刊)などである。三島由紀夫も少年時代(中等科1年)に『我はいは蟻である』(1937年)という童話的な小品を書いており、「我はいは暗い暗い部屋の中で生れ出た。」という幼虫からの書き出しで始まり、変身前の自分を「うじ」と呼んで嫌う人間どもを「人間とは可笑しな動物」と言い、蛹から蟻になった「我はい」が重いビスケットを背負ってそれを舐めて美味しかったエピソードなどが描かれている[9][10]。
2006年代には宮藤官九郎の脚本で昼帯テレビドラマ『吾輩は主婦である』がTBSで放送された。(これは"夏目漱石が乗り移った主婦"が繰り広げるホームコメディ、だったとのこと[11])
2019年には演出家ノゾエ征爾による『吾輩は猫である』が東京芸術祭2019で上演された(これは夏目漱石の作品を下敷きにしつつ、大胆に換骨奪胎し、総勢80名弱のキャストで新基軸の劇世界を作ったものとのこと[12])
映像化作品
映画
2度映画化された。1936年版と1975年版がある。
テレビドラマ
- こども名作座『吾輩は猫である』(NHK)
- 放送日時:1963年3月24日
- 『ふたりは夫婦』第19回「わたくしは細君」~「吾輩は猫である」より~(フジテレビ)
- 放送日時:1975年2月17日(55分1回)
テレビアニメ
- 日生ファミリースペシャル『吾輩は猫である』(1982年、フジテレビ系)[14]
- 制作:フジテレビ、東映動画
- 製作:今田智憲
- 企画:栗山富郎(東映動画)、久保田栄一 (フジテレビ)
- 企画コーディネーター:大橋益之助 (大坂電通)
- 脚本:大原清秀
- 演出:りん・たろう
- 撮影:岡芹利明
- キャラクターデザイン:はるき悦巳(猫)、小松原一男(その他)
- 作画監督:小松原一男
- 美術監督:椋尾篁
- 出演者
- 主題歌・エンディング「ベストフレンド」 作詞 - 長田弘 / 作曲 - 森田公一 / 編曲 - 青木望 / 歌 - 上野博樹
フィルムコミック
- 日生ファミリースペシャル『吾輩は猫である』サンケイ出版名作コミックス(上・下)1982年8月5日
まんが
- 『吾輩は猫である』夏目漱石 作・尾崎秀樹 監修・緒方都幸 漫画、旺文社〈旺文社名作まんがシリーズ A1〉、1985年。ISBN 4-01-023401-6。
- 『吾輩は猫である』夏目漱石 作・バラエティ・アートワークス 企画・漫画、イースト・プレス〈まんがで読破〉、2010年。ISBN 978-4-7816-0347-6。
その他
- 宜志政信によるうちなー口翻訳 『吾んねー猫どぅやる』新報出版,『吾んねー猫どぅやる 完結編』新星出版
注釈
- ^ 『吾輩は猫である』の内容が『牡猫ムルの人生観』に影響を受けているかについては、影響を受けているとする藤代素人、秋山六郎兵衛、板垣直子らの論と、着想を得たのみで内容にまでは影響を受けていないとする吉田六郎、石丸静雄らの論とが混在する。漱石自身は影響を受けていないと述べている。
- ^ 丸谷才一が仙台文学館の初代館長になった井上ひさしに電話をかけ、19世紀初頭によく読まれた『ポピー・ザ・リトル』という俗小説が、子犬が上流から下流階級まですべてを見て回りその見聞を猛烈な社会批判にしているという内容で、漱石がこれを知って『吾輩』を書いたと考えられると言った。すると東北大学の漱石文庫にはないが、これを評価したTHE ENGLISH NOVEL(Walter Raleigh)があるので、何らかの印がないか学芸員に見てきてもらえないかとひさしは依頼した。翌日、学芸員が確認すると、『ポピー・ザ・リトル』の項に、はっきりと線が引かれていた(笹沢信『ひさし伝』新潮社 2012年 pp.390f.)。
- ^ 第1回、第2回の連載号は完売し、夏目の「坊つちやん」と同時掲載となった第10回掲載号は5,500部を発行するに至る。これは総合雑誌「中央公論」と同程度であった。
- ^ Samuel Haughton "On Hanging Considered from a Mechanical and Physiological Point of View" (The Internet Archive) 寺田寅彦 『夏目先生の追憶』に紹介の経緯が書かれている。寺田は「レヴェレンド(Reverend、日本語の「師」にあたる聖職者の尊称)・ハウトン」としているが、正確には、サミュエル・ホートンen:Samuel Haughtonである。 論文の概要については、寅彦の弟子である中谷宇吉郎の 『寒月の「首縊りの力学」その他』を参照。
出典
- ^ “50 【我が輩は盗作である】『我が輩は猫である』をはじめて読んだ”. 猫哲学. 2016年6月3日閲覧。
- ^ 伊藤整は新潮文庫版『吾輩は猫である』の解説において、「しかしこういう筋の発展のない小説を十一回にもわたって漱石が確信をもって書いたということは、彼が『トリストラム・シャンディーの生涯と意見』のような小説があることを知っていたことから来ていることは明らかである。」と記した(p.609、2004)。
- ^ 丸谷才一『思考のレッスン』文春文庫、p.203、2012。
- ^ a b c d e 『週刊YEARBOOK 日録20世紀』第85号 講談社、1998年、27-29頁
- ^ “神田お散歩MAP 夏目漱石の碑”. 株式会社ライト. 2017年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年4月23日閲覧。
- ^ 坂本宮尾「この道をかくゆく ―近代女性俳人伝 (2)」俳壇36巻2号135頁
- ^ “名前はないが日本一有名な「吾輩(わがはい)」のモデルだった“”(「春秋」日本経済新聞2014年9月13日)。
- ^ “漱石文庫関係文献目録” (PDF). 東北大学附属図書館. 2012年11月25日閲覧。
- ^ 決定版 三島由紀夫全集〈補巻〉補遺・索引. 新潮社. (2005年12月isbn=978-4106425837)pp.19-20
- ^ “三島由紀夫文学館**新資料紹介”. 三島由紀夫文学館. 2009年2月26日閲覧。
- ^ TBS公式サイト、吾輩は主婦である
- ^ 東京芸術祭2019「吾輩は猫であるについて」
- ^ 引田惣弥『全記録 テレビ視聴率50年戦争―そのとき一億人が感動した』講談社、2004年、220頁。ISBN 4062122227
- ^ “吾輩は猫である - メディア芸術データベース”. mediaarts-db.bunka.go.jp. 2022年12月17日閲覧。
- ^ 三四郎 (1920). それからの漱石の猫. 東京: 日本書院
- ^ 三四郎 (1997). 續吾輩は猫である. 東京: 勉誠社
- ^ 『続吾輩は猫である 復刻』 。
- 1 吾輩は猫であるとは
- 2 吾輩は猫であるの概要
- 3 素材
- 4 書誌情報
- 5 派生作品、影響を受けた作品
- 6 関連作品
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