中村文弥 来歴

中村文弥

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/28 06:49 UTC 版)

来歴

1963年(昭和38年)、演劇を志し、17歳で東京小劇場に入る[2]。その後、劇団ふじへ移籍し、同劇団で講師を務めていた殺陣師の大野幸太郎と出会う[2]

1964年(昭和39年)、大野率いる大野剣友会に立ち上げから参加[2]。大野に師事、立ち回りなどを習う。

大野剣友会では、剣技に関して群を抜く腕前で、高橋一俊と共に殺陣の指導をするまでになった。剣友会のもと、舞台や各種アトラクション、テレビドラマに関わる[2]

1969年(昭和44年)、23歳。『柔道一直線』(TBS)で役者デビュー。以降、アクションスタントを中心にテレビドラマ、映画などで活躍。

1971年(昭和46年)、25歳。『仮面ライダー』(毎日放送)で剣友会がアクションを担当し、中村は戦闘員役で第1話から出演した[6][2]ほか、怪人のスーツアクターも務める[2]。その後、第14話以降は仮面ライダー2号のメインスーツアクターを務めた[6][2]

同年、新聞[要文献特定詳細情報]のコラムに『ヒーローの素顔』として特集が組まれ、「変身後を演じるスタントマン」として『帰ってきたウルトラマン』の菊池英一、『宇宙猿人ゴリ(スペクトルマン)』の上西弘次、そして『仮面ライダー』の中村の素顔が写真入りで紹介された。

1972年(昭和47年)、26歳。『変身忍者 嵐』(毎日放送)で「嵐」役を担当[6]

『変身忍者 嵐』では、通常の時代劇では袴や着物の裾で隠れる下半身がタイツスーツゆえにごまかせず、重心を落とした殺陣の基本形を常に意識させられ、苦労したと語っている。同作は時代劇であり、中村が得意とする剣戟の本領を発揮した代表作とも言える作品である。

同年、「週刊少年マガジン」4月9日発売号の巻頭特集として大野剣友会が取り上げられた。後楽園ゆうえんちでの仮面ライダーショーの楽屋裏で煙草を吸う中村の写真が、記事の扉に使われている[6]

同年、日本テレビが『突撃! ヒューマン!!』の岩城淳一郎/ヒューマン役を中村に打診。同番組は『仮面ライダー』が裏番組になる予定で、局側としても「打倒・仮面ライダー」との意気込みでのオファーだった。しかし、中村は「仲間の出ている番組の敵にまわりたくない」として主演デビューの機会を蹴り、これを断っている[7]

1973年(昭和48年)、27歳。『仮面ライダーV3』(毎日放送)で敵役ヨロイ元帥を演じる[2]。同役ではマスクを被っているものの、独特の表情や声の作り方により印象的な役柄となっている[6]

1979年(昭和54年)、33歳。大野剣友会は大野が代表から会長に退き、岡田を代表とする新体制に移行。大野の引退を受け、芸能界から引退する。

同年、剣友会が新体制下で挑んだ『仮面ライダー (スカイライダー)』(毎日放送)では、大野剣友会の下準備に協力。

1998年(平成10年)、52歳。テレビの特番で、岡田や新堀和男ら剣友会メンバーとともに藤岡弘と再会する姿が、最後のテレビ出演となった。藤岡とは10数年ぶりの再会であり、固く抱き合った。

2001年(平成13年)1月17日、悪性リンパ腫のため死去[3]。享年55。誕生日からちょうど1週間後の出来事でもあった。晩年はOA機器の部品製造会社を経営していた[8]


注釈

  1. ^ ヘビ獣人[16]、ワニ獣人[16]、カニ獣人[16]、黒ネコ獣人[16]、獣人カタツムリ[16]、トゲアリ獣人[16]
  2. ^ 奇械人ガンガル[17]、奇械人オオカミン[17]

出典

  1. ^ 「座談会 生田の日々」『テレビマガジンヒーローグラフィックライブラリー 仮面ライダー〈PART 2〉』講談社、1995年、90頁。ISBN 978-4063249040 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 仮面ライダー怪人大画報 2016, p. 198, 「仮面ライダー スタッフ・キャスト人名録 2016年版」
  3. ^ a b c 岩佐陽一 編「追悼・中村文弥」『仮面ライダーV3大全』双葉社、2001年、163頁。ISBN 4-575-29235-4 
  4. ^ a b c d e f g h i j OFM仮面ライダー9 2004, p. 28, 「中村文弥」
  5. ^ a b c 変身ヒーロー大全集 1995, p. 149, 「INTERVIEW 中村文弥」
  6. ^ a b c d e 仮面ライダー大全集 1986, pp. 154–157, 「仮面ライダーの影 大野剣友会」
  7. ^ 『東映ヒーローMAX』での岡田勝による逸話から[要文献特定詳細情報]。このエピソードは、漫画『仮面ライダーをつくった男たち』(108-109頁)でも触れられている。
  8. ^ 『テレビマガジンヒーローグラフィックライブラリー2 仮面ライダー』(講談社) P88
  9. ^ a b c 仮面ライダー大全集 1986, pp. 158–161, 「大野剣友会座談会 私達も仮面ライダーでした・・・」
  10. ^ a b c d e f g h i OFM仮面ライダー9 2004, pp. 27–29, 和智正喜「特集 大野剣友会 ライダーアクション影の主役たち」
  11. ^ 変身ヒーロー大全集 1995, p. 187, 「作品紹介/イナズマン」.
  12. ^ a b 仮面ライダー怪人大全集 1986, p. 12, 「ショッカー(第4話-第7話)」
  13. ^ 仮面ライダー怪人大全集 1986, p. 63, 「デストロン(第13話-第16話)」.
  14. ^ 仮面ライダー怪人大全集 1986, p. 71, 「デストロン(第31話-第35話)」.
  15. ^ 仮面ライダー怪人大全集 1986, p. 82, 「GOD(第9話-第21話)」.
  16. ^ a b c d e f 仮面ライダー怪人大全集 1986, pp. 90–91, 「ゲドン(第6話-第14話)」
  17. ^ a b 仮面ライダー怪人大全集 1986, pp. 96–97, 「ブラックサタン(第1話-第6話)」
  18. ^ 仮面ライダー怪人大全集 1986, p. 107, 「デルザー軍団(第35話-第39話)」.
  19. ^ 藤川裕也 編「第3章 変身ブームの中で 15. 秘密戦隊ゴレンジャー」『大野剣友会伝 ヒーローアクションを生んだ達人たち』岡田勝監修、風塵社、1999年7月15日、123-128頁。 


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